政界汚染―警視庁公安部・青山望 (文春文庫)/濱 嘉之

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文庫本でシリーズ化している、警視庁公安部・青山望です。
今回も警部の同期4人組が大活躍です。
刑事1課、2課、組織犯罪対策部4課、そして公安。
ノンキャリ4人組がそれぞれの能力を最大限に発揮し
とんでもない大きな事件を解決に導き出します。

今回の事件は、参議院選挙と暴力団絡みです。
医者というよりは経営者として成功した中村は
政界からの後押しもあり参議院選挙に立候補します。
当選請負人との契約、そこには高額な現金のやり取りがあります。

選挙の結果は、次点。
しかし、そこからなんとも怪しい事件が起こります。
その参議院選挙の比例で最後に当選した人物が地元京都で
ひき逃げに遭い死亡します。
よって中村は繰り上げ当選します。

当選の依頼や金庫番をしていた病院の事務局長、金指は
選挙違反について警察から聴取を受けた直後、行方不明と
なります。

様々な出来事の裏に暴力団の影がちらつき、そのもっと裏には
中国という国の姿も見え隠れします。
青山の指示のもと公安の総力で作成された相関図が
今回も事件の解決へと導き出します。

裏側を知っているからこそ書ける著者の情報力には驚かされます。
コンクリートで固めて海に沈めるのは昔の話、
病院というアイテムが今、暴力団の必須となりつつある
ことに衝撃を受けました。

じっくり読んで楽しむ事ができました。
とても面白かったです。



デッドエンド―ボディーガード工藤兵悟/今野 敏

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久しぶりの続編、ボディーガード工藤兵悟シリーズです。
いつの間にか、拠点であったBarも閉店し工藤は、その店の
側のマンションを現金で購入し独り優雅に過ごしていたと
思ったら、不景気の波をもろに被る事になった工藤のような
フリーのボディーガードという業種では誰もが仕事が
激減し、工藤も民間の警備会社のアルバイトをしなければ
生活できない状況になっていました。

お金のない時にロシア絡みでいいギャラの仕事が
工藤のもとにきます。
今回の敵は、プロ中のプロ、工藤ももしかすると敵わない
かもと感じるような相手でした。
そんな殺し屋から依頼主である元ロシア政府の役人である
カジンスキーを守る事ができるのか。

しかし、話はとんでもない方向へ向います。
急展開する内容にしてはラストがあっさりとしていました。
これも今野作品の特徴ですね。
ロシアの現状や細かなアクションシーンがとても
面白く一気に読み終えてしまいました。



サイバーテロ 漂流少女/一田和樹

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この作品、ちょっとすごいです。
リアルに起こる気がします。
今は物理的な破壊行為よりも、サイバーテロの
ようなシステムを破壊する方が経済活動には
とても甚大な被害を加える事ができるのでは
ないかと本気で思います。

最近は、コンピュータウィルスによる攻撃より
安易なパスワードなどで情報を抜き取られたり
システムを乗っ取られたりする被害の方が
多くなってきているのではないでしょうか。

物語で子どもたちが引き起こした日本中のシステムの
乗っ取りは、年齢は関係ない事、ハードや
ソフト面でいくら対策をとっても肝心の扱う側、
利用者が気を付けなければならい警鐘を鳴らしています。

初心者にもわかりやすくするために、かなり
簡略化して専門用語もなるべく解説をつける
など読みやすくなっています。

ネットをいろいろやっている人は、一度読んでみると
いいかなと思う作品でした。


ルーズヴェルト・ゲーム/池井戸 潤

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直木賞を受賞後、第1作目です。
廃部寸前の野球部を舞台に青島製作所の直面する
危機を描いた作品です。

企業にある野球部、創設した理由、その後、
運営自体をコストとしてカウントするところから会社の
経営が危機に陥ったとき再建計画のトップに分類
されてしまうのは仕方がないのでしょう。
そもそもコストとしてしまった時点で遅かれ
早かれ終わりが見えるような気がします。

舞台である青島製作所野球部は、監督がエースと
4番打者を引きぬきライバルのミツワ電器へ移るという
指揮官と主力選手がいなくなり創部以来の危機に
直面します。

折しも会社の存続危機が訪れていました。
コンサルタント会社から当時の創業者の社長、青島から
ヘッドハントされた現社長の細川は、リストラを断行し
なんとか銀行からの融資、経営の再建に奔走します。

会社の経営再建を舞台に奔走する姿だけを追うこれまでの
経済小説と一味違う、野球部という存在が企業に何を
もたらすのか、全く関係ないようで意外にもその関係は
密であり、なるほどと思う作品でした。

帯にあるとおり、まさに人生を賭した男達の戦いが
ここに始まる、とても思い白い作品でした。
こういう時代だからこそ、結末はこうあって欲しいですね。
あまいと思いながらもホッとする、最後は心穏やかになる
作品でした。




プリティが多すぎる/大崎 梢

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なかなか面白い作品でした。
大手出版社に見事合格し就職した主人公の
新見佳孝は、文芸志望でしたが突然の異動で
女子中学生向けのファッション雑誌「Pipin」の
編集部勤務となります。
編集長と新見以外はすべて契約社員という環境で
仕方なく働く新見にだんだん心境に変化が。

自分の失敗が業界を巻き込む大騒動となったり、
数々の失敗と反省、そこに働く人達の熱意に影響され
新見は少女向けファッション誌の世界に馴染んで
溶け込み、人として成長していく姿が描かれています。

ファッション業界、モデルと事務所、広告代理店、
様々なメーカーの関係や、タイアップした時のルール、
少女モデル達が雑誌を卒業する時、その後の進路など
まったく縁のない世界だったので、とても勉強に
なりました。

様々なしがらみの中でいかに利益をだし販売部数を
伸ばすか、複雑な業界の関係が少しわかった気がします。
最後の部分はまとめに入っていて、ちょっと
くどい感じもしましたが、読みやすく面白い作品でした。