- 東京タワーが見えますか。/講談社

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江上氏の描く、経済小説、今回は短編集となっています。
全く違う6つの話、今の日本でおきている出来事、
それは嬉しいこと、悲しいことを江上氏の視点から描いています。
銀行という組織が犯した罪、バブルの頃に行った行為は
後に大勢の人を不幸にしてきました。
これまでの人生に別れを告げ新たな一歩を踏み出す人、
しがみついていく人、結局諦めてしまった人。
サラリーマンは定年になれば不要となり、雇用は若い人に
厚く保護される政策が進んでいく末路は。
サラリーマンのできること、自営業にはできない組織という
中で生きる人々の心の葛藤と思い、正義と幸せが
描かれ様々な心がジンワリと伝わる作品でした。
- SE神谷翔のサイバー事件簿 (幻冬舎文庫)/幻冬舎

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文庫書き下ろし作品の短編連作です。
SEもの好きなんですよね。
主人公の神谷翔は、天才的ハッカーで
警察のサイバー犯罪捜査に協力しながら
エールシステム社というソフト開発会社に
勤めています。
ウィルスに犯罪予告、なりすましと今ネット社会
でも頻繁に起こっている犯罪を解決していきます。
草食系でディズニーオタクというところが神谷の
性格であり、積極性は皆無で常に控えめに
サイバー犯罪へ立ち向うという面白さがあります。
ネット犯罪は犯す方も犯罪の意識が低いという所が
特徴で逮捕されたりし、そこで事の重大性に気づく
のがほとんどのようです。
個性があまりない主人公、神谷の活躍が物語を
不思議と面白くしています。
神谷自身が最も解決したい問題がこの作品では、
まったく進展しなかったことから続編へと繋がる
のでしょうね。
次作も楽しみな作品でした。
- 尖閣喪失/中央公論新社

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タイトルどおり、結局こうなってしまうのだろうなぁと
妙に納得してしまう結末、モヤモヤします。
話題の尖閣諸島、中国が乗り込んできます。
日本の現在の軍事力であれば防ぐ事のできる
しかし、容易にその判断をできない理由があります。
日中、日米、米中関係が天秤にかけられます。
尖閣という小さな島々に大国の交渉力と軍事力、
経済力と様々な「力」がギリギリのところでせめぎ合う
単純な武力衝突ではないリアルな分析、
選挙が近いとも言われる今日、本当に起こりうると
真剣に考えてしまう作品です。
尖閣諸島周辺、中国国内、日本の自衛隊基地、国会内、
あらゆる場所、場面での出来事がリアルに描かれています。
それぞれの緊張感、すべては日本が政権交代した事から
始まった最悪のシナリオ。
事は、中国ペースですべては進み、日本には為す術はないのか
最初から最後まで緊張感の続く作品です。
とても面白くもあり、残念な気持ちにもなってしまうのでした。
- コレキヨの恋文/小学館

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歴史を見れば解決策は出ている。
過去にも同じ状況に日本は陥り、そして復活した
高橋是清に学ぶ日本経済の復活劇。
著者は、テレビでもおなじみの三橋貴明氏です。
どうしても異色な感じのする三橋氏の発言、しかし
その裏には歴史が裏付けていたのでした。
デフレ化に緊縮や増税政策を強行するのは、
いかに愚策であるかを野田首相の次の首相、
霧島さくら子は高橋是清から学びます。
積極財政、公共事業や国債の日銀買取などは
いつもポッドキャストで聞いているグレゴリー・
クラーク氏も言っています。
では、なぜ歴史が証明しているにもかかわらず、
今の政府は増税、緊縮財政に舵を切るのか。
そういえば、バブルが崩壊した頃もしばらくは
公共工事を増発し補正予算で更に追加と財政
支出を続けましたが、経済状況は好転しませんでした。
おそらく正しい答えというのは1つではないのでしょう。
それでも国民は、きっと増税よりも大胆な経済政策を
支持するでしょうね。
日本が経験してきたはずのデフレ脱却の方法。
とても勉強になる作品です。
- 定年待合室/潮出版社

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これはなかなか面白い作品ですよ。
これまでの江波戸作品とは一味違います。
50代60代の方には同じような思いをしている人は
たくさんいるのではないでしょうか。
これまでの貴重な経験や知見をフルに発揮
できる機会は、こうやって見つけていくのかと
新たな視点でみる事ができます。
主人公の大手百貨店でも評判の営業マンだった
大和田宏は派閥争いのスケープゴートとされ左遷、
そこに妻の癌の宣告、早期退職制度を利用し
妻の看病をし最後を見届けしばらくは何も出来ない
状況になっていました。
やっと立ち直りかけてリハビリのつもりで昔通った
スナックAYAへ立ち寄ったのをきっかけに人助けを
はじめることになります。
どうせ暇な毎日、独りでいると妻を思い出し塞ぎこんで
しまいがちなので、大和田にとってもいいリハビリと
ばかりに相談にのります。
百貨店時代の後輩が会社の記念品を突然のキャンセルで
途方に暮れていたのを大和田の人脈で何とか解決して
しまいます。
その後も不正のあった自動車販売店に店長となった
男に盛り返しと店のあり方を、これまた大和田の人脈で
解決し、売れ残ったマンションを完売することさえ
やってのけます。
最後の難関、高齢化し買い物難民が出始めた町を
再生させつために打って出た作戦とは。
経験者でなければ分からない心情や背景の分析、
データだけでは見えない何かを導き出す、どこにでも
ありそうな話を、これまたどこにでもいそうな人達が
解決していく日常がとても面白いです。
読み終えた後、ほっとする心地よさがいいです。