共謀/大村 友貴美

¥1,890
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これは、ブログのテーマを分類するのに困る作品です。
経済小説のような警察小説のような、帯にはサスペンスと
あるので、とりあえずそうしました。

全国展開してきた大手スーパーのユナイテッドリテール、
主人公はそこのパートでレジ係だった唐沢泉です。
彼女は、娘を交通事故で亡くし気力を無くしていた時、
社員となり、現在は広報室長となり仕事に没頭する事で
娘の事を忘れようとしていました。

事件は、初めて都心に大型ショッピングモールを建設して
いる現場から焼死体が見つかったことから始まります。
被害者はブラックジャーナリストとして有名だった、
古川耕治、彼はなぜ殺されたのか、追っていた事件は
ユナイテッドリテールに関する事だったのか。
謎が深まるなか、広報担当の役員、中谷の突然の解任、
社長の娘、城山美希の誘拐、立て続けに起こる事件、
泉の母が冷蔵庫から遺体となって発見され、物語は
複雑化していきます。

物語が進むにつれあるキーワードが浮かんできます。
これだけ複雑な内容の真相には驚くべき出来事が
隠されています。
事件は偶然なのか、それともすべての事件が関係して
いるのか、頭を整理しながら読み進めないと混乱して
しまいます。

読み手は頭を混乱させながらも、一つずつ整理していくと
思わぬ手がかりが掴めます。
社会問題も提起しつつ、その深い内容に引き込まれます。
じっくり読んで理解し整理しながらたどり着くラストは
達成感みたいなものを感じてしまいました。




奪還 (100周年書き下ろし)/麻生 幾

¥1,785
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発売した直後に購入したものの読むのが遅くなってしまいました。
新聞でも評判となったこの作品、著者の麻生幾氏は
本当に様々な分野に進んでいますね。
今回もあっという間に読み終えてしまいました。

海上自衛隊の極秘部隊、通称バッドボーイズ、彼らは大きな仕事を
やり遂げそして責任をとらされ追放される。
やはり、こういった仕事を担う者はこういう運命になるのですね。

主人公は、元海上自衛隊特別警備隊先任小隊長2佐の河合たけし。
日本を離れフィリピンのダバオで暮らしてました。
そこでの仕事は正義という名の殺し屋。
そんな河合に日本から国境なき医師団の折原雪乃を探してくれという
依頼でした。
彼女は、コタバト市、フィリピンの最も治安が悪く更に地震による
被災で街は孤立し最悪の状況になっている、そんな街で拉致され
行方不明になっていました。

河合は彼女を助け出すべくコタバト市へ向かうところから話しは
動き出します。
読者の裏、その裏を行く展開、想像を絶する真相に唖然とする
ラストを迎えることになります。

今の世の中、実際にこんな出来事が起こっても不思議ではないと
最近は思うようになったのですが、それにしてもという感じです。
読む手の期待を裏切らない展開に今回も驚くばかりです。
それにしても微妙にハッピーエンドとならないのは相変わらずと
いったところでしょうか。




監査法人/矢島正雄(脚本)

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NHK土曜ドラマの「監査法人」、主演が塚本高史、ほかに
松下奈緒、橋爪功とか出演していたドラマでDVDににも
なってます。
とっくにDVDでみたのですが、ノベライズ化されたという事で
復習?の意味もこま買ってみました。

舞台は2002年です。
厳格な監査が求められた時代、会計基準の国際化に伴い
政府も厳格監査に政策の舵がきられ、これまでの企業と
監査法人の曖昧な持ちつ持たれつの関係が見直されようと
している時、主人公のジャパン監査法人の若杉健司は、
厳格監査を行い、その結果、会社が無くなり、社員は
自殺を図る、これでいいのかと疑問を感じながら
その答えを見つけるために更に仕事に励むのでした。

ルールというのは破ってはいけないのは当然としながらも
すべてが厳格に守りつつ自由な活動ができるのか、
ある程度のあそびが必要なのでは、ではそのあそびは
どの程度までは許されるのか、過ぎれば犯罪になるし、
ルールに矛盾が生じれば修正が必要となるが、その
修正までには相当の時間がかかる。結局それまで待てない
ところは淘汰される。
複雑な社会の仕組み、会計基準という世界からみた
現代の問題を提起する内容になっています。

きっと世の中は変わり続けている限り、完全なルールは
あり得ないのでしょう、その中でも最大限に活かせる
ような厳格と成長を両立するにはどうしたらいいのか
いろいろと考えさせられる作品でした。



カウントダウン/佐々木 譲

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多選ワンマン、自らの政策が招いた財政破綻。
それを立て直せるのは自分しかいないと妙な理論で
6期目の立候補を表明する現市長の大田原昭夫、
舞台は夕張の隣で夕張をずっとライバル視してきた
幌岡市が再建団体になり復興していく姿を描いた
作品です。

主人公は、そんな幌岡市で父から事故死の後、後を
継ぎ司法書士になり事務所も引き継いだ、最年少
市議会議員の森下直樹です。
彼に突如、選挙コンサルティングの多津美が訪れ
次期市長選に出馬しろ、コンサルティング費用は
不要だと告げられます。

議会では、与党に属していない議員のうちの1人は
森下自身、もう一人は共産党の議員という、
ある意味やりたい放題の与党議会。

選挙運動の大切さ、誹謗中傷、嫌がらせなど障害は
多いが、多津美の調整力、森下の立候補に賛同した
支援者が頑張る姿もあります。

再建団体に陥ってしまうとどうなるのか、
地方選挙の技とは。
破綻に陥る経緯と原因はいったい何なのか、
復興と再生をかけた戦いを描いた作品です。





刑事たちの聖戦/久間 十義

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刑事たちの聖戦(ジハード)って読みます。
旧大蔵省高官連続殺人事件から物語は始まります。
殺害された元高官は、7年前の明和銀行事件の
関係者でした。
その時の事件で殉職した松浦刑事の息子で亮右が
父の敵とばかりに殺害したのだという容疑で捜査が
始まります。

亮右を緊急避難させる赤松浦刑事の盟友、赤松警部補、
まったく関係のないところで何かがおこり容疑者と
された亮右の思いとは裏腹に、事件は公安部対刑事部、
政府与党対野党、チャンスとばかりに代理戦争が
始まり、誰が敵で誰が味方なのか。
それとも、すべてが敵なのか。

本人のいないところで話は、右へ左へ大きく展開し
捜査は蛇行しながらも真犯人へと近づいていきます。
その真犯人もまた複雑な事情を抱えていました。

与野党が逆転した政権下で実際におこるであろう展開に
唖然とし、警察官僚の内部抗争に捜査がこのように
ねじ曲げられていく様は本当に醜いです。

しかし、これが現状であり、今はこんなことでも
しないと生き残れない官僚組織には驚きます。
物語の展開、ストーリーの面白さより、この構造に
複雑な思いを抱きながら読み終えた一冊です。