「悩みのるつぼ」

2024年の第1回目です。

朝日新聞 be 2024.1.13.

 

相談者:男性 50代

相談:「聞く耳を持たない妻」

 

回答:「妻にも言い分がたっぷりあるのでは」

回答者:社会学者 上野千鶴子さん

 

相談内容:

結婚して8年。

保育園児が2人いる夫婦。

 

妻は毎晩、深夜まで録画した

ドラマを観たり、携帯ゲームを

したりしながら、寝落ち。

 

当然、朝起きられないので、

私が起こす。

 

眠いというので、

「早く寝たら。子どもの送迎で

寝たら危ないよ」と言っても

耳を傾けない。

 

妻は毎週実家に行き、

多くの冷凍食品や

親が作った料理を

もらってくる。

それが食卓に並びウンザリ。

 

余分に食品を買うが、

期限が切れる。

野菜も多めに買い、

しなびて、腐らせる。

それらの処分は、私。

 

自分の部屋があるのに

居間のあちこちに

洋服や私物を置き、

子どもが触ると怒る。

 

鍵の閉め忘れを指摘すると、

「大した問題じゃない」。

 

話し合いをすればと

思われるだろうが、

妻は人の意見を聞かない。

 

指摘すると言い訳。

提案に「いいね」と

言うことはなく、

いつも否定し

自分の意見を言う。

 

以前話し合いで反論したら、

大きな音で扉を閉められ

怒鳴られた。

 

子どものためにも

風通しをよくしたい。

 

しかし、こんな感じのため、

何を言っても無駄と感じ、

離婚したい気持ちが強い。

 

妻と上手くやる助言を

お願いしたい。

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回答:

こんな妻を持って、あなたも

たいへんですねえと、

つい夫に同情しそうだが、

ちょっと待った。

 

夫婦の関係は

当事者の一方だけの

言い分を聞いても

判断できない。

妻にも言い分がたっぷり

あるのでは。

 

はっきり書いてないが、

妻は無職の専業主婦?

保育園に入るには親の

「就労証明」がいるはず。

だから有職? 在宅の仕事?

 

保育園児2人の子育ては

たいへんだろうし、

送迎も、ひとりで

やっている様子。

 

「子どもの送迎で寝たら

危ないよ」という夫が、

「ボクが代わってあげようか」と

言うわけでもないし。

 

妻の言い分はこうだろうか。

 

「仕事しながらの子育てで

アタシくたくたなのよ!

あなたが家にいるときぐらい、

ドラマやゲームで息抜き

させてよ。片づけたくても

余裕がないの、料理は

実家に助けてもらって、

あなたにも感謝して

もらいたいくらいよっ」

 

反対に妻側に責任があれば、

あなたが描く妻の像は、

実家に依存的で自立せず、

だらしなくていいかげん、

家事能力も低い、

自己中の女性。

 

真理はその間のどこかに

あるのだろうか。

 

大人の男女がともに暮せば

育った家庭文化がちがう。

 

料理、整頓、子育て……

日本の夫婦は性別分離を

することで、お互いの領域に

口を出さないことで

やり過ごしてきた。

 

たとえば、妻の料理が

まずくても文句を言わないとか、

子育てに口を出さないとか。

 

代わりに何時に帰っても

文句を言わせないとか、

育児に口を出さない代わりに

手も足も出さないとか。

 

その境界をはみ出し、目に

余るようになってきたのか。

 

結婚歴8年、2児の親。

短くない年月。

 

妻が最初からそうだったから、

あなたに我慢の限界が来たのか。

最初はそうでなかったのに、

2児の母になり、変貌したのか。

 

前者なら、あなたに見る目が

なかったということ。

 

後者なら何か理由があるはず。

 

結婚してから変貌する

夫や妻はいる。

 

結婚前に優しかったのに、

急にDVをふるううように

なった夫をキャンセルする

離婚はあり。

 

だが、8年かけて妻が徐々に

変貌したのなら、妻の言い分を

きちんと聞いてみては。

たまりにたまった憤懣が

あるかもしれない。

 

話し合いは、

ミスの「指摘」や「反論」の

ためにあるのではない。

 

相手の言い分を聞くためにある。

離婚を考えるのはそれから。

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年初のご相談は夫婦関係。

 

50代の男性からのご相談。

夫が50代ということは、

妻は何歳? 

保育園児が2人ということは、

まだ40代?

年の差婚でしょうか?

 

50代の男性ということで、

「妻はかくあるべき」とか

「母はかくあるべき」という

思い込みが強そうな

印象を受けます。

 

子育てする中で、女性は

変貌を遂げます。

ある意味、自然なこと。

 

いやでも変わらないと、

やっていけないから。

 

上記の回答にもありましたが、

相談者は、自分が正しく、

妻は話に耳を傾けるべき、

つまり従うべきと

思っておられるように

聞こえます。

 

正論で来られては、

攻撃されてる感じがして

言われる方は、たとえ

それが正しいと思えても、

受け入れにくいでしょう。

 

「提案」だと言われても、

圧を感じますよね。

 

買いすぎて腐ったり、

痛んだりした食材を捨てる。

それは、自分の役割と

ありましたが、

それって冷蔵庫を定期的に

チェックしているってこと?

 

チェックする男を私は

チェックマンと呼びます。

 

自分の母親と比べて、

妻を減点していることも

あるかもしれませんが。

 

あるいは母親と同じで

許せないということも。

 

突っ込みどころ満載でも、

そうやってチェックされ、

指摘されると、妻はイライラ

すると思いますよ。

 

やる気もなくなります。

 

子どもが触ると怒るのは、

よくないでしょうが、

本当は相談者さんに

怒鳴りたい気分のはず。

 

相談者さんは妻の物には

触らないのですか?

 

片づけは妻の仕事。

「妻が自分で気づき、

改善しないといけない。

だから協力しない」と

思っていますか?

 

片づけが苦手な妻なの

かもしれませんが、

子どもが小さいときは、

片づけても片づけても、

エンドレス。

 

完璧志向の人であっても、

もういいやとなります。

そうやって少しずつ

学習し、緩めていくのです。

 

相談者さんは、何事も

きっちりできていないと

気持ちが悪いタイプ?

だから、緩いのは、

受け入れられないのかも。

 

相談者さんは、子どもたちに

「お母さんは疲れてるから、

今日は、お父さんと

焼きそばつくろう。

手伝ってね」と

子どもたちに声をかけたり

しませんか?

 

一週間に一度でも、

妻の代わりに料理を

つくってみたりすると、

何かが変わるかもしれません。

 

もしかしたら、限界なのは、

妻の方かもしれません。

燃え尽き寸前レベルかも。

 

ご夫婦それぞれ、

立場が違うので、見え方、

捉え方が違いますね。

 

第三者に話を聴いて

もらえば気持ちの整理ができます。

 

夫婦カウンセリングも

あります。

相談者さんが

カウンセリングを受けるのも

いいかもしれません。

 

客観的、俯瞰的に夫婦関係を

みるようになると、

問題がどこにあるかわかると

思います。