それは去年のこと。まだ、僕は彼に会っていない。
検査入院することになった日のことだった。
巡る初恋~魔法~
今日は10月31日
いわゆるハロウィーン。
去年までこの日は楽しく家でパーティしていたのに今年は病院で祝うことになった。
兄ちゃんは面会終了までいてくれたけれどもう夜で一人きりになってしまった。
「別に…元気なのになぁ」
僕はカーテンを開けて空を見上げた。
空には丸いお月様、お星様が煌いていてとても綺麗だった―――
いかにもハロウィーンにあいそうな日のに…
「…なんでこんな日に入院なんだよ…」
ずっと楽しみにしていたのに――――……
ヒュウ―――っと音立てて吹く風はもう冬の風。
「僕…どうなるんだろう…」
今までの日常が無くなるかもしれない。
今までの幸せが無くなるかもしれない。
不安で、悲しくて、苦しくて
寂しくて……
来年の今頃は、僕はいるのかな?
また、去年みたいに笑ってるのかな……?
『こんばんは』
外から猫が鳴く声がした。
窓を開けてみると、黒い猫がいた。
「こんばんわ」
『今日から入ったんだ』
「うん」
『君は僕の声が聞こえるんだね』
「うん」
『よろしくね、僕は猫夜って言うんだ』
「よろしく。僕、未来って言うんだ」
『慣れるよ』
「え?」
『寂しくてもきっと慣れるよ』
「え、うん」
『寂しそうな顔してる』
「え、そうかな…?」
『僕も一人にはもう慣れたよ』
「ひとり…だったの?」
『僕の目、オッドアイなんだ。変わってる…いや、変だって言われるんだよ』
「綺麗な目なのに…僕は好きだよ」
『本当に?人間も怖いとか化け猫って言ってた』
「酷いね。僕も言われたことあるよ、猫と話せることが変だって」
『ちょっと違うところがあるとそう言って差別するんだ』
「今度からは僕のところにおいでよ」
『いいの?』
「話しかけてくれたのは君じゃないか」
『うん、今度から来るよ』
一人の夜のハロウィーンに僕は友達ができた。
『きっといいことがあるよ』
猫夜くんは闇の夜に溶けるように消えていった。
それから毎日ように
僕らは語り合っている。
君の言う“きっといいことがあるよ”を信じて―――――――――