虚像〈下〉驕りの代償/高杉 良

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読み終えました。
加藤に絡む政財界の方々は皆悪人です。
本当に大丈夫なのかという感じの内容です。
最近では郵政民営化の際にかんぽの宿売却での
出来事や経産官僚がモノ言う株主で話題になった
ファンド、マンション事業の大手や名称は異なるが
その内容を読めば、どこの企業のことか容易に
わかる、そして書かれている内容もかなり過激です。

こういう経済小説は久しぶりな気がします。
現実に起こった出来事をなぞっていく物語、
最後は主人公の井岡賢固もギリギリの決断をする事に
なりますが、その結論はわからないままの
エンディングです。

この作品の場合、ラストを語っても全く意味が
無く途中に描かれている衝撃的な内容、マスコミで
報道されていた内容とは全く異なる裏側の真実を、
といっても小説ですが、知ることが面白いのです。
久しぶりに過激な物語でした。



虚像〈上〉覇者への道/高杉 良

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とりあえず上巻を読み終えましたが、これまた話題というか
今後何か問題になりそうというか、興味深い作品です。
舞台は、ワールドファイナンスという今や超有名な企業、
総資産10兆円の金融コングロマリットに押し上げた、
CEOの加藤愛一郎、そして主人公は大学を出てワールドファイナンス
へ入社し第一次選抜としてどんどん出世していく井岡堅固です。

ノンバンクの帝王として若くして社長となった加藤は
利益追求を最優先にし、財界鞍馬天狗と呼ばれるようになり、
政商として上り詰めていく様を描いた作品です。
そして入社当時から、彼の作成するレポートの出来の良さ、
特に加藤から気に入られその期待に応える姿が描かれています。


システム障害はなぜ二度起きたか――みずほ、12年の教訓/著者不明

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この本、日経コンピュータに掲載された記事が
ベースになっているのですが、ちょっと一方的な
考え方の押し付けにも見えますが、結構面白い作品です。
みずほ銀行のシステム障害は、今年の3月に起こった時は
私も被害を受けた一人でして、特段銀行からは謝罪もなく
本当に不信感が増したのですが、給料から様々な引き落としを
変更するのは本当に大変なので、未だみずほ銀行のまま
なんですが、この本に書かれている内情を知ってしまうと
ちゃんと考えないとと思います。

システム部門というのは、ちゃんと運用できて当たり前、
プログラムどおりに動かすだけだから簡単だろうという
甘い認識、経営陣がその感覚から抜け出せないと、
みずほ銀行のシステム障害のような事件が起こってしまう
という警鐘するメッセージが込められています。

経営者の方とかは是非読んでいただき、IT関連予算の
充実をして欲しいものです。
サーバーの容量がいっぱいだからファイルを削除しろとか、
メールが遅いとかで仕事に影響が出るのは、
本当に勘弁してほしいです。



警官の条件/佐々木 譲

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相当な長編で、読み終えるのに時間を要しました。
しかし、佐々木氏らしくないと言うか、今作では、
犯人からストーリー、結末まで想像どおり。
いつ、その予想を裏切ってくれるのかと読み進めど
結局そのまま結末をむかえる寂しい結果になりました。

警察、暴力団、裏も表もどちらの世界の情報も呑み込み
退職した主人公の加賀屋仁、その加賀屋を告発した
直属の部下、安城和也、2人のその後と、加賀屋の
逆転無罪、現職復帰、警察は加賀屋なしでは
先が無いところまで追い詰められていました。

加賀屋と安城、課は違うが追っている事件は同じでした。
警官は何を目的にどこまでやればいいのか。
刑事は、その任務を果たすための手段はどこまで
認められるのか、潜入捜査で同僚が射殺され、
犯人を追う2人の考え方の違い、そして共通点、
告発した元部下、告発された元上司、2人の間にできた
溝は、出された答えは、ラストに明らかになります。




赤い三日月 小説ソブリン債務(下)/黒木 亮

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さて、下巻も読み終えました。
米国の格付け会社に評価される気分ってどいうなんでしょう。
日本はどんどん引き下げられていますが、今のところ直接の
影響は僅かであり、国民生活は平穏というか、相変わらず
国債を発行し、政府は増税を議論しています。

舞台であるトルコでも格付けがなされた日、予定どおり、意図的に
格付けが投資不適格にまで引き下げられます。
いよいよデフォルトかというぎりぎりのところで、
但馬らの融資団組成、各行の融資が様子を見ながら実行されたり
中止になったりと不安定な状態に陥ります。
小さな金融機関では取り付け騒ぎがおこったりします。

物語では、結局、そんな状態を引き起こし自分たちのいいように
コントロールできるようトルコ政府を操ったのはアメリカでした。
今、アメリカでは金融界のごく一部の人間が大もうけをして
その他の国民は、その恩恵がなく生活が苦しいとデモが
全米中で起こっています。
金融工学による複雑な計算とレバレッジによる架空の力で
市場を操る錬金術は、貧富の差をますます増やし、失敗した時は
世界中が金融不安と恐慌に陥る何ともやっかいな存在です。

但馬は苦しみながらも香港に異動するまでの間、必死で
トルコ向けの融資を組み実行していくのでした。
そして、但馬は、意味のあるディールに巡り会えたのでした。
その達成感は本当に気持ちよかったでしょう。
ただし、この成功には後日談がある訳ですが。

そもそも、ソブリン債務管理とは何なのか。
政権が、どれだけ腐敗しても、どんなに必死で適正な管理を
しても、外圧や国のおかれた立場、巨額の資金によって
簡単に変わってしまい、真剣に考えると混乱するばかりです。
この作品を読み、自国、日本はどうなるのだろうと考え、
そしてその行為が無意味なのだろうと思ってしまうのでした。