今回の考察は、ファイナルには全く触れられていない「空白の10年」を扱っています。
つまりほぼ妄想です。 くだらぬものに付き合わせて、申し訳ありません
皆さんのお考えと違うところも多々あると思いますが、一意見としてご覧ください
手紙を隠したスザナ
ファイナルで初めて追加された、スザナが手紙を隠していたエピソード。
漫画のスザナはどうだったか?
テリィは不注意で手紙を落とし、それをスザナが拾います。
拾ったから渡す、という普通の展開でした。
つまり、漫画版スザナは、ある程度心が美しい人です。
この数日後、スザナの命がけのドン
( ノ ・s・)ノ︵(/・G・)/
で、テリィは命を救われるので、スザナは心が美しい人、でいいと思います。
しかしファイナルのスザナは、キャンディの手紙を隠してしまう、悪女と化します。
ファイナルには、そのことが書かれた文章が下巻に3カ所に出てきますが、内容が微妙に違います。
では、どう違うのか、時系列で確認してみます。
知った時期
第①の文
キャンディ15才の時の発言
「やっと、やっとテリィと会えたのだ。―(中略)わたしが出した手紙を隠されたように、もう二度とスザナに邪魔してほしくなかった。はっきりそう言ってやろうと、意気込んでいた」下巻235
これはキャンディがNYへテリィの芝居を見に行った時の心の声です。
劇場のロビーで『スザナが怪我を盾にテリィに結婚を迫っている』、という噂話を耳にし、ヤコブ病院へ向かっている時に発しています。
つまりこの時点で、テリィもキャンディも手紙の件は知っていた、ということですね。
ただし、どのようにキャンディが知ったのかは書かれていません。
テリィがそれまでの文通の中で知らせたのかもしれませんし、NYで合流した際、例の「ムードが無い喫茶店」でテリィが打ち明けたのかもしれません。
そして、この文章だけでは何通隠されたかも読み取れません。
極端に言うと、直近の一通を隠されたことに怒っている、とも読めなくもない。
更に読者は、漫画やアニメの影響で、アパート宛ての手紙が隠されたとイメージするのではないでしょうか。
第②の文
キャンディが20歳前後の時の発言
「テリィ、あなたを追ってイギリスから帰って来たときの冒険談、いつかゆっくり話したいと思っている内に結局話せませんでした。テリィに送った手紙はほとんどが届いていなかったなんて」下巻275
これは、テリィと別れた数年後に書いた「出さなかった手紙」の文面です。
これを読むと「ほとんど届いていなかった」と、分かります。
テリィと別れてからこの手紙までの間、テリィとの接触はないので、新たな情報の入手はありません。
つまり、「NYにいる時点で、ほとんど届いていなかった事をキャンディは知っていた」と考えて良さそうです。
ただし、推理好きな人は、深読みすることもできます。(ここからは深読みタイムです)
キャンディは、NYへ行くまで、直近の数通が隠された事しか知らなかったが、屋上自殺未遂の後の病室で「実は~他にもあなたの手紙を盗んだの」という告白をスザナ自身がした、という仮説です。
しかし この場合・・
もうスザナにテリィは譲ってあげないわっ
――となりそうな気もするのであのスザナがわざわざ懺悔するとは思えません。
次の仮説としては、あの後届いたスザナの手紙に書かれていた可能性です。
しかし実際のスザナの手紙は、その件には一切触れていないので、その可能性は低い気がします。
つまりNYにいる時点で、ほとんど届いていなかった事をキャンディは知っていた、と考えます。
お・の・れ~スザナー
(・の・)
顔文字に見えると、のんきなことを言っているは誰ですか
殆ど隠しておいて、「テリィをあなたの分まで愛しつづける」下巻280
とキャンディにシレっと手紙を送りつけたのかぁ!??
回顧録に登場する30代のキャンディは、スザナからのこの手紙を「象嵌細工の宝石箱」にしまっていますが、このように語っています。
「宝石箱の中で、その封筒の周りだけひんやりしている。中の手紙を読んだのは一度きりなのに、はっきりとその文面まで覚えている」下巻278
そうでしょうとも
「ひんやり」という表現からは、マイナスのイメージを感じます。
ルイーズラべの古詩を、夜を徹して覚えたあのキャンディが、一発で文面を覚えてしまうほど、辛いものだったに違いありません。
しかし、この時点では、まだ「隠された手紙の全容」は明らかになっていません。
ほとんど届かなかった、と聞くと「劇場宛てとアパート宛て、全部なのね!?」と思っていませんか?
実は違います。
第③の文
30代のキャンディの発言
「劇団に宛ててテリィに出した手紙は、ほとんどが届いていなかった。いや、届いてもテリィに渡されなかったのだ。スザナ・マーロウ―。あの頃は泣きたいほどの怒りを覚えたが、今はスザナの気持ちがわかる気がする」下巻218
なんとっ!
時系列の一番最後になって、30代のキャンディの振り返りで語られる
ほとんど隠されたのは劇団に宛てた手紙!
・・・つまり、アパート宛ては正常に届いていったってことかい? 何故最後にその情報を出す?
