2人きりの旅行《貴邦リメイク版》 | ディズニーとアニメと創作と

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オリキャラをこよなく愛しているので、同性カップルも異性カップルも分け隔てなく書きます。(まぁ腐女子でもあるので男性同士が多め?かもしれない。)なので色々注意。

旅行編なんですけど、これは流石に分けないと無理だなぁってなりました。書き足したいが多すぎる(笑)

とりあえず、別荘に行く前と、別荘編とで分けようと思います。


これもかなり変わったなあ。。別荘編の方がきっとめちゃくちゃ変わる。(書いてる途中)



ここはとある街の一角、仕事に向かうべく家を出た貴志がふと携帯を見ると珍しく邦義からメッセージが飛んできている。普段であれば即座に既読をつける貴志は鍵を掛ける手を止め、その画面に触れようと指を伸ばしたときだった。なんとなく、貴志の中で嫌な予感が広がった。このメッセージは恐らく貴志が見たくないタイプのメッセージだ。
貴志は一度携帯の画面を閉じて家の戸締まりをする。歩き始めた貴志の足取りはより一層重たいものとなり、なんだか今にも倒れそうなくらいだ。

「久々に邦義からメッセージがきて嬉しかったのに、凄い中身が怖い。」
「なら、読めばいいと思うのよね。」
「いや、だって、コレ絶対『しばらく旅行行くから会えない、ごめんね。』ってやつだとおもうんだよ。」
「わかってるならみればいいじゃない。見ないことでなにか変わるの?」
「変わらない。変わらないんだけど……。」

仕事終わりに由美といつもの喫茶店で待ち合わせをした貴志は未だ読むことが出来ていないメッセージの画面を睨みつけながら話をする。呆れたように由美はその携帯を指でつつきながらはやく読んでしまうように促している。

「はやくそれ読んで私の惚気聞いてよ。」
「惚気はきくから急かさないで。覚悟がいるんだよ。俺にとっては死活問題なんだから。」
「覚悟がないから出勤前に来てたメッセージがまだ未読なんでしょ!?はやくしなさいよ。」
「それもそうなんだけど……」
「まぁいいわ。実はこの間の休日デートしたの、デート。」
「へぇ、どこ行ったの。」
「ふふ、遊園地よ。」
「あの有名テーマパークじゃないよね?」
「そうよ。そうに決まってるでしょ。」
「いいなぁ。俺も行きたい。」
「そういえば、この間、邦義くんに『どっか行きたい所ある?』って聞かれたっていってたわよね。」
「うん…。」

由美は携帯の画面を写真に変えると貴志にこれみよがしに見せつける。しばらく恋人のいなかった由美にとっては久々のデートだったので、とにかく自慢がしたくてたまらない様子だ。

「ほら、これなんてみて、アイスクリームにチュロス刺さってんの。邦義くん好きそうよね。」
「本当だ。その写真頂戴。邦義に送る。」
「いいわよ。」
「ありがとう。」

由美からの写真をダウンロードした貴志はそれを邦義に送ろうと散々押せなかったメッセージの画面を開いてしまう。その瞬間小さい悲鳴を上げた貴志をみて由美は「馬鹿じゃないの?」と楽しそうだ。

「そしてやっぱりしばらくどっかに行くみたい。」
「へぇ、どこに行ってるの?」
「しらない。国内ではあると思う。」
「知らないって書いてないの?」
「俺がついていけない旅行は行き先書かないでって言ってあるから。」
「なんで?」
「追いかけたくなるから。」
「あぁ。」

半ば呆れたような声を出した由美を横目に貴志は先程由美からもらった写真を邦義に送る。貴志は甘いものが好きではないのだが、邦義は大の甘党だ。そしてかなりの量を食べる。メンタルが落ち込んでさえいなければ一般的な量を食べる貴志のおよそ5倍かそれ以上の量をたべる。しかも甘いものとなればなおさらだ。邦義と貴志の食の好みは真逆と言っても過言ではない。どんなに辛いものでも平然と食べれる貴志とどんなに甘いものでも美味しそうに平らげる邦義、それでも2人はお互いがそうして好きなものを食べる姿が大好きだ。特に邦義の食べる姿は量こそ豪快だが、育ちの良さが隠しきれず、ファストフードですらとても上品に食べるものだから、貴志はその姿に毎回見惚れてしまう。

