チック・コリアのナウ・ヒー・シングス・ナウ・ヒー・ソブス | 頑固不器用ワンパターン

チック・コリアのナウ・ヒー・シングス・ナウ・ヒー・ソブス

chick



1968年発表の、硬派なピアノトリオです。
明らかにチックのサウンドですが、まだチック節が定着するより前なので、難しいことやっています。
「チックってこういうことも出来るんだ!」と、旧いのに今聴いても新鮮な感激を覚えます。


エレクトリックバンドのちょっと前に出したスリーカルテッツとこのアルバム、この2つはボクの中では同じカテゴリーにあります。

だからナウ・ヒー~を聴いていても、マイケル・ブレッカーが出て来そうな感じがしてしまいます。


この中の「マトリックス」という曲、ジャズ雑誌の講座で良く取り上げられます。
理由は、コード進行がブルース形式なのに、ブルースに聞こえないからです。

少し楽器をやったことがある方ならお分かりだと思いますが、ブルースのコード進行に合わせてアドリブするのは易しくて、誰がやってもブルースっぽくなりますよね?

ところが、ブルース進行でありながら、ブルースに聞こえないように演奏するのは至難の業であることは、意外と気付かない落とし穴であります。

これ読んで下さっているかたで、楽器をされる方は、試してみてください。


ということで、このアルバムはまだ若いチック・コリアが知恵を絞って、バカテク+個性的なピアノトリオを演じています。
これと比べると、最近のチックのアコースティックバンド「スタンダーズ・アンド・モア」は、 お約束どおりの演奏なので、ほとんど歌謡曲に聞こえてしまいます。

(スペインも入ってるけど、ボクはこのバージョンは評価しない)



ベースはミロスラフ・ビトウス、ドラムはロイ・へインズ。
もう一度この組み合わせでやってもらいたい、今となっては重鎮ぞろいであります。



温故知新というよりは、時代感不詳の作品です。