「悩みのるつぼ」朝日新聞 be 2024.3.9.

 

相談:「両親とフェミニズムを話す困難さ」

相談者:女性 20代

 

回答:個人的なことは政治的なこと

回答者:社会学者 上野千鶴子さん

 

相談:

両親は、60代。

父は世代的に「フェミニズム」の

概念を理解しているようだが、

「そういう時代背景があったから

仕方ない」

「男がみな加害者というわけ

ではない」といった流れに。

女2対男1という構図に疎外感を

感じるのか機嫌を悪くし、

母に「お前は自分の味方に

なるべきだった」と言ったことも。

 

母はある程度フェミニズムに

ついての理解があるものの、

性暴力については口を閉ざす。

 

私が面接でセクハラまがいの

質問をされた話をしたところ、

最初は「何それ、ひどい」と

共感してくれたのに、のちに

「あなたは反発するべきだった、

面接官はそれを見ていたはず」と

セカンドレイプに似たことを

言ってきた。

 

この件以外にもフェミニズムに

対する意識の乖離を感じることが多く、

話をするのも嫌になった。

 

女である以上、フェミニズムは

生活上も直面せざるを得ない問題、

身近な存在の家族と話したいと

思っている。

他に理解を求める方が、よいか。

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回答:

家族って世代と性別が違う

異文化度の高い集団。

話が通じると思うのが幻想。

といえば、話はここで終わり。

もう両親にフェミニズムの話は

しないとなれば、ディスコミに。

やっぱり家族にはわかってほしい、

ですね。

 

対策はお父さんとお母さんとで

違う。

お父さんの反応はよくわかる。

「男がみんな加害者というわけ

ではない」は正論だが、

自己防衛的な逃避。

もうこれ以上話したくないという

断絶宣言。

こういうときは総論ではなく、

各論で。

「お父さんにもこういうところが

あるよね」と具体例を示す。

 

お母さんも総論はわかっても、

目の前の娘が性被害を受けて

いるかもしれない現実は

受け入れられないのだろう。

 

もしあなたがセクハラ面接どころか

性暴力被害を受けたとしたら、

そんな現実から目をそらしたい

母親には、相談さえできない

だろう。

一番身近な同性の親から

サポートしてもらえないのは

哀しすぎる。

 

もしかしたら、性暴力に

口を閉ざすお母さんには、

あなたにも言えない

つらい経験があるのかも。

 

あなたがセクハラ面接を

受けた話をしたとき、

「何それ、ひどい」と共感

してくれたまではいいが、

「あなたは反発するべきだった」と

いうのは正論。

 

それなら、そのとき

「お母さんだったら、その面接の

場で反発できた? 反発したら

面接の結果はどうなったと思う?」

そう聞いてみてください。

 

このコーナーを読んでいるのは

娘世代だけではなく、

母の世代の読者もいるから、

お母さんにやってほしいことがある。

 

まずまっ先に「それむかつくよねえ」と

娘に共感してあげること。

もう一歩踏み込むなら、

「そんなセクハラ会社、

採用されなくてもいいわよ」と

言ってあげて。

 

周りの面接官が、それを見て

黙っていたとしたら、

その会社のセクハラ体質が

疑われる。将来、娘が

苦労するのは目に見えている。

 

総論ではなく、各論で話すこと。

あらゆる思想は各論から総論を

積み上げたきた。

フェミニズムの標語は

「個人的なことは政治的」

なのですから。

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相談者さん、

めげずに何度でも、ご両親に

話してみてください。

家庭の中は、最前線。

新しい風を吹き込んでください。

 

いろいろなニュース、

日々の些細な出来事を

話題にしてみましょう。

 

当たり前を疑う習慣を

作ってあげてください。

 

そうすることで、

ご両親に感謝される日が

くるかもしれません。

 

高齢になると、

「男はかくあるべき」

「女はかくあるべき」では

生きるのが苦しくなることも

多いですから。

 

生きづらさは、

些細なことと無関係では

ありません。

すなわち、各論。

 

幼い頃から、

自分の中にすり込まれた

親の価値観。

罪悪感を強く感じる方も

少なくありません。

 

私は、明治生まれで

男尊女卑傾向の強い

祖父に支配される家で

育ちました。

 

同じく明治生まれでも、

母方の祖父は違いました。

 

おかしいことをおかしいと

言っても、同性の友人にも

共感は得られない日々。

 

知らないうちに

すり込まれていることは、

たくさんあります。

 

気づくことで、

成長します。

 

 

個人的なことは政治的なこと。

 

 

相談者さん、これからも

感性を磨き続け、

ご両親と話して見てくださいね。

 

100%わかり合えなくても、

何度も言い続けることで、

聞く耳は持ってもらえると

思いますよ。

 

 

親の価値観から

自由になるために、

親にあなたのことを

わかってもらえるために

話してみませんか?

 

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