二刀流にフリーエージェント(FA)制度……。
プロ野球選手の話じゃなく、運転手のお話。
岡山県の両備グループさんが、
今春、乗務員の満足度を上げるため、新制度を導入します。
理由は運転手の残業時間の上限が規制されて、
人手不足が懸念される迫りくる「2024年問題」。
『いつまでも働きたい会社』にならなければ、
人手不足は解消できないという切実な思いから。
制度では4月以降、勤続3年以上など一定の条件を満たせば、
グループ内の希望する会社に移籍できる、
「乗務社員FA制度」を導入します。
例えば運転手がバスから、
トラックやタクシーに乗り換えることも可能へ。
グループ傘下の岡山電気軌道さんでは、
バスと路面電車の両方の免許を取得する「二刀流」を支援。
さらに、グループの全バス会社の運転手が、
初乗務に家族を招待できる制度を3月からスタートさせて、
「社員の家族や大切な人からも愛される会社」を目指します。
まさにメジャーリーグの選手さながらですねー。
両備グループさんは、
人手不足や新型コロナウイルス禍で落ち込んだ、
公共交通の需要回復に対応するため、
2023年6月に、
「宇宙一本気(マジ)な乗務社員採用プロジェクト」を開始。
交通・運輸関連の12社が連携して、
1年間で計200人の採用を目指して、
8カ月で計560回の説明会を開催、
テレビCMや特設サイトでの情報発信をしてきました。
さらに12月からは同じくグループ企業の、
東京のニッコー観光バスさんで、
月1万5000円を上限に10年間、
社員の奨学金返還を支援する制度を開始。
岡山交通さんと岡山両備タクシーさんでは、
岡山、倉敷の両市に配属される、
タクシー運転手の入社7カ月目までの賃金の月額保証を、
5万円増額して28万円にするなど、
処遇改善も打ち出して人材確保に努めてきました。
その結果、2024年2月下旬までに732人の応募があり、
目標の6割超に当たる126人を採用。
鉄軌道部門とフェリー部門はすでに目標を達成。
タクシー部門はやや苦戦中ですが、
賃金保証の増額が非常に効果があって、
今年に入ってからの2カ月で18人の採用に至っているそうです。
苦戦してる他社にとってはうらやましいかも。
春は中途採用市場が活発になるためその時期をしっかりとらえ、
6月末までに200人を達成したいと意気込んでいます。
公共交通の利用者減少や人手不足は全国的な課題の中、
両備グループさんでは乗務員が増えたことで、
高速バスの岡山から広島や高知を結ぶ路線の増便が実現。
今後は人材流出を防ぐ取り組みが欠かせない状態で、
ここから先は我々を選んでくれた方が長く活躍してもらえるよう、
施策を打つ新しいステージに向かいたいと。
「宇宙一」の壮大な目標に向けて、
公共交通の苦境打開のパイオニアになる両備グループさん。
ま、今までの固定観念を持って崩せない、
人の言うことを聞かない某会社の経営陣では、
想像もできない手法。
もっともプロパーでは変革は無理で、外国人監督じゃないと、
なかなかできない手腕。
これからの次の手がどのようなものなのか、
見ていきたいと思います。