大好きな絵本、「大きな木」を紹介します。有名な絵本ですし、日本語版では村上春樹氏が翻訳されてるので、ご存知の方も多いかと思います。

 

主人公の男の子と、大きな木の関係は、私には人間と宇宙の関係に思えるんですね。さらっと読めば、単なる無償の愛についてのお話、現実的な見方をする人には、美談でもなんでもない、甘やかしにしかすぎない、という意見になるかと思います。

 

男の子と大きな木は、小さい頃はいろんなことをして一緒に遊ぶんですね。ところが男の子が大きくなるにつれ、木とは遊ばなくなり、代わりにお金を欲しがったり家を欲しがったりするようになるのです。

 

そのたびに大きな木は、りんごを与え、枝を与え、幹を与え……、自分ができること、与えられるものをすべて与えていくんですね。最後には切り株だけになってしまうんですが。

 

その最後の最後の、ふたりのやりとりがとても感動的なんです。私がなにより大好きなのは、「大きな木」の最初から最後まで、まったくぶれない愛。

 

ただし、これを日常生活に置き換えて考えてみると、はたしてこういう愛はどうなのか? という意見が出てもおかしくないんですね。例えば子供の欲しがる物をなんでも与える親がいたら? 恋人同士だって、夫婦だって、同じです。普段は側にいないのに、必要なときだけ寄ってきて、あれこれおねだりする、としたら? そのふたりの関係は健全だろうか……。

 

肉体を持つ、人間でいる、地球に暮らすには、さまざまな制限があり、その制限の中できちんと生きるために必要な知恵を人間はたくさん生み出してきています。だから、時には相手に厳しくすることや、叱ること、NOと言うことは必要だし、「大きな木」の態度は絵本ならではの美談にしかならない。

 

それでも……。

 

私はこの大きな木のようでありたいと、ずっと思っています。

 

宇宙から見たらきっと、人間たちはみんなこの男の子のようなんでしょう。苦しいときの神頼みという言葉もありますが、いつも一緒にいることなど忘れ、愛を忘れ、でも必要な時だけ近寄ってくる、愛を試す。それでも宇宙は与えてくれます。

 

随分前ですが、この本を教材に使ったことがあります。当時中3の男の子がこのお話を読んで泣きました。おしゃべりで、おもしろいことが大好きで、勉強は嫌いで、スポーツが好きで、ちょっと不良に憧れてて、大人に対して不躾な態度を取る子でした。学校では問題児扱いされていたのですが、私のクラスではわりと素直でした。

 

その子が、朗読をしながら泣き出したのです。なんて純粋なハートなんだろう……と、私も感動しました。内容がどうの、ということじゃなく、そこに流れる波動なんだと思います。私にはそのこと自体がとても感動的な出来事で、今でもはっきり覚えています。それ以来、この絵本がとっても大切な1冊になっています。

 

 

With Love xoxoxo

May

 

 

おおきな木 おおきな木
 
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