【가시연 (ガシヨン)】08








結局,外出はできなかった。
ひざやひじが……床に触れた、とがった骨の部分が傷ついた状態だったし、後ろは言うまでもなかった。 
しばらくの間、トイレにもまともに行けないと思ったら,ぞっとする。 
いずれも、お互いが奥さんが帰って来る前の最後のセックスだということを理解していたからだ。 
だからこそ荒っぽくて長かった。
優しさの欠けていたのも理解できる。 
雑念を振り払うための僕の努力は、ユノには刺激になったわけだ。 
話すことが無くなり浴槽にいる間は口を閉ざした。 
ユノの用心深い手助けも体を殴られたように痛かったが、奥さんが帰ってくる時間に対する不安のせいだと思って、心配で何も言えなかった。 
ユノはガウンを着て、僕の体をタオルで抱きしめた。
脱力した僕は、意志も必要なくユノに身を任せた。



目を覚ましたとき、皮膚が触れてきたのは、ちょっと見慣れない空気だった。 
しかし、変わった構造の天井を見て、書斎であることを感知する。 
日差しが降り注いでいるソファーの上、僕を置いて消えたユノがまた戻って来る。 
ユノが持っていたものは、適当に持ってきたような食べ物だった。 
ユノはソファの下の虎の皮の柔らそうなカーペットの上に座った。
死んだように横になっている僕の顔の上が影で覆われる。 
形も色もきれいなイチゴが食欲を刺激する。 
四肢が麻痺した人のように口だけ開けて、ウヨウヨと噛んでいると、 その姿がきれいなのか頬にキスが舞い降りる。



その後、ユノはパイナップルを僕にあげようとしたが、僕は食べないと嫌がった。 
ユノは不満そうだったが、僕は笑って誤魔化した。 
そして黙ってユノを見つめた。
クーパーブラウンでいっぱいの静かなな空間の中で、体中に大きなタオルを巻いた昔の恋人に 
やさしく果物を差し出して、お腹が空いたと、飲み物と果物を次々に口でぐちゃぐちゃにして入れる姿。 
ユノの片方の頬が膨らんだ後,食べ物がぐちゃぐちゃになって、のどに流れる姿まで...。 
すべて自分の視野で創造された光景を満足させる。



そうして弱くなる。
現実が僕を押しつぶしてくる。
時間は待ってくれなくて、いつも人を性急にさせてしまう。 
不安がそれを催促する。
そうだな…せっかくの幸せになるための作り笑いは必要はないようだった。 
ユノと僕の間に共存する思い出の時間が瞬間の感情に率直になるように慣らされた。



「写真……どうしたの?」



(僕の心の傷を露わにすると)、ユノの優雅な口の動きが止まった。 
ユノは僕に見向きもしなかった。 
だからと言って、視線を逸らすわけでもなかった。 
秒針が止まったように、すべてが停止した。 
感情の溝が深まるのではないか、控えめな質問だったにもかかわらず、ユノの顔は鉛色になっていた。 
そして、再びゆっくりと噛むのを始めた。 
ユノは僕に飲み物を勧めたが、私は黙言で断ると同時にユノの返事をせがんだ。



「憎いから。」 



名残惜しいことではない。
ユノの言葉を納得出来る。 
答えを知ってからも尋ねた。
ユノの口で確かめたかった。
憎くても..愛するか。



ユノは皿とガラスのコップを片手に持ち、席から立ち上がった。 
広い机の後ろに身を隠すように腰を下げると、引き出しを開ける音がした。
そして僕の方にもう一度歩いてくるユノの手には小さな箱があった。
疑いもせず受け取った箱のふたを開けてみる前に、ひょっとして中身を感ずいていたのかも知れない。 
ユノのもう片方の手には僕が見たアルバムがあったからだ。



「挟んでごらん。」



アルバムの中にいるはずの切れた僕の姿が、秩序なく散らばっていた。 
ユノがアルバムを開いて言った。 
ユノの言うとおりにしようと写真をあさった。手に握られた数枚の写真の中の僕は、幼いけれど鮮明だった。 
少年と男の過渡期に立っている僕は、なんとも言えないほど美しかった。 
でも,錯綜した。
今の僕とはあまりにも違う姿だったから... 
僕を単純に憎む感情によって切り取ったようだが、ユノの人生で美しい僕が切り取られたようで悲しかった。



