本日、長崎県にある九州商船でストライキが実施されました。
(写真は、会社が使用しているフェリーです)
この件については、組合側の代理人が経緯を説明しています。
https://news.yahoo.co.jp/byline/sasakiryo/20171225-00079690/
また、ストライキに関するニュースはこちら
(結果的に、ストライキは25日の1日で終わり、26日以降は運航を再開します。)
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20171225-00000081-mai-bus_all
このブログでは、今回のストライキそのものの良し悪しは置いて、社労士試験に出そうなポイントについて、上記に紹介した記事をベースに挙げてみたいと思います。
1. 労働協約と労働契約の効力について
(上側の記事5段落目「法律を完全に無視」の箇所)
労働協約というのは、労働条件について、使用者と労働組合が締結したものです。
個別の労働契約が労働協約に定められた条件を下回っている場合、労働契約に条件の記載がない場合は、労働協約が優先されます。
(労働組合法第16条)
少し拡張させると、労働条件を決定するものとしては、労働契約、労働協約のほかに、労働基準法、就業規則があります。
この4つの力関係は以下のようになります。
労働基準法>労働協約>就業規則>労働契約
(労働基準法第13条、労働契約法第12条、労働組合法第16条)
ただし、これは右に挙げたものが左に挙げたものの条件を下回っている部分についての話です。
そのため、右に挙げたものが左に挙げたものの条件を上回っている場合は、右のものが優先されます。
(今回のケースでは、労働協約より、労働契約の方が上回った条件の場合、その部分については、労働契約が優先となります。)
2. 労働委員会の救済命令について
(上側の記事7段落目「長崎県労働委員会から救済命令が発令」の箇所)
労働委員会は、各都道府県に置かれている組織で、使用者と労働組合のトラブル解決を目的とした組織です。
労働委員会が救済命令を出した場合、使用者は従う義務があります。
どちらか片方が命令を不服として裁判に訴えることは可能です。
ただし、その場合でも、裁判所が判決で命令を取り消されない限り、救済命令に従う必要があります。
(労働組合法第27条の12)
3. あっせんについて
(上側の記事10段落目「ストライキ禁止の仮処分を申し立てる会社」の箇所)
労使トラブルも、できるだけ穏便に済ませるほうが望ましいという観点から、あっせんという制度があります。
この制度は、労働委員会が指名したあっせん員が、和解案を提示します。
それを使用者、労働組合の双方がそのまま呑んだり、また、一方の申し出などで修正案が出て、それを双方が呑んだりした場合、若いということで解決となります。
(労働関係調整法第12条)
ただし、あっせんは強制力がありませんので、一方または双方があっせん案を呑めないということであれば決裂となり、あっせんは打ち切りとなります。
(労働関係調整法第14条)
4. ストライキの通知と時期について
(上側の記事10段落目「ストライキ禁止の仮処分を申し立てる会社」の箇所)
通常は、ストライキ開始後直ちに労働委員会または都道府県知事に届け出ることになっています。
(労働関係調整法第9条)
ところが、今回は海運業であり、九州本島と五島列島の足となるため、公益事業に該当します。
このような場合は、ストライキ実施予定日の10日前までには労働委員会にプラスして、厚生労働大臣、都道府県知事のどちらかにも通知をする必要があります。
(労働関係調整法第37条)
文中で12月25日にストライキを行うことを12月5日に労働組合が公表していることから、この時点で、労働委員会と長崎県知事に通知をしていたものと思われます。
(今回は、ストライキが直接に影響を及ぼすのが長崎県のみであったため、長崎県知事に通知をしたと推測します。
ストライキが複数の都道府県で実施予定の場合は、厚生労働大臣に通知します。)
今回のストライキでは、他の会社が代替便を出しました。
こういうことを可能にするために、10日前までの通知を要求しています。
また、公益事業でストライキが行われると国民の生活や経済が脅かされる危険があると認められる場合、国(条文上では内閣総理大臣)が緊急調整の決定をします。
(労働関係調整法第35条の2)
この場合、緊急調整の公表があってから50日間はストライキを行うことができなくなります。
(労働関係調整法第38条)
ここからは、上記の文章に記載されていない一般的事項について書きます。
5. ストライキ中の賃金について
使用者は、ストライキ中の賃金はカットしなければなりません。
この期間の賃金を与えるのは、使用者による労働組合に対する経理上の援助とみなされるためです。
(労働組合法第2条)
平たく言えば、使用者は労働組合を買収してはいけませんよということです。
2004年に、球団再編問題に関連してプロ野球選手会が2日間ストライキを行いましたが、この時も、各球団は、各選手の2日分の報酬をカットしています。
6. ストライキ時の年次有給休暇の使用可否について
労働者自身の事業所に関するストライキを行う場合、行った日については使用者が有給休暇の使用を拒否できます。
これは有給休暇の使用が正常な労使関係にあることを前提としているためです。
(昭和27年7月25日基収3821号)
ということで、ストライキについて書いてみました。
来年の受験を考えている方にとって、今回の記事が参考になれば幸いです。
