行きつけのBARが欲しい。 | ~ Ba.せきたくの『だから日常』 ~

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もう一人暮らしをはじめて10数年、料理なんか年に2~3回、気が向いたらカレーかシチューを作る程度。

毎日、帰りがけのセブンイレブンに夜中行ってはセブンプレミアムを買って食べてはいるが、こんな生活にも飽きてきたなーって頃に、近くに小さなBARが出来た。

何となく営業のつもりも兼ねて飛び込んでみるけど、とてもアルバイトなんて雇うサイズのハコでは無いな。

どうせ夜ご飯もないもんで、試しにノンアルコールのフルーツカクテルとスペシャリテだと言うフレンチの家庭料理を崩したビーフシチューのような食べ物を定食にして食べてみる。



…ん、んまい!

聞けば、つい最近まで創作フレンチのシェフをしてたとかなんとか。

それからと言うもの、月曜~金曜まで週5日で通う毎日。

野菜がタップリとれる定食に、朝食用にと特性の野菜ジュースを持たせてくれる。

シェフは、無口だけどこういった気の利いたサービスをする。そんなのが俺にとっては、とっても心地いい。


カウンターの一番奥の席がいつもの特等。
気がつくと、ちょうど反対側の席にいつもひとりで来ている女性がいる。見た目は20代も後半ってところ。
居れば挨拶する程度の関係だったが、たまたまその日は満席で、俺たちは隣同士に座ることに。

少し影のあるその子は、時々とてもさみしい顔をする。

その日は、名前だけを聞いた。
「ん?アンジーとでも呼んで」
「あ、ああ…」

彼女はチーズの盛り合わせとワインをグラスに二杯飲むと、毎日店を出るというのがルーティン。

その日も二杯目を飲み終えたところで席を立つ。

「じゃあ」と声を掛けると、彼女は俺の耳元で「(ねぇ、キスして)」

「え?」と聞きなおすと、彼女は口の左側だけを持ち上げて、「ウソ。ふふ」と言って出て行った。


…え?え?

















…こういうの!行きつけのBARがあったら、こういう感じの出会いとかあるでしょ!!!?


いやー、俺、行きつけのBAR欲しいなー。欲しいなー。