消防予第351

平成27年9月4日

各都道府県消防防災主管部長

東京消防庁・各指定都市消防長 殿

消防庁予防課長

(公印省略)




特定施設水道連結型スプリンクラー設備の配管における適切な施工について(通知)





 先般、鹿児島市内で発生した火災において、特定施設水道連結型スプリンクラー設備(以下「スプリンクラー設備」という。)のヘッドが火災を感知したにもかかわらず、放水しなかった事案が発生しました。当該事案は、消防法施行規則(昭和36年自治省令第6号)第14条第1項第10号ハの規定に基づく「特定施設水道連結型スプリンクラー設備に係る配管、管継手及びバルブ類の基準」(平成20年消防庁告示第27号)第4号による配管(硬質塩化ビニル管)の施工上の不具合(別紙)が原因であったと推定されます。このような事案が発生したことを踏まえ、硬質塩化ビニル管を用いた配管及び管継手の適切な施工に当たっての留意事項を下記のとおり定めました。

 各都道府県消防防災主管部長におかれては、貴都道府県内の市町村(消防の事務を処理する一部事務組合等を含む。)に対しても、この旨周知していただくようお願いします。

 なお、本通知は、消防組織法(昭和22年法律第226号)第37条の規定に基づく助言として発出するものであること、また、本通知の内容について、厚生労働省健康局水道課を通じて水道事業者等に対して周知されるよう依頼していることを申し添えます。


1 施工上の留意事項

(1)作業手順

 硬質塩化ビニル管に接着剤を用いる工法においてヘッドを取り付ける際は、先に配管と給水栓用ソケットを接合し、その接合部に用いた接着剤が十分に乾燥していることを確認した後に、給水栓用ソケットにヘッドをねじ込み接合すること。

(2)接合における接着剤の塗布量

接着剤は、種類により塗布に必要な分量が異なるため、それぞれの製品に応じて適量を薄く均一に塗布すること。

(3)十分な乾燥

 接着剤の種類によって固着するまでの時間が異なるため、それぞれ製品に応じた養生時間を確保し、十分に乾燥させること。

(4)管の面取り

 接着接合に使用する管について面取りをしない場合は、接着剤塗布面の接着剤が管や継手内に掻き出され、膜張り現象による閉塞や接着不良が発生することがあるため、所定の面取りを行うこと。

(5)その他

 透明な給水栓用ソケット等を用いるなど、外側から接合部の接着剤の状況が目視できる方法があること。

2 その他の留意事項

(1)事前打合せ時等の注意喚起

 事前打合せや着工届の受理の際等に、スプリンクラー設備の配管に硬質塩化ビニル管を用いることが把握できた時点で、施工業者に対し上記1の施工上の留意事項を周知されたいこと。

 なお、一般社団法人日本消火装置工業会において、当該施工上の注意喚起に係るリーフレットを作成しており、後日送付する予定であるため活用されたいこと。

(2)配管及び管継手の施工状況の確認

 消防法(昭和23年法律第186号)第17条の3の2に規定する検査等において、ヘッドの取付け部付近の配管及び管継手の施工が適切に行われていることを確認する際には、その方法や時期について施工業者と事前に調整する必要があること。また、確認に当たっては、次のアからウに留意すること。

ア 施工状況により天井板を取り付けた後は、ヘッドの脱着が困難となる場合があること。

イ ヘッドの脱着を行う際は、給水栓用ソケットと配管の接合部分に過度な力が加わり接合不良とならないよう、給水栓用ソケットを確実に保持し、作業すること。

ウ ヘッドと給水栓用ソケットのねじ込み接合に液状シール剤を用いる場合は、液状シール剤が固着するとヘッドの脱着が難しくなるため、シール剤を塗布する前に配管と給水栓用ソケットの接合状況を確認する必要があること。