将棋の今期A級順位戦、驚くべき結果になりました。
A級参加棋士全11中、6人が6勝4敗で、名人挑戦者決定はプレーオフに持ち越し。
さらに、前期降級が1名だったため、今期は3名が降級に。
そこにドラマが待っていました。
今期の降級者の一人に、渡辺明棋王がいます。
そして、渡辺棋王に引導を渡したのが、三浦弘行九段です。
この対局に至るまでの経緯を知っている人間としては、「事件」の幕引きがこんな因果な形になったのが余りにも出来過ぎているように思えるのです。
その「事件」とは、おととしの竜王戦の挑戦者として三浦九段が勝ち上がってから起きました。
そして、当時の竜王は、渡辺棋王。
棋士の一部からは、三浦九段が対局中にスマホを使って局面を解析しているのではないかという疑惑が上がっていました。
おととし(2016年)の10月に、日本将棋連盟が三浦九段に事情聴取を行い、その結果、2016年いっぱいの出場停止処分になりました。
そのため、竜王戦の挑戦者も、決定戦で敗れた丸山忠久九段に急遽差し替え。
ただ、三浦九段が不正をしていたかどうかははっきりしていない状況でした。(これについては、結果として、不正を働いたという公式見解は出ていません)
そのため、前期のA級順位戦では、三浦九段の地位を守るため、三浦九段は降級させないこととし、その時の降級者は1名にするという特別措置が取られました。
通常、A級からB級1組に降級するのは2人のため、今期はそのバランスをとるということで、3名降級になりました。
これがドラマを生みます。
昨日の最終局対局前の時点では、渡辺棋王(順位3位)、三浦九段(順位11位)ともに4勝5敗。
4勝5敗は深浦康市九段(順位5位)もおり、その下の行方尚史八段(順位7位)が3勝6敗。
すでに2勝7敗の屋敷伸之九段(順位6位)は降級が決まっており、降級は4人の中の2人ということでした。
そして、渡辺棋王は、最終戦で三浦九段と直接対決。
渡辺棋王が降級する条件は、本人が負け、なおかつ、深浦九段が勝った場合のみでした。
(勝ち数が同じ場合は、順位が上の方が上位扱いになるためです。)
ところが、結果は深浦九段が勝ち5勝5敗、渡辺棋王は敗れて4勝6敗。
渡辺棋王を破った三浦九段は5勝5敗で残留となり、渡辺棋王がB級1組に陥落することになりました。
ここで一つ見落とせないのが、渡辺棋王の降級の原因として、今期は特別に3名降級するというのがあります。
通常であれば、降級は2名なので、順位の高い渡辺棋王は、最終局を残した時点で下位2名になるのが免れるのは決定していました。
ところが、今期に限って降級が3名になったため、渡辺棋王も降級することになったのです。
そして、その遠因は、自分のタイトル戦がらみでの事件というのが因縁でした。
さらに、負けた相手がその事件の当事者であるというのも不思議なものです。
まさに、「事実は小説より奇なり」といったところでしょう。


