ROMES06 まどろみの月桃/五條 瑛

¥1,995
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ROMESシリーズ第3弾です。
最強のシステムであるが故に、そこを突いてくる
これまでで一番の策士との頭脳戦です。

西日本国際空港の警備システムROMES、
これまでの作品とは違い、今回の相手は何重もの
トラップを仕掛け目的の達成に執念を燃やします。

帯のとおり、失うものは何もない。こんなに恐ろしい
覚悟はありません。
最新のシステムではじき出されるこれまの要注意人物、
それが次々と姿を現し、嫌でも空港内が慌ただしくなる
その隙を狙う敵。

主人公の成嶋優弥は、敵の本当の狙い、それが祖国を
守る戦いだと知った時、何かを感じます。
空港だけが守られればいいのか、一歩空港から出たら
何もできないのか。
最大の攻防戦になります。

物語はROMESを中心にしたこれまでの作品とは
異なり、攻防戦に至る背景や、それにまつわる
エピソード、この戦いは生涯にわたり、本人だけでなく
迫害を受けた者達すべてが思い続ける堅い意志が
源となっています。

とても面白い作品でした。



リブート!/福田 和代

¥1,470
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個人的にはとても面白かった作品ですが、
こういうテーマの作品ってなかなか話題に
ならないんですよねぇ。
銀行の巨大な基幹システムにトラブルが発生し
それも頻繁に起こっている、そんな日々の
トラブルを夜間に処理し翌営業日には何事も
なかったように動き出す、私たちが何気に
使っているATMも様々なトラブルが裏側で
起こっているのですね。

2つの銀行が合併すると当然、システムを統一
する必要が発生する、その業務携わる様々な人たち
彼らの日々を描いた作品です。

主人公は、横田大志は旧明徳銀行の出身、
一方の旧東邦銀行は、中瀬川、2人はそれぞれの
銀行の関連会社で、システムを担当しており、
その性格が真逆なせいか今でもなお信頼関係が
築けていない状態でした。

そんな関係でも、トラブルが起きれば双方のシステム
のトラブル処理をしなければなりません。
この作品では、それぞれの性格が、起こったトラブルを
どう処理するか、どちらが正しいとか勝った負けたでは
なく、それぞれが最善だと判断した方法で処理を
していく姿が描かれています。
それは、会社の雰囲気、最も影響を受けるのが部下たちの
反応です。
人間関係も興味深く、楽しい作品でした。




天の方舟/服部 真澄

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ODAの金をめぐるドロドロとした裏社会の構造が
描かれた、お金に執着した真っ黒な作品です。

親の牧場経営がうまくいかずキャバクラのバイトで
親に仕送りをしつつ京大へ通う主人公の黒谷七波は、
店でODA関連の開発コンサルト会社の人間から興味
深い話を聞いたことをきっかけに就職先を
日本五本木コンサルタンツにします。

そこで知ったODAのからくり、お金のために自らも
その金に手を汚していくことになります。
税金から出る政府開発援助(ODA)は、途上国へ
そのお金で援助国から日本の会社へ仕事が発注される
外国の公務員への賄賂は禁止されていなかった時代、
多額の金が裏工作に使われ、その一部は会社や
扱った職員、そしてODAの予算をそもそも獲得してきた
国会議員へと還流していく仕組みになっていたのでした。

まさに裁かれざる罪を重ねて重役にまで上り詰めた
黒谷、彼女は何を思い、どう行動いていくのか。
ものすごい取材力により真実味があり523頁におよぶ
物語は迫力があり、衝撃の結末で幕を閉じます。
とても興味深くじっくりと読ませてもらいました。
面白かったです。





化合/今野 敏

¥1,680
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今野敏氏最新作は、1990年科学捜査という手法が
産声をあげた時期が舞台です。
携帯電話も普及してないポケベルが全盛の時代、
DNA鑑定が身近ではない時代に刑事裁判では何が
起こっていたのか、えん罪を防ぐことは可能なのか
踏み込んだ作品です。

殺人事件が発生、そこにはなんと検事が臨場したのでした。
矢継ぎ早に指示を主人公の警視庁の刑事、菊川達にだし
浮かんだ容疑者の周辺捜査をすることなく自白を迫り
起訴を急ぐ検事の烏山、菊川とコンビを組んだ所轄の
滝下刑事とともに独自に捜査をしていきます。
行き着いた先には、本当の真実が巧妙に隠されているのでした。

意外な結末と真実を追う刑事達の熱意が今野氏らしく
軽快に描かれていて、あっという間に読み終えてしまいます。
どんな時代の小説でも、違和感を感じさせない面白さ、
今作もとてもよかったです。



小説 郵便利権―小説 会計監査〈2〉 (幻冬舎文庫)/細野 康弘

¥480
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小説 会計監査というよりは、小説 西川善文といった
感じでしょうか。
主人公、山内豊明氏は郵政公社の初代社長となりました。
彼が三友銀行社長時代に行ったこと、それはアメリカの
指示にすべて従う、そして優良な日本の銀行を売り渡そうと
していた時の総理と担当大臣に対しての抵抗、
その強かさはすごいの一言です。

その結果、銀行の社長を辞任せざる得なくなる訳ですが、
当時の金融庁の検査は、無茶苦茶です。
裁量検査そのもので、前回、前々回の検査では自ら問題無しと
していた案件まで問題ありと指摘する始末です。
そんな強引な検査によって形状することとなった赤字により
引責することとなった山内が、こんどは郵政公社から完全に
民営化するための初代社長として招聘されます。

そこで、山内が行ったことは、民営化に絡む見えない利権を
どんどん明らかにしていくことでした。
それは自らの責任において行い、ここでも引責することと
なるのでした。

彼の手腕、決断と指導力は金融機関においては抜群でした。
すべての責任を負い、部下へは徹底的にやらせる、
どこかの国の人とは大違いです。
まあ小説なので、実際のところは分かりませんが、
一連の銀行の合併や郵政民営化を違った側面から読むことが
でき、なかなかの作品でした。