禁猟区/乃南 アサ

¥1,470
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警察の警察、監察官の物語です。
連作の短編集となっています。
それぞれの作品には、対象となる罪を犯した
現職の警察官が主人公となるわけですが、
監察側の主人公は、沼尻いくみです。

彼女は、たくさんの警察官の犯罪をみてきます。
捜査情報の漏洩、恐喝など様々な犯罪行為、
警察官という特別な地位を利用した行為に対し
厳しく臨むのでした。

とは言っても、監察の仕事はやはり周りの人間、
同じ警察官からしても嫌な存在、それまで親しかった
人間関係にも溝ができてしまいます。

孤独感のある監察は、同じ監察の同僚たちでチームを
作り、隠密行動を貫き対象者の行為を摘発します。
作品には、沼尻自身が被害に遭う事件が発生します。
犯人は誰なのか。
そこには元恋人で今は警官を辞めた男の姿が見え隠れします。

刑事など、その筋ではプロのはずの人間も自身が、その対象と
なるとこんなものなのかと、意外とも感じました。
陰の存在を描いた物語、珍しい作品でした。



俺のコンビニ (メディアワークス文庫)/峰月 皓

¥578
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どこでも当たり前にあるコンビニ。
そのコンビニを舞台に新規オープンまでの
ドタバタを描いた作品です。

主人公の大学4年生、牧水良平はバイトで勤めていた
オーナーが倒れて、直営になったことから本部に不満を
持ち退職、田舎へ一旦戻ります。
実家は、小さな商店、母親も高齢となり、そろそろ
店も閉める時が近づいていることを誰もが感じていました。

店を手伝った良平は、やはり客商売が好きな自分を改めて
認識し、商店をコンビニに改装し自分がオーナー兼店長と
して始める決意をします。

様々なコンビニチェーンのどことフランチャイズ契約を
結ぶか、従業員はどうやって集めるか、もともと観光地で
ある実家の界隈、働き手はどうしても地元の主婦か高校生と
いうことになり、面接、研修も大変です。
そしてライバルとなる大手コンビニチェーンが近所に
オープン、様々な嫌がらせ、そんな状況におかれても
チームワークで補完し合い前に突き進む良平の
姿はよかったです。






めげないくんとスパイシー女上司―女神(ガデス)たちのいる職場 (メディアワークス文庫)/有間 カオル

¥620
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メディアワークス文庫を買ってみました。
どこにでも一人はいそうな新人君。
気合いだけ入りすぎ、やることは失敗ばかり、
言われたことを素直に聞かず、やはり失敗する。
そんな少しというか、かなりウザい新人くんの話です。

テレビに関わる仕事、願わくばディレクターになりたいと
いう夢を捨てきれずテレビ局には就職できなかった主人公の
数馬瞬は、24時間ひたすら通販番組を流し続ける
「ザ・ショッピングTV」に入社します。

空回りの末、最初の配属だったアパレル部門はクビ、
新ブランド立ち上げのため誰でもいいから人手の欲しかった
コスメ部門へ異動することになります。
そこで任された仕事は雑用のみ。
ゲストの相手をし、わがままに付き合い、ミスを連発しながらも
何とかクビにならずに彼は相変わらずに意気込みで
突き進むのでした。

そこで起こった大きな事件、誰が原因だったのか。
テレビ通販の世界と新人くんのウザさがとても面白かったです。



特異家出人/笹本 稜平

¥1,680
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主人公は、警視庁刑事部捜査一課特殊犯捜査二係の
堂園晶彦、堂園は鹿児島に多い名字だそうで、
今回の物語は、その鹿児島が舞台となります。

小学生の少女が交番へ一人の老人の行方がわからなく
なったと訴えてきたことから始まります。
通常なら家出人として捜索願が出され特段探すことなく
事件が起こったときに照会するデータとしかならない
はずが、たまたま所轄の刑事課主任の浜中良二が受けた
ことから、物語は大きく動き始めます。

相当な資産家である老人は、有村礼次郎、84歳、
出身は鹿児島、突然姿を消したことに堂園は、犯罪の
臭いを嗅ぎつけます。
拉致という言葉が浮かびます。

東京で起こった拉致事件は堂園の故郷、鹿児島へ
舞台を移し、大きな展開が待っています。
老人の命を守り無事救出できることはできるのか。
緊迫した中でのやりとりがとても面白いです。

思わぬ事件に、思わぬ繋がり、偶然が重なる新事実と
緊迫した救出劇、ドキドキしながらも結末に感動
してしまう、面白い作品でした。




夜診 (静山社文庫)/霧村 悠康

¥880
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一代で築いた地域最大の総合病院、滑川総合病院の
医院長、滑川俊之、腕のいい外科医で評判でした。
しかし、息子が恐ろしく無能、金を積みまくって医学部へ
入学、そして何とか卒業も国家試験に何度も落ちると
いうありさま。

何とか合格するも、大学病院から追い出されるようにして
滑川総合病院へ戻ってきました。
外科医のくせに手が震えて何もできない、無能なだけでなく
性的欲望を露わにし手当たり次第、こんな医者が存在して
いいのかと気分が悪くなります。

患者は死なせる、看護師にも手を出す、そもそも彼は
子どもに経験した病院裏の工場での出来事が強く影響して
いるのでした。

患者の死亡、看護師の失踪、滑川院長夫妻の不倫、
そして無能な息子、無茶苦茶な家庭の恐ろしい事件、
裏側に何があるのか。
病院を狙う怪しい人物、嘘に嘘が重なり、物語のラストは
読み始めた時点では全く想像できません。

医療というより、もっとドロドロした人間関係を描いた作品です。
個人的には登場した製薬会社のその後が知りたいところです。