炎上 警視庁情報分析支援第二室〈裏店〉/遠藤 武文

¥1,680
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全国の迷宮入り事件を解決するために
警察庁が舞台になるのはわかるけど結構強引な感じです。
迷宮入りした事件は、警視庁情報分析支援第二室、通称「裏店」
に転送される仕組みができ、そこの室長代理、安孫子弘警視正が
この物語の主人公です。
普段は妙な実験を繰り返し、本来の仕事をしていない安孫子が
一旦、捜査にとりかかると、あっという間に犯人を捜し当てて
しまう、いわゆる天才です。

安孫子の天才的頭脳と、いつも上からな態度、
こんな人が組織にいたら大変だろうな、でも能力があるから
辞めさせられない、上司であれば一番扱いに困る部類に
入るだろうなと思いました。

彼の無茶苦茶な行動、言動と事件解決の物語が、4つの
短編連作となって描かれています。
安孫子を主人公にすると長編小説ができないのでは?
分析力はハンパないです。
一気に読める面白さ、短編連作が故に楽しめる作品でした。






列島融解/濱 嘉之

¥1,680
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警察小説でお馴染みの濱氏の作品ですが、
今回はどっちかというと経済小説かなと。
3.11後のエネルギー問題を正面から描いた
これからの日本という意味ではとても興味深い
作品です。

主人公の小川正人は、東日本電力の元社員で、
政策秘書を経て、財界や業界、親元の東日本電力と
財政的には最も安定しバックも心強い環境で衆議院選挙に
当選し、政界きってのエネルギー政策通として
力をつけ始めていました。

彼には、警視庁公安部と東日本電力が紹介してくれた
後藤、佐久間という優秀なスタッフに囲まれ
表と裏の情報にも長け過去の選挙でまったく相手を
寄せ付けない大差での当選を成し遂げていました。

小川が進めるのは、今あるべき日本のエネルギー政策です。
原発を単純に廃炉にすれば終わる話ではない現在の日本の
電気事情、業界の出身ではあるが業界益を優先した
発言や行動は全くなく、強い信念で突き進んで行きます。

エネルギーを題材に政治の中でストーリーが展開される
今までに経験の無い感じの作品です。
今おかれている日本の問題、3.11以降は技術の流出も
あり、様々な点から警告しています。
強いリーダーシップを発揮し、日本を再建するには
自らの生活の心配をしなくてもいい、政治に専念できる
小川のような政治家が登場しなければ先は真っ暗です。

インテリジェンス・フィクションという帯の一言が
本当にぴったりな作品です。
この作品を読んで、もう少し、これからのエネルギー政策
について勉強してみたくなりました。
とても面白く、日本の未来を考えるきっかけになりました。



圓さん、天下を回る (ゴールデン・エレファント賞シリーズ)/升本 九八

¥1,050
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ONE PIECEの脚本なんかも手がけている
「ますもとたくや」氏が、升本九八という名前で
今の日本の将来を描いた作品です。
登場人物の紹介の段階では、この作品はいったい
何なんだろうと思いながら読み進むうちに
すべてが繋がり、国家破綻寸前の日本に待ち受ける
未来と運命を変えるべく様々な人達が挑んでいきます。

日本の抱える巨額な借金、返済できるのか。
方法は実はいくつかあり、そのうち実行されるのでは
と本当に今の政治状態だとあり得るのが怖いです。

様々な経済の問題とその解決策、意外な答えと
その根拠、小説なのに経済が勉強でき、日本の現実を
知ることができる楽しい作品です。
金は天下の回りものって言葉の意味が深いです。
なかなか面白い作品でした。



破戒者たち <小説・新銀行崩壊>/高杉 良

¥1,785
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リベンジ・ホテルを紹介した次にこの作品ってのは、
ちょっと失敗した感じです。
金融腐蝕列島では主人公となったのですが、この
作品では同一人物かというくらいな描かれかたで。

日本振興銀行をモデルにした物語です。
「20億円集めれば銀行をすぐに作れる。」
東京青年会議所(東京JC)とノンバンク「オラガ」の
資金で発足したミドルリスク・ミドルリターンの
新日産興銀行、貸し渋りや貸し剥がしに苦しむ
中小企業のための銀行として開業しますが、
貸出が伸びず、無茶な経営が影響し、わずか6年で
破綻した銀行の生涯が描かれています。

東京JCの平田斉之助、オラガの越智信治、
Mファイナンス社長の村木豪。
3人による新日産興銀行設立準備にかかる記者会見から
物語は始まります。
村木は、金融再生プログラムや厳格検査で名を馳せた
竹井平之助経済財政・金融担当大臣のブレーンであり
マスコミにもたびたび取り上げられ有名人となって
いました。

記者会見を見守る、Mファイナンスの企画部長、大塚
オラガの取締役、倉田の2人が物語の中心というか
村木や越智の強引な手法に振り回される姿が描かれて
いきます。

強欲な者達は達成感というものを知っているのでしょうか。
どこまでも上を目指し、目障りなものは排除していく、
そして周りが見えなくなり、気がつけば墓穴を掘る。
物語もそんな単純なストーリーでありながらリアルで
つい名前が置き換わって、現実でもこんな感じだったのか
と思い込んでしまいます。
破綻後の姿までしっかりと描かれた作品です。



リベンジ・ホテル (講談社文庫)/江上 剛

¥780
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ゆとり世代の新入社員が関東のとある市にある
唯一のホテルに就職、再建への救世主となります。

こういう世の中だからこそ、こういった作品が
今本当に求められているような気がします。
困難に立ち向かいハッピーエンドを迎えられる
読んでいて気持ちのよくなる作品です。

就職先の決まらない花森心平は、幕張で開催された
就活フェアで就職先となるホテル・ビクトリアパレスと
出会います。
名前は豪華ですが、実は、支配人も逃げ出すほど
経営が行き詰まっている少し寂れた駅前のホテルでした。
突如、銀行からこれまでの融資した全額の返済を求められ
破綻寸前に追い込まれます。

そんな状況の中、花森は新入社員として迎えられます。
今まで自身のなさが表情に出がちだった花森が、
ホテルで研修していく中で、成長し周りの人達も影響され
ホテルの再建に力を注ぐ姿が描かれています。

サービス業の基本、おもてなしの心と効率化、
地元住民にも愛されるホテルへの変貌と奇跡が描かれた
安心して?楽しんで読める作品です。