「悩みのるつぼ」朝日新聞 be 2024.6.22.

 

相談:「なじみの美容院との別れ方」

相談者:相談者 女性 50代

 

回答:早速予約しましょうよ!

回答者:タレント 野沢直子

 

相談内容:

結婚以来30数年。

ずっと自宅近くの美容室に

通ってきた。

 

美容室の先生は70歳。

とても優しい方で

カットの腕も確か。

 

通う旅に姑や夫の愚痴を

黙って聞いてもらい、

終わる頃には頭も心も

さっぱりした。

 

私が話したことが姑に

伝わらないのも安心できた。

娘の成人式の支度も

お世話になった。

本当にほっとできるお店で

通うのが楽しみだった。

 

最近、新しい美容室が

近所にオープンした。

オーナーは若い女性。

開店当初から、客足が

途切れることはない。

 

同世代の親しい友人も

何人か訪れ、みんな何だか

若々しい印象に変わり、

驚いた。

 

考えてみたら私は、

いつも同じ髪形だったと

いまさらながら気づき、

新しい美容室に行ってみたい

気持ちが芽生えた。

 

でも今までのご恩を

裏切るようで申し訳なく、

鏡を見るたび、悩む。

----------------------------------

回答:

30数年も通った美容室。

プライベートな話もしたとなると

なおさら悩んでしまいますね。

 

私も日本に帰ると

必ず通う美容室がある。

 

美容師さんとの1対1の時間、

鏡越しに子育てのことなど話し、

相談者さんと同じように

ついつい深い話までしている

気がする。

 

鏡越しに話すあの感じ、

友達と対面で話すのとは違い、

ワンクッションあり、

話しやすいのかもしれない。

 

けれど、美容師さんは

友達ではない。

 

仲良くなって美容院の外でも

会っているなら話は別だが、

美容師さんはあくまで

仕事の一部として私たちの話を

聞いてくれている。

 

それは親身の相談とは違う。

別の所に行きたいといって

今までの恩を裏切るとは

考えなくていいと思う。

 

相談者さんが新しい髪形に

挑戦したいという気持ちは

素晴らしい。

 

同世代のお友達が

若い印象になるなら、

是非行って、

若返って帰ってこよう。

 

でもやはり元のスタイルが

よければ、また元の美容室に

もどればいい。

 

新しいスタイルが気に入れば、

悲しいけれど仕方ないのこと。

 

ベテランの彼女は、

時代の流れで顧客が

別のスタイルを望むなら、

それを受け入れて、

相談者さんの新しい変化を

喜べるだけの度量はあると

想像する。

 

それで、今までのことを

裏切られたとは決して

思わないだろうから、

安心していい。

 

早速、新しいところを

予約して若返って、人生を

エンジョイしてください!

-------------------------------------

30数年も通いつづけた美容室。

よほど信頼できる美容師さん

だったのですね。

 

半径2キロ以内に

美容室が何軒もあると、

こういう悩みは少ないと

感じます。

 

私は、原則、

近所の店は避けます。

 

初来店の折に、

美容師と話したいか

静かに過ごしたいかという

アンケートをとる店も

あります。

 

リラックスしたいのに

話しかけられると、

うっとおしい。

 

隣の人の話し声も

うるさく感じる。

 

そう思う人もいます。

 

 

相談者さんは、

美容師さんに話すことで

これまでの人生を大過なく

やってこられたと、

恩を感じているようです。

 

だからこそ、

「今までのご恩を裏切る」と

思ってしまうのでしょう。

 

実家の母も、近所の美容室で

大家族の嫁としての苦労話を

していたそうです。

 

美容室には、そんな役割も

あるのでしょう。

 

けれど、それも仕事のうち。

 

お店が引っ越したり、

担当の美容師さんが

異動になることも

珍しくありません。

 

そのたびに新しい店や

新しい美容師さんとの

関係を築いていくのです。

 

どういう髪形がいいかも

その都度、聞かれます。

 

相談者さんは、

お気に入りの美容室が

あったおかげで、

知らない人に自分の好みを

説明することも

変化する機会にも

恵まれなかったのです。

 

相談者さんご自身が

変化を好まなかった、

あるいは考える余裕が

なかったということも

ありそうです。

 

今、周りの人の変化に

気づく余裕もでき、

自分も変化したいと

思えるようになったのは

喜ばしいこと。

 

 

新しい美容室に行くことで

なじみの店との違いも

はっきりします。

 

ご自分にとって居心地の

いいほうを選びましょう。

 

新しいヘアスタイルより、

カウンセリング的対応に

重きを置くなら、

元の美容室にもどればいい。

それだけのこと。

 

新しい自分になるために

一歩踏み出しましょう。