アンダルシア/真保 裕一

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映画と原作はかなりストーリーが違いますが、
ネタバレにならないように気をつけます。
外交官、黒田康作もすっかり織田裕二のキャラに
なってしまい、この作品でも前作の映画やドラマの
とおりに読み手もキャラができあがっているので
堅い正義感の強いイメージになっています。

今回の作品では、これまでと違い主人公の黒田が
単身でアンドラ、フランス、そしてスペインの警察
組織と渡り合います。

一人の日本人女性からかかってきた救助依頼の電話。
ここから物語は大きく動き出します。
黒田の取った行動も後々自分で責任を取ることに。
これまでのシリーズで一番の難問です。
想像もできない各国の思惑と考え方の違い、
EUとなって一つの共同体になっても、それぞれの
国の誇り、プライドがぶつかりあうのでした。

法人保護とは、いったいどこまで関わることが可能なのか
黒田らしい振る舞いで正面からぶつかっていきます。
そこにある真実と結末は意外なものでした。
黒田康作って本当にこういうイメージでいいのかな?
と思いつつも真保氏らしい軽快なテンポで綴られた
とても面白い作品でした。



帝王星/新堂冬樹

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このシリーズもとうとう完結です。
最後の勝負、帝王になるのは藤堂か、それとも立花か。
主人公の立花も30歳になり、藤堂に出会った頃の
年齢になりました。

新宿歌舞伎町を舞台にキャバクラの世界でナンバー1に
なることを夢見るキャスト、そして経営者達。
勢力を凄まじい勢いで拡大する立花、
元祖ともいうべき、あらゆる風俗を支配する藤堂、
2人の戦いが2人のカリスマ的な力のあるキャスト
ゆりなと冬海の売上で勝負、負けた方がこの世界から
完全に足を洗う、すべてを賭けた戦いが始まります。

この作品、カバーを取ると現れる強烈なデザインに
驚かされます。
そして物語の中身は、なぜか先を急ごうと、終わりへと
急ぐ感じを受けました。
これまでの二作品とは違い、舞台の設定や人間関係、
何もかもがやや端折られている印象を強く感じました。

もう少し、じっくりと進めてもいいような感じがしました。
そして、この作品、藤堂、立花、冬海、彼らの過去、
作品を十分に楽しむには、これまでの作品を読むことが
必須です。物語の前提を知らないと楽しみが半減してしまいます。

しかし、想像はしていたもののラストがちょっと。。。
というより、3部作のラストがこんな終わり方でいいのでしょうか。
とても残念な気がしてなりません。
でも、こうするしかなかったのかもしれません。
複雑な想いで終わってしまいました。





先日、古くなった財布を買い換えようと思い、
以前から気になっていたマザーハウスに行ってみました。
マザーハウスは基本的にレディースのショップですが、
メンズものや、どちらでも使えるユニセックスな物も
少しだけですがそろっています。

どうしてマザーハウスかというと、創業者で社長の山口絵理子さんの
起業理念にとても共感したからです。
以前は、やはり財布はブランドものと思っていましたが
山口さんの考え方は、善意や自己犠牲の上に成り立つ「援助や寄付」
という形ではなく、経済の基盤をしっかりと持った持続的な協力の仕方、
途上国にある資源を使って、先進国でも十分通用する商品をつくり
輸出を促進することでした。

もともと、お金や物資を渡す援助や寄付はその場限りで将来に続かない、
と思っていました。やはり自立する基になることをしないと
いつまでたっても与える立場、もらう立場が変わりません。
そんなことを思っていたら、実行している方がいて、それが
山口さんでした。

ちょうどイベントか何かで、その日は山口絵里子さん本人が店頭に
いて、購入した財布をオリジナルの袋にいれてくれました。
会計を待つ間、少しお話をしたのですが、とても強い意志と行動力が
あることを感じました。
40人のバングラデシュで働く従業員とともに頑張っていることを
すごく誇りに思っている事が感じられとてもよかったです。
これからも応援していきたいと思いました。


ヘッドライン/今野 敏

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今野氏の最新作です。
なぜか、書店ではサイン本しか売ってないという
珍しい状況で、早速購入しました。

前作「スクープ」の続編、主人公は、TBNテレビの
人気報道番組「ニュースイレブン」の遊軍記者、
布施京一です。
彼は、いつも夜の街を本当に楽しみながら飲み歩き
気がつけば思わぬネタを拾ってきてスクープを出す、
勤務態度は評価されたものではありませんが、その
引きの強さと優秀さは誰もが認めるところでした。

布施はある日、1年前に起こった女子学生のバラバラ
殺人事件が別の事を取材していくうちに気になっていました。
当時は、若い女性が何者かに殺害されたといことだけで
被害者に同情があつまりかわいそうな出来事として
終わっていました。

しかし1年経っても犯人は捕まらず、もう一人の主人公
警視庁捜査一課の継続捜査担当の黒田が継続捜査を担当
していました。
偶然にも布施と黒田は同じ事件を追っかけていたのでした。
真相は、真犯人は誰なのか、2人の共同捜査が始まります。

都会ならではの事情、誰しもが陥りやすい都会の罠、
いつもの今野作品と同様にテンポよく一気に読めてしまう
面白さです。




県庁おもてなし課/有川 浩

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すごくよかったです、この作品。
お役所仕事に対する強烈な指摘、口だけの民間感覚を
主人公の高知県のおもてなし課に勤務する掛水史貴です。
入庁3年目の25歳、課では市場の若手。
彼が驚くほどの成長を遂げ、日本有数の観光立国になる
過程を描いた作品です。

この作品を読む直前に上野の国立科学博物館に行ったのですが
ちょうど高知の企画展をやっていて、これも何かの縁だなぁと
思い、早速読んでみたのでした。
その時もらったミレービスケットおいしかったです。

最近は、四国全体がブームのような気がします。
香川のうどんが東京にどんどん進出し、徳島の物産をローソンが
コラボしたりと、やはりよいイメージをつくるきっかけは
食べ物からなんですかね。

おもてなし課が取り組んだのは、高知県出身の有名人への観光特使就任
というベタなものでした。
そこでもう一人の主人公、人気作家の吉門喬介が登場します。
就任を依頼した掛水に強烈なダメ出し。
役所と民間の思考の違いをとことん教え込む吉門、彼には高知へ違う
思い入れがあるのでした。

地方復活のヒント集にもなっている作品です。
不便さ、お金が無くてもできること、予算の使い方、優先順位の
思い切った切り替え、発想を変えればここまでできるという
タネがたくさん仕込まれている物語です。
前例主義の県庁職員と地元利益誘導しか考えていない議員、
凝り固まった思考を打破する方法はこの1冊に書かれています。

とても面白くて、感動できる物語でした。