「既読はつかないか。」
「自分も全然つけなかったくせにそこは文句言うのね。」
「邦義は基本的に言いたいこと打ったら速攻携帯閉じるから、既読とかみてないよ。」
「いやそういう話ではなくて……。」
「すぐに既読つけて返信してる間にいつもいなくなっちゃうもん。」
「そうなんだ……。」

由美からたくさんのテーマパーク自慢を聞いた貴志は喫茶店を出たあとおもむろに携帯電話を眺める。願わくば、電話でもかかってこないかと期待したのだ。そんな様子も無いものだから、ため息を付いてポケットにしまおうとしたときだ。思いが通じたのか電話がなる。

「えっえっ?邦義!?」
『そんな驚かなくてもいいじゃん。佐々木さんは?まだいるの?』
「いや、もうわかれたけど………。」
『そっか。貴ちゃんがここにいきたいのはわかった。いこう!』
「本当?」
『うん。あ、そうだ、お願いしてあった連休は取れたの?難しかった?』
「いいや。根性で勝ち取ってきた。有休たくさんあったし。」
『よかった。何日から?』
「来月の16から25まで。」
『本当に取れてる!すごいね。』

邦義からの言葉に応える貴志にはまるでないはずの尻尾があるかのようにご機嫌だ。それほどまでに邦義から『メッセージ』がくることも『電話』があることも珍しいのだ。

「にしても、邦義から電話なんて珍しいね。」
『え?あ、うん。聞きたいことあって…』
「聞きたいこと?」
『そうそう、貴志は海派?山派?』
「えっ?うーん、海かなぁ。」
『海かぁ、まぁそうだね。俺も海鮮のほうが好きかなぁ。山菜もいいけど。』
「まって、何の話?」
『あと、えっと、右左どっち?』
「それって普通はリアルで会いながら聞くものじゃないの?」
『しょうがないじゃん。どっち?』
「じゃぁ、左。」
『左ね!おっけ!水野!明日はここいくよ!』
「まって?本当に何の話?」
『え?ああ、買い物の話!』
「なんて?」
『あ、テーマパークは16日から行こうね。2泊3日。』
「ホテル取るの?」
『うん、取った。今。水野が。』
「水野さんにお礼言っておいて。」
『じゃ、ちゃんと寝てね。』
「あ、まって、くに。」
『…どうした?』
「ちゃんと帰ってきてね。」
『時間かかったらゴメンネ。』

電話を終えて携帯電話をポケットにしまった貴志には先程までの暗い雰囲気はなくなっていた。10日間の邦義の旅行の予定は彼にとって何にも代えがたい大切な予定だ。

「楽しかったね。」
「うん。明日はもう一つの方だよね?」
「そうだね。ほら、佐々木さんの写真のあれ、サンデー!食べたいな。」
「あれはたしか、奥の方のレストランだったな……。」
「たのしみだなぁ。」

そんな旅行の初日、テーマパークを遊び尽くした2人が帰ってきたのは併設ホテルのスイートルームだ。水野たちがチェックインを済ませていたので2人は文字通り『帰ってくるだけ』だった。邦義は部屋に入ると慣れた様子でテレビをつけてくつろぎ始めるが、広いホテルに慣れない貴志は部屋の巡回をはじめた。

「ねぇ、邦義。」
「なに?」
「ここ、本当にホテル?」
「そうだよ?」
「……俺の家より部屋多いけど?」
「……そうだね。でも、こんなもんだよ?スイートルームだし。」
「そうなのかな。」
「ふふ、落ち着かない?」
「うん。」

最後の部屋を確認した貴志に邦義は近づいていくと優しく頬を撫でる。少しだけ動揺していた貴志もそのうちに落ち着いたのかその手を握りしめて邦義に微笑みかける。

「お風呂入ろうか。泡風呂にするやつ持ってきた。」
「泡風呂、はいったことないかも。」
「そうなの?醍ちゃんも麗ちゃんも大好きだからねぇ。うちだと一般的。醍ちゃんとはよく一緒に入ったなぁ。」
「そうなんだ。」
「っていっても俺が高校生くらいの頃の話だけどね。」
「そういえば12歳離れてるんだっけ。」
「そうなんだよね。気がついたら高校生になってたよ。子どもの成長は早いねぇ。」