漫画やアニメでは、スザナが絡んでいたのは「アパート宛ての手紙を一通拾った」でしたが、ファイナルでは「劇団宛ての手紙を殆ど隠した」に変更されたようです。
劇団宛ての手紙
劇団宛てに出していたのは、おそらくテリィのアパートの住所を知る前の初期の手紙。ファンレターに混ざっていたものと思われます。
キャンディなら、テリィが俳優になったという切り抜きを見た直後から、劇団宛てに出していそうです。
殆ど隠されたなら、テリィはファンレターに混ざっていることさえ、知らなかったのかもしれません。
キャンディが一方的に送っていた頃の手紙の数など、二人で綿密に内容を付け合せでもしない限り、正確に把握できない気がします。
そんなテリィが、あの当時(キャンディと付き合っていた頃)本当に全部回収できたのか、怪しいところです。
「全部返してくれ」と言われて、全部出す万引き犯がいるでしょうか?
少しでも罪を軽く見せたいがために、最低限しか出さない気がしてなりません。
仮にスザナの手元に返しそびれたキャンディの手紙があるとしたら、スザナはいつ返せるでしょう?
ブログ主なら、、、たぶん返せません。 しらばっくれます
テリィとキャンディが別れた後なら、発覚するリスクも減るので更に難しいと思われます。
ここで考えます。
キャンディが、泣きたいほどの怒りを覚えた「あの頃」とはいつなのか?
普通に考えると、隠されたと知った時、と受け取るべきでしょう。
実はこの部分、二次小説を書く上で繰り返し考えました。
①の文には、③で出てくる「泣きたいほどの怒り」という「泣きたいほど臭」が感じられない気がしたのです。
例えば「あの頃」と言うのは、テリィと再会後に、全ての手紙が返された時に、実感が増して怒り狂った、とも考えられないか?
というのも、ファイナルには隠された手紙がいつ返されたのか、書かれていないのです。
返してもらった時期
ファイナルでは 手紙がいつ返されたのか、誰からどのように返されたのかは書かれていません。
隠されたと事実を知ったテリィが「返してくれ」と迫り、全て返されたと読むべきでしょうが、そうとも限りません。
「返さないわっ」とスザナが突っぱねた可能性もありますし、破いてしまった、捨ててしまった、とも考えられます。
スザナの亡きあと、スザナの母親からテリィに、またはキャンディに返されたのかもしれません。
この場合は、もはや10年以後になりますね。
とはいえ、キャンディは「スザナはいやな人ではなかった」下巻234と語っています。
これは、スザナの自殺騒動の後、スザナが命がけでテリィを愛しているのを知った直後にキャンデイが発しています。手紙を隠されたことは、もういい。水に流しましょう、とも受け取れる寛容な発言だと感じます。
そしてこの数年に書いた『テリィへの出さなかった手紙』では「スザナはすてきな人です」下巻277と書いています。
キャンディはなかなか懐が深いですね。
このように語っていることからも、手紙はどこかに未開封で保管され、返されたと思いたいです。
破かれていたり、読まれていたならば「すてきな人」という言葉は出ない気がしますし。
・・・でも、ちょっと待てよ?(深読みタイム)
30代のキャンディは、スザナの手紙を「ひんやりしている」下巻278と形容しています。
「誰かを心底、愛してしまったら、きれいな気持ちのままではいられない」下巻218という発言もスザナに向けてしています。
直訳すると「スザナには汚い部分がある」という意味でしょう。
個人的には、20代前半の「ステキ発言」と30代半ばの「ひんやり発言」に、キャンディの感情に大きな溝を感じます。
もしかしたら「ステキ発言」をしたキャンディは、スザナの汚い部分の全容を、まだ知らなかったのでは?とちょこっと考えてしまいます。ようするに、その後(スザナの死後)に大きな何かが発覚する、という。
テリィ系の二次小説では、手紙が返された時期はスザナの死後が多い気がします。
皆さんはどのように考えますか?
手紙を隠されたテリィは?
ファイナルでは、テリィがそれについてどう思ったかは一切出てきません。
ですが、想像してみてください。
家族愛に恵まれず友人もいない、天涯孤独だったテリィにとって、キャンディは世界で唯一の人物だったことでしょう。
その恋人からの手紙を殆ど盗まれたのです。
テリィ系の考察や二次小説では、この辺りのテリィの感情を割とあっさり扱っている気がします。
アルバート系の考察では華麗なるスルーですし
ですが、実際問題ラブレターを横取りされるって、かなりの事だと個人的には思います。
特にあの時代、手紙が担った役割は大きいでしょう。
1通でも嫌ですよ。読まれている可能性もあるんでしょ?
キャンディに対する愛が深ければ深いほど、テリィは簡単には許さない気がします。
結局テリィは事故の責任感からスザナを選びましたが、このような仕打ちを受けた過去は消せないと思います。旧小説までのテリィなら、スザナを愛することは可能だったと思うのですが、ファイナルで足されたこのエピソードを鑑みると、スザナを愛することが不可能になった、のではないか、と個人的には思います。
「責任をとると言いながら、スザナを愛さないなんて、ひどい奴!スザナがかわいそうじゃないかっ」
と言う人がいるかどうかは知りませんがファイナルにおいては少なくとも、スザナがまいた種であり、自業自得と言えそうです。
だからこそ「ぼくは変わっていない」のセリフが、ファイナルでは堂々と成立するのではないでしょうか。
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