グレン・グールド ゴールドベルグ変奏曲
このアルバム、初めて聴いたのは親戚の家のトイレの中でした。
扉の向こうから聞こえてきたゴールドベルグは、そこにピアノがあると錯覚するだけの生々しさだった。
本当にトイレの外にピアノがあるように聞こえ、ビックリしてトイレから飛び出して、「今かけているレコードは何?」と興奮したことを思い出します。
グールドのテクニックは天才と称されていた(故人なので)。
他にも天才はいる。
だけど、トイレの扉の向こうに、生(なま)があるように聞こえる演奏をするのは、グールドしか知らない。
なぜこんな演奏ができるのか、、、これはボクのライフワークになっています。
つまり、
お店で売られているレコードは、どれも「あー、プロのレコードだな。」と聞こえます。
一方自分の演奏を録音したMDを聞くと、「あー、アマチュアの生演奏だな。」と聞こえます。
だけどこのレコードは「プロの生演奏だー!」ときこえるんですね。
トイレの扉の向こうに生演奏が聞こえるレコード。
グールドは楽譜を演奏するのではなく、曲を完全に自分のものにしていたのでしょう。
その曲自身になりきって演奏すると、このレコードのようになるのではないかと思います。
「プロの生演奏」に聞こえるプレイをする。
果たしてその日は来るのでしょうか?