少しさみしそうに話す邦義に貴志が抱きつくと邦義は照れくさそうにしたあとお湯を張りに風呂場に向かう。そこはスイートルームにふさわしく広くて素敵なジャグジールームとなっていた。背の高い貴志でもすこしは足を伸ばせるほどのおおきさのジャグジーだ。

「邦義、一緒に入ろうよ。」
「いいけど、俺長風呂だから逆上せる前に上がってよ?」
「わかってるよ。でも広くないと入ってくれないじゃん。」
「まぁ、それはそう。」
「否定されない……。」

そんなこんなでお風呂を出た邦義をソファに腰掛けた貴志が手を広げて待っている。それが意味するところは邦義もわかってはいたが、いかんせん素直ではない邦義は少し考えたように視線を動かしたあとすぐ側の椅子に座ってしまう。それをみて明らかにへこんだ貴志をみた邦義が「おいで」と言って手を広げると、待ってましたと言わんばかりに貴志が邦義を覆ったのだ。

「貴ちゃん、ちょっと苦しい。大きさ考えて。」
「あ、ごめん。」
「まぁ今回は仕方ないかな、」
「そうだよ、邦義、今日まで全然会えなかったじゃん。昼間は人目あるし……。」
「しょうがないじゃん、思ったより時間のかかる買い物だったの。それに帰ろうってときに台風が来ちゃって延ばすしかなかったんだもん…まぁ、貴ちゃんにしては耐えたね。ほらここから10日間一緒にいられるんだよ。幸せだね?」
「むしろ邦義の過剰摂取で死にそう…というか11日後の俺のメンタルがどっちに転ぶかが怖い…」
「あはは、大人しく俺に養われればいいのに。」
「それは…すごく…魅力的なんだけども…でもやっぱり邦義とちゃんと仕事するまでは辞めたくないな…」
「…じゃぁ俺も頑張ってお話つくらなきゃね〜。別にシナリオライターやらなくても姉さんの補佐と株と不動産で生きてけるんだけど。」
「さすが…」
「今の会社やめたくなったら言ってね、いつでも養うから!俺の別荘で一生暮らそう。」
「彼氏がスパダリな件について。」
「あはは、まぁ、10日間は俺のことだけ考えてて?」
「いや、24時間365日そうだけど?」

そう断言する貴志に邦義は思わず笑い出すが、貴志は『真剣なんだけど』とふてくされ気味だ。

「そういえば、俺があがるまでなにしてたの?」
「由美ちゃんに写真送りつけてた。」
「また『惚気ばっかり!』って怒られるよ。」
「今は向こうも幸せだから大丈夫なはず。」
「そういうもんかねぇ。写真見して。」
「ん。」
「ほぼ俺しか写ってないじゃん。」
「邦義以外写す価値を感じないから。いつでも邦義をみれるし。」
「……本物じゃだめなの?」
「本物までのつなぎだよ。」
「そんなに俺のこと好きなのか。」
「うん。本当は1秒たりとも離れたくない。それくらい、愛してる。」
「しってた。」

貴志がソファに座り直すとその膝の上に邦義がのっかる。貴志が邦義の腰に手を置けば、邦義はそのまま体重を貴志にあずける。携帯を机においた貴志が邦義の頬を抑えながら互いの唇を近づけたとき、ドアに訪問者が現れ、目を閉じていた邦義が思わず目を開けて吹き出したあと、悲しそうな顔をする貴志の頭をぽんぽんとなでる。

「……残念、お預け。」
「…何となくそんな気はした。水野さん?」
「たぶん、そう。ちょっとまっててね。」
「…あんまり待てないかも。」

貴志の言葉に少し苦笑いをしてから立ち上がった邦義はドアをあけるとそこには予想通りの人物が立っていた。水野は邦義の顔を見るなりすべてを察した様子で申し訳なさそうにしたあと口を開く。

「…もしかして邪魔しました?」
「うん、超いいタイミングで。」
「それは、悪かったですね。明後日手配してたものの予定が変わったので伝えに来たんですが。」
「あぁ、あれ?ダメだった?」
「六花様がどうしてもお出かけしたいらしくて……」
「姉さんか……しかたないな、親父の借りるか。」
「ですよね、手配しておきます。」
「よろしく。」
「……ごゆっくり。」
「もう、来ないでね?」
「明日の朝にしますね。」
「そうして。」

扉をしめて、振り返った邦義が『おまたせ』といったのを合図に待ちきれなかった貴志は邦義を強引に抱えてそのままベッドに向かったのだった。


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