24時間の自由

車窓から見渡す渡良瀬川
不安と期待を抱えながら
最後の願いを抱いて北へ向かった
離れた土地で過ごす時間が
生きる力を呼び戻してくれる
そんな希望を抱いて
すべてを手放し
ただ
自分のためだけに
時間を使ってみたかった
はじめての朝
大きな窓から見える
巨大な建物の向こうで
山並みが朝日に染まり
その麓を一本の単線が
走り抜けてゆく
その光景は
どこまでも美しく
希望を乗せて
走っているようだった
けれど
希望に満ちていたのは
最初の朝だけ
静かな部屋に
ひとり残される
静まり返った空間は
やけに広くて
冷蔵庫の音だけが響く
夜の底で
聴こえるその音に
なぜか怯えた
時間が過ぎるたび
心は行き場を失い
うまく
呼吸ができない
慌てて中庭へ飛び出してみたけど
どうしてこんなにも
しんどいのだろう
魂は
答えを知っているのに
頷くことができなかったのは
その扉を閉じてしまったら
私の手の中にあるものは
もう、何ひとつ
残らない気がしたから

揺れ続ける私を案じて
あなたが駆けつけた
限られた二十四時間の自由
絶え間ない冗談
森に響くウグイスの歌声
おいしい食事
その時間は
どんな治療よりも
私を癒してくれた
弱りきった私の手を
壊れ物に触れるように
両手で覆って
涙を浮かべながら
愛おしそうに
わたしを見つめる
その時
気づいたの
どんなわたしになっても
ずっと隣にいてくれる
何度立ち止まっても
それでもなお
待っていてくれる
共に生きる意味を知った
命を預ける場所なのに
「救い出してあげる」
そんな言葉が
こぼれるのが
あなたらしくて
織姫公園の銅像に刻まれていた
「愛育一路」
あの言葉は
私たちへ
贈られたものだったのだろうか
命がけで守ろうとしてくれる
変わらないやさしさに包まれながら
今 私は
人生でいちばん
深い愛に包まれて生きている

※私two-miracleの綴る詩は
内にある記憶や感情と、創作の中で重なり合う様々な愛のかたちを、丁寧に描いています。
この詩に触れた方が、 それぞれの心と記憶に、
静かに響きますように。
