目を奪われる | リリのぜいたく三昧

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せっかく撮った写真とか、観た映画のこととか、読んだ本とか、初めて行った場所のこととかを書きたくて。

っていう日本語あるじゃないですか。

その日本語を、初めて、実感として、理解しました。



目を実際にくり抜かれてとられるってわけじゃないんだから、これも一種の比喩。
うまいこと言うよね、って感じだったんだけど……

今回は、ホントに、目を奪われる、としか表現のしようのない感覚を味わいました。
あぁ、この日本語、こーいうときに生まれたんだな。って思った。



三月花形歌舞伎@新橋演舞場
夜の部
一条大蔵譚
檜垣
奥殿
二人椀久



私が目を奪われたのは、二人椀久の染五郎さんと菊之助さん。


これです。


photo:01






浄瑠璃の語りだけで、役者のセリフは一切ない舞踊です。
椀久物、として一つのジャンルが確立されています。



ざっくり言います。
松山太夫っていう花魁と椀久っていう商家の息子が恋をするんだけど、諸事情あってもう二度と会うことが叶わなくなり、さみしさのあまり椀久が彷徨い歩くうちに、松山太夫の幻を見て昔を懐かしむ、という感じ。

椀久の夢の中が舞踊で描かれ、幻の松山と二人で踊ります。

でも、やっぱり夢だから。

松山は儚く消えてしまい、最後には一人ぼっちで椀久が打ちひしがれるところまで描かれます。



あまりにも、染五郎さんの椀久がせつなげで。
むしろこの人こそ儚さがにじみ出ていた感じでした。
そして浅葱色の着物がまたいいんですよねーー。銀杏が散りばめられたデザインで、とっても素敵♡

もちろん、安定の菊之助さん。
女っぽさというか、しなやかさというか、いやもう、立ち姿だけで、やはりまだ若い女形役者さんたちとは違いました。


幸せなひとときでした……( ´ ▽ ` )



今月はまだ二回も見る予定があるー♪