「悩みのるつぼ」朝日新聞 2024.1.20.

 

相談:「超節約家の恋人と別れたい」

相談者:女性 50代

 

回答:「ちょっとした作り話をしてみては」

回答者:歌手・俳優 美輪明宏さん

 

相談内容:

50代前半の恋人は、

デート代は全て持ってくれる。

一緒にいて楽しいので

数ヶ月前から交際していた。

しかし、お金が減ることに

ストレスを感じていたようだ。

 

「お金がお会いできる条件。

私にはお金以外に魅力がない。

辛い」と言う。

向こうが約束を破っても

「おごってきたので」と

謝らない。

 

彼は会社員。副業のほか

株や為替の収入で年収は

私の10倍以上あるが、

お金に執着がある一方で、

身なりや車にお金をかけない

超節約家で驚かされる。

 

彼のことは好きだが、

私は気前のいい人と

散財したいので、

お別れしたい。

 

他にもいい男性はいるし、

本音は「割り勘にしてまで

交際したくない」。

 

それを伝えると、

「頼むから付き合って」と

言われるが、彼にも私にも

結局いいことはないと思う。

 

こんな自分が嫌でもあるが、

正直で可愛いなぁとも思う。

 

何と言って別れてもらうのが

いいか?

 

この人といると、私まで

ケチで心が狭くなる気がする。

ケチ(節約志向が強いとか、

心が狭い)は、死ぬまで

治らないのだろうか?

 

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回答:

確かに、ご本人がおっしゃるように

彼のためにも本人のためにも

ならない。お別れしたほうが

いいかもしれない。

 

「私、実は病気で体調が

あまりよくないの」、

「せめて楽しく生きたいと

思っていたけれど、

あなたは堅実で、

申し訳ないけれど

愛し合う気にもならないのよ」など

作り話をしてみるとか?

 

男性側が「今まで僕がおごって

きたのだから」という理由で

約束を破っても謝らないのも

気がかり。

 

結局、双方ともにお金で

人間関係を解決しようと

しているのだろうか。

 

それでもなお興味深いのは、

相談者はお相手を「ケチだ」と

言いつつ、ご自身がそれ以上に

ケチであるとの自覚がないと

見受けられること。

 

普通ならば「本気のお相手」が

節約家であれば、それを

いいことだと捉えるケースも

多いのではないか。

 

相手の男性が見えっ張りや

浮気性でないという裏返し

でもあるから。

 

でもあなたは、デート代を

割り勘にしてまでは彼と

一緒にいたくない。

あなたの経済力に彼が

合わせて質素な振る舞いを

するのも嫌で、お付き合いに

伴うお金は全て出させたい。

 

それなりにお金を持って

いながらも身なりにお金を

かけない人は相当数いる。

だからこそ、お金がたまる。

 

また、株や為替の収入は

いつどうなるか分らない

危なっかしいもの。

 

お相手の男性は、そうした

今後どうなるか分らない資産や

含み損まで計上されたうえで

「散財してほしい」と

迫られるのだから、

彼のためにも別れた方がいい。

 

飲み屋で酒代を気にしながら

飲むのも嫌だろう。

「お金は楽しく使うもの」と

いう考え方も正しい。

 

人生には限りがある。

別れたい恋人と一緒にいるのも

時間がもったいない。

 

「これ買って」と言って、

買ってくれる人を探せば

いいのでは。

 

でも、身の丈に合ったものを

自分のお金で買うことが

普通だと、私は思う。

 

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相談者さん、「恋人が

超節約家では恋も冷める」

ということですね。

 

その人は、本当に

「恋人」ですか?

 

「男がおごるのが当たり前」

「リードするのが当たり前」

「お金を出し惜しみするべきでない」

「ケチくさいことを言うべきでない」

「太っ腹でいるべき」など、

期待と思い込みが強そうに

見受けられます。

 

「こんな自分が嫌でも

ありますが、正直で

可愛いなぁとも思います」と

文面にありました。

 

子どもの頃から、

節約志向と無縁のご家庭で

苦労知らずでお育ちになった

お嬢様でしょうか?

 

お相手の男性と金銭感覚、

価値観が合っていない。

付き合い始めてから、

わかったことですか。

初めから分っていたら、

付き合わなかった?

 

回答にも合ったように、

「身の丈に合ったものを

自分のお金で買うことが

普通」という感覚では

ないようですね。

 

「割り勘にしてまで

交際したくない」という

本音を伝えられたのは

よかったと思います。

 

合わせ鏡のように、

お付き合いをする相手を

通して自分が見えるもの。

 

お金に執着があることも、

ケチなことも、

死ぬまで治らないかも。

 

相談者さんの「普通」

「当たり前」の基準に

合う方が見つかりますように。