黄土の疾風/深井 律夫

¥1,680
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第3回城山三郎経済小説大賞受賞作品です。
この作品のストーリーには本当に驚きました。
これほどまでに緻密に構成され、現代の問題を
的確に表現し、日本、中国のおかれた農業や
経済問題を絡ませた壮大な物語に大変感動しました。

物語は相当難しく頭をフル回転しないと理解できない
ところもあり、普段の仕事以上に頭を使ってしまうと
いう、終日仕事している感じになってしまいました。

集中してゆっくり読むことで、この物語の真意、
面白さは増すこと間違いありません。
挫けず読み進む事が大切です。。。

主人公の大塚草児の取り組む投資ファンドと
日中の農業再生、金融と農業再生、関わりが薄いと
感じるかもしれませんが、こんな力があるのかと
本当に驚きの連続です。

心に響く言葉がたくさん出てきます。
この作品では、多くの事を学び感動することが
できました。
本当に面白い作品です。




黄金特急/久間 十義

¥1,995
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ITベンチャー興隆期を背景にした経済青春小説と
帯にはあります。
1996年、主人公の大倉篤と谷口泰樹が創業した
デジキッズという小さなベンチャーがM&A攻防戦に
突入し、その果てはどうなったのか。
2000年に上場してからは、マネーゲームの話に
終始していきます。

読み始めは、なかなか面白いのかなと思っていましたが、
上場後の話は、結局、あの事件がもととなっていました。
ライブドアの出来事は、ITベンチャーとイコールの
ように語られるようになってしまったのですかね。
相当に緻密な取材のうえで構成された作品ですが、
この後半と結末をどう評価するかはそれぞれ違うの
だろうなと思いました。

会社は上場すると、何者かの乗っ取りを恐れることに
なってしまう、しかし上場とはそれを覚悟で資金調達を
するということ。
それでも事業の拡張や会社を大きくするには、上場が
最も適していることはわかるし、リスクはつきものなのも
わかります。

小が大を呑み込む、ネットビジネスで流行った言葉です。
ネットバブルとその後の出来事、社会構造を大きく変えた
きっかけにもなった時代を描いた作品です。


密売人/佐々木 譲

¥1,680
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北海道警察シリーズも第5弾となりました。
最悪の一週間から5年以上も経過しましたが、
津久井や佐伯らはまだ遊軍という名で懲罰的人事が
続いていました。
もともと優秀な刑事なので都合のいい時に駆り出される
そんな扱いを受けつつも周りでは少しずつ変化が見え始めた頃、
警察の協力者、エスが同じ日に3人も殺害されます。

佐伯、新宮、津久井、小島といつものメンバーが集まり
昼食会を開いたとき、それぞれが担当している事件の
概要を話しはじめた時、共通項が見えてきます。

またまた、警察内部からの情報漏えいの可能性が見え隠れ
する事案に佐伯らは裏捜査を始めます。
懲りないというか、これまでの習慣はなかなか抜け切らない、
そういった経験をした人間はそうそうに抜け出せない、
そんな印象が残りつつも彼らがいれば大丈夫といった
安心感さへ感じる作品でした。

今回も、彼らの近況と新たに起こった事件をそれぞれが
捜査を始めることから話は始まります。
一見なんのつながりもない事件は、背景が見え始めると
どんどん大きくなり、中盤からは読み進むペースが加速
して、あっという間に読み終えてしまいます。
とても面白い作品でした。



コラプティオ/真山 仁

¥1,800
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震災後に現れたカリスマ総理。
真山氏の最新作、3.11後の日本に現れた
カリスマ総理、宮藤隼人、片足が不自由ながらも
そんな障害を感じさせないオーラ、彼のカリスマ性は
首席秘書官の田坂も認めるこれまでにない政治家です。

その宮藤の秘書だった主人公、白石望は、
内閣官房専門調査官という辞令が交付され官邸スタッフと
なり宮藤の側近としてつくこととなったのでした。

彼のカリスマ性は日に日に強くなり、会見では記者までもが
そのオーラに取り込まれ日本国中が宮藤の魅力に
惹き寄せられていきました。

福島原発の事故を経験した日本だからこそ、最も安全な
原発が造れるという新たなプランにも、これだけ悲惨な
事態となった事故を国民はすっかり忘れてしまい、宮藤の
プランを絶賛します。

独裁者と囁かれながらも、その魅力がどんどん増して行く
宮藤、彼と行動をともにし、自分でも気づかないうちに
そのオーラに取り込まれていく白石、
カリスマ総理は本当にクリーンなのか、政治と正義、
国を動かして行く指導者は、すべてにおいて超人的で
ないといけないのか。

現在の日本への問題提起、日本復興のパワー、
トップはこうあるべきという提言、それでも完璧ではない
それは、人間とは弱い生き物であることを
語りかける作品です。
今、読むべき一冊かもしれません。
とても面白かったです。




財務省の階段/幸田 真音

¥1,680
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正確には経済ホラー小説だそうです。
何だか中途半端になってしまったような気がします。
連作の短編集になっています。

6つの話がそれぞれに、日頃の行いなのか、
本当の怪奇現象なのか、それとも意図的な何かが
あるのか、複雑にタネを仕込みつつ構成されていますが
やはり無理があるような…