赤い三日月 小説ソブリン債務(上)/黒木 亮

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時は、イラクがクウェートに侵攻する前1990年頃から
スタートします。
主人公は、東西銀行ロンドン支店国際金融課の但馬一紀、
主にトルコへの融資を中心に働く34歳です。

トルコの官僚達は海外からの資金調達を積極的に行っていました。
背景には国内のインフレ、巨額の対外債務と経済問題が
深刻な状況にあるな中、とにかく国に活力を与え活性化しない
ことにはどうにもならず必死でした。

国の信用力がどれだけ経済に影響を与えるのか、
隣国の情勢が変化するだけで、その国の信用力は大きく影響します。
トルコが、イラクのクウェート侵攻の影響で自国の信用が
これほど無くなることに驚きました。

そんな経済状況の変化に苦しみながら成長していく但馬の姿が
描かれています。
下巻へ続く。



転迷―隠蔽捜査〈4〉/今野 敏

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隠蔽捜査シリーズです。
大森署署長の竜崎伸也に新たな災難です。
管内の連続放火事件、悪質なひき逃げ事件、
近隣の管内で起こった殺人事件。
麻薬の捜査では厚生労働省と捜査でぶつかり
厚労省の担当者が乗り込んでくる事態に。

ひき逃げと殺人の被害者は、現役の外務官僚と
外務官僚OBという偶然、何かが気になり、
辿っていくと繋がる意外な構図になります。

今回も、竜崎がすべての指揮を執るという
ことになります。
話の流れも何だか水戸黄門みたいな感じがしてきます。
読んでいて、そのテンポの良さとストーリーの
軽快さが本当に心地よく一気に読み切ってしまう
面白さでした。




プライムレート/高泉 顕久

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著者の体験から描かれた作品でしょうか。
主人公の青山正信は、政府系金融機関、産業中央金庫を
16年間勤めた後、歯科機械メーカーの山田製作所経理部
課長として中途採用します。

日本でも2社しかない歯科機会メーカー、経営も安定して
おり、いわゆる優良企業でした。
そこの課長として、日々資金繰りを考え銀行と交渉していく
作品です。

優良企業、つまり、銀行から見れば本当の客(金を借りて
頂きたい相手)としての立場から様々な銀行の担当者と
交渉を続け少しでも金利の安いもの、手数料の安いものを
引き出しコストカットを続ける毎日が描かれています。

何か大きな出来事、事件がある訳でもなく、淡々と
日々が綴られています。
街の起業の資金繰りがどれだけ大変か、そして経理という
仕事がどれほど会社経営に必要なことかが書かれています。
青山の採用から退社するまでの間の出来事です。


衛星を使い、私に/結城充考

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不思議なタイトルです、購入したらサイン本でした。
短編連作のような感じの作品です。

主人公の自動車警邏隊に属する女性警察官のクロハこと
黒葉佑は同じく警察官だった父親の亡くなった原因、
父親の警察官としての職務や勤務態度、何も知る事なく
しかし、必然的に警察官となり、父親を尊敬していた
同僚のスギが上司となり、2人で警邏をしていました。

麻薬の取り締まり、交通事故、高速道路のパーキングエリアに
残された人の指、受刑者からの面談希望、様々な事件を
追求していくと共通することが浮かんできます。
生まれ持った、直感と行動力、粘り強い精神力が彼女の
奥深くになる才能を引き出し、事件が大きく動きだします。

本来の職務である警邏の仕事で遭遇した事件に
その真理を突き止めたく深掘りしていくクロハ。
見えてきたのは、あってはならない事実。

政治的な背景をあまり出さずに彼女の行動力を存分に
引き出した作品になっていて、多くのしがらみが無い分
事件の解明と彼女の日常や心境がわかり、
複雑な内容ながら意外に読みやすく面白かったです。

最近は、あまりにもリアルにそして政治的な背景や
組織の内部の腐敗ぶりを際立たせた作品が多いので
逆に新鮮な気がした作品です。


完全黙秘―警視庁公安部・青山望 (文春文庫)/濱 嘉之

¥690
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公安警察小説、新シリーズがスタートです。
警視庁公安部、青山望がその優れた分析能力で
大事件を解決していきます。

現職の財務大臣、梅沢富士雄がパーティ会場で刺殺されます。
現行犯逮捕された男は、完全黙秘を貫きます。
犯人の名前も分からないまま、現職の大臣が刺殺された事態に
警察庁長官は警視庁の刑事、組対、公安の格に部長に警察の
威信にかけて解明するよう指示が出ます。

長官からの指示、副総監が本部長となり事件の解明に
各部署からエース級の捜査員が投入されます。
普段はその方針の違いから敵対する刑事部と公安部、
方法は違えど、それぞれのやり方で解明への糸口を確実に
掴んでいきます。

主人公の青山の行動力や分析力は誰もが驚くばかりでした。
背後関係を洗ううちに今回の事件には巨大な黒幕達が
絡み合っていることが判明していきます。

捜査の手法や分析の方法、それぞれの捜査員や捜査本部での
様子、黒幕として浮上した人物に関する情報、それに繋がる
政治家などの悪事をどんどん暴いてゆく姿には驚くばかりです。

本格的な公安警察小説です。
マニアックな部分や多少くどいというか情報を詰め込みすぎて
いる感はありますが、とても面白かったです。