「悩みのるつぼ」朝日新聞 be 2024.2.24.

 

相談:「ぼっち」の僕でも彼女がほしい

相談者:男性 30代

 

回答:「まずは同性の友人を作ること」

回答者:政治学者 姜尚中さん

 

相談内容:

生まれてから彼女が

いたことがない。

真面目と言われることが多く、

マイペースで頑固者と自覚。

 

趣味は漫画、アニメ鑑賞、

推しのアイドルグループ応援。

イベントに行ったことはなく、

インドアタイプ。

 

酒、たばこ、ギャンブルも

やらない。

 

友人は高校途中までいたが、

ある時期から孤立。

現在に至るまで

友人と呼べる存在はいない。

ずっと「ぼっち」だった。

 

しかしさすがに、

彼女がほしい。

青春を送りたい。

マッチングアプリもあるが、

自分の手札(経済力・容姿・

経験値・コミュニケーション能力)を

考えると,選ばれる要因も

相手を楽しませる自信もない。

 

外食ならファミリーレストラン、

旅行なら一泊ぐらいが関の山。

容姿は中の下。

話を盛り上げる術もなし。

でも彼女がほしい。

正直、結婚どうこうまで

考えていない。

 

とにかく一度、恋愛を

してみたい。

30代半ばにもなって、

甘ったれるな!と

思われるかもしれないが、

私にとっては切実な悩み、

否、願い。

アドバイスを処方してください。

 

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回答:

まず自分が「甘ったれている」と

思う必要はないと言いたい。

 

世間で言う「ダメ男」の範疇に

くくられてしまう男性は

リスクの高い異性として、

適齢期の女性に敬遠される

冷たい現実があると

認識できているから。

 

「ダメ男」「ダメ女」など、

人間味のない言葉が氾濫する

世の中。

ハートさえよければ女性の心を

ゲットできると激励しても

慰めにはならないだろう。

 

パートナーとすべきかどうかの

判断基準が、学歴や年収の差、

正規か非正規かの違い、

コミュニケーション能力、

ルッキズムによる審美眼的な

好悪にあるとすれば、

「恋愛市場」で「交換価値」の

ない男性というレッテルを

貼られることになるはず。

 

でも、あなたは、それを

慨嘆しても現実は変わらないと

冷めた認識ももっているし、

自分自身をかなり客観的に

「値踏み」し、達観した

「諦め」の境地にいるようだ。

 

ではどうしたらいいか。

 

とにかく彼女であれば

誰でもいいという

「彼女一般」を求める限り、

「恋愛市場」のゲームの

ルールでは不利に置かれるまま。

 

その市場の「交換価値」から

自由な質の恋愛関係の

可能性を求めてはどうか。

 

そのひとつのヒントが、

趣味で繋がる関係。

 

あなたには明確な趣味がある。

それを彼女と共有する可能性を

開拓していくこと。

そのためには同性の友だちを

つくること。その中に本音を

打ち明けられるような「心友」が

いれば、その友だちを通じて

同じ趣味の「彼女」と

繋がるチャンネルを

見つけ出すことができる。

 

「彼女」がいないことを

憂う前に同性の「友」が

いないことを憂うべき。

成功を祈る。

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相談者さんは、友人は

高校途中まではいたけれど、

ある時期から孤立。

現在に至るまで友人と

呼べる存在はいない。

ずっと「ぼっち」だったと

言います。

 

人間関係に疲れた、

仲間に入れなかった、

価値観が違いすぎて

疎外感があったなど

いろいろ理由はあったと

思います。

 

ある意味、ひとりがラク。

けれど、さすがに彼女が

ほしいと。

 

趣味つながりなら、

かっこつけず自然に

話せますよね。

あなたの知識の豊富さが

活かせる場でもあります。

話を盛り上げようと

思わなくても、お互いの

熱い思いで勝手に盛り上がるかも。

 

同性の友人も趣味つながりなら

つくりやすいでしょう。

 

同性の友人を通して

女性と知り合ったとき、

あなたの話を熱心に

聴いてくれたからといって

「気がある」とカンチガイ

しないこと。

先を急がないこと。

 

告白した相手が、

「ハッキリNOと断らなかった。

だから、まだ見込みがある」と

思うのもカンチガイ。

 

「連絡は自分からで、

相手から連絡はない」なら、

見込みなし。

何度もメールすると、

ブロックされます。

 

恋は盲目です。

 

 

中高生にうまく手玉に

とられ、お財布がわりに

キープされる男性もいます。

 

恋愛初心者の地味な女性が

推しのホストに入れあげて、

多額の負債を抱えるという

ニュースもありましたね。

 

 

「ぼっち」は、ある意味

温室空間。

免疫力もついていません。

 

「彼女がほしい」

その気持ちが背中を

押してくれています。

 

思い切って、温室から

外に出ましょう。

 

これまで失恋経験も

ないのですから、

まずは、練習。

 

免疫力をつけましょう。