ユノの中に、今の僕だけがあるみたいで。 
五月の風と草の音のようにさわやかな僕たちの青春に今の僕だけが残っているようで。 
退色してしまった僕のように、僕たちの愛も色あせたみたい。



しかしユノは、そんな私を僕安心させるように、自分の胸に僕を抱いた。 
そして、僕の膝の上にアルバムを載せ、写真を差し入れることを促した。



「俺は入れる力(勇気)がない...お前がいない間すべての事に疲れて... 力(勇気)が残ってない。」



僕がいない間のユノにできた弱さが僕を壊す。 僕の哀れなチョン・ユンホ。
僕たちがお互いを... 少しだけ愛していなかったのなら、こんなことにはならなかっただろう...?そうなんでしょ... そうだと信じたい... この膨大な愛の量は僕達じゃないと効力が発生しないと思うんだ。



僕は彼のユノの手に写真を握らせた。
そして、ユノの手の甲をかばうように握った。 アルバムの上に重なった二つの手が近づいていく。



「俺がこうやって手伝ってやるよ。握って…放さないね?うん?」



ユノの手によって、いや僕の手によって写真が元の位置に戻った。 
白く空っぽになった空間の上に、新緑のように薄い青さを大事に保管していた僕達のの新しい姿が生まれた。 
(鋭い刃の整ったような)清潔な夏服のシャツを着て、大きな木を背景に明るく笑っているチョン・ユンホとキム・ジェジュン…見て。
俺たちは一つでこそきれい。
ユノにも見える?



写真を元の場所に戻すのに長い時間が過ぎた。 
その肝を流せず無理に飲み込んだ涙と苦悩が胸に溜まり、しこりを作った。 
午後になってからは少しも離れようとしなかった。 
彼女の帰宅を暗黙する。
差し迫る時間のように、どんどん後を追いかけてくる彼女の姿が頭から離れなかった。 
その不安感ゆえに、長い長い時間、僕達は体重を混ぜて唾液を飲み込んだのだ。



ユノは僕の服を着せながら長い口付けをしてくれた。
(一つの空間にいながら自分が気にしてあげられなかった事について改めて謝ってくれた。)
シャツのボタンをかけるユノの手てから微細な震えが伝わってくる。 
襟元まで満たされるボタンに自分の心情を付与する。 
一つの敬虔な儀式のような行為が終わり、 彼女はまるで僕たちを見守っていたかのように、とても適切なタイミングで玄関のドアをたたいた。
呼び鈴の主人公が彼女では無いことを…望みユノと僕は1階に足を踏み出す。 
階段を下りようとした瞬間、足が震えた。 
週末の時間の間に犯した僕たちの過激な行為が、すべて罪になって僕を襲っているようだった。 
ユノは僕を軽く叩いた。
そしてユノの助けでやっと廊下を最後まで降りることが出来た。



僕はユノの後ろからユノの手を握った。
暖かくて安心出来る。
さっき僕を襲った恐怖心を消滅させてくれた。 
ユノが押すボタンひとつで玄関のドアが開き、騒々しい音が廊下の端から聞こえてきた。 
肩が自然と縮こまった。
ところがその瞬間、お尻をふにっとする感じが全身を硬直させた。 
手で口を塞ぐほど驚いた。
ちらっと振り向いてみると...他ならぬユノの手がいたずらにお尻を触っている。 
その瞬間思いっきり笑ってしまって、曲がった目尻でユノを見上げた。
ユノは素敵に笑ってくれた。
余裕のその笑顔に緊張が緩む。
臆するな。という思いやり深い視線に僕は肩をまっすぐにした。



丸い廊下を曲がると彼女の姿が現れた。
以前より血色が良くなった感じだった。 
彼女が並んで立っている僕たちを笑顔で迎えている。
相変わらず優しくて美しい彼女 。
彼女には、腕を組んでぴったりと寄り添ったまま立ち並んでいる僕たちの後ろで繰り広げられる光景は見ない。 
そして、彼女はとても優しく安否の挨拶を伝えてる。



「元気でしたか?」



もちろん。いい時間を過ごしました。今もとてもよく過ごしているじゃないですか?



「いらっしゃい。ソヒさん。」



チョン・ユンホとキム・ジェジュンの自宅に帰ってきた"招かざる客"イ・ソヒを歓迎します。