自然豊かな地域に住んでいるので、夏の朝は蝉の大合唱が目覚まし代わりです。「鬼滅の刃」原作読み返し感想文です。皆さんは夏休みの宿題は、きちんと済ませる学生さんでしたか?とむーんは、最後に泣きが入るヤツでした~


「鬼滅の刃」吾峠呼世晴著

第二十二巻 廻る縁

表紙 鬼舞辻無惨

カバー下 ふたりの竈門禰豆子

扉 伊黒小芭内 甘露寺蜜璃


【二十二巻前半のあらすじ】柱たちと善逸・伊之助・カナヲたちは、無惨の圧倒的攻撃に、戦闘不能に陥る。そこへ、竈門炭治郎が戻ってくる主人公らしく!


 二十一巻、地上戦開始直後に、無惨の毒で心肺停止になってしまった炭治郎。義勇さんが村田さんを呼び止め、村田さんが安全な場所に運んで、心臓マッサージをしてました。二十二巻にて、愈史郎が瓦礫から助け出され、村田・竹内と共に蘇生を試みます。愈史郎がバンバン注射して、村田さんは炭治郎から刀を放してやろうとしますが、固く握りしめたまま。首筋の脈を確認していた竹内さんが、脈の反応に気づき、声をかけます。しかし脈は弱く…

「炭治郎!!無惨が逃げちまうぞ 早く行かなきゃ」と涙ながらの村田さんの声に、炭治郎は目覚めます。

※やはり村田さんは、立派な人です☆


 カナヲを隠に頼み、振り向いた炭治郎の顔は、無惨に斬られた右目を中心に腫れ上がりいわゆる「お岩さん」状態です。鬼舞辻は「醜いお前の方が鬼のようだ」と、傷つけた人を愚弄しますが、内心ビビってます。花札のような耳飾り、本当に怖いんですねマッタク。


 炭治郎は、先祖炭吉の目を通し、継国縁壱の「日の呼吸の型」を見た。炭吉さんの妻すやこさんが「ねーねー剣の型見せて見せてー」と(たぶん)せがんだら、見せてくれました。日の呼吸は美しく、ヒノカミ神楽という舞いとして伝承されたのも納得だった。縁壱さんは精霊のように見えるほどだったが、物静かで素朴で照れ屋だった。別れ際、縁壱さんは炭吉さんに耳飾りをくれた。これが最後と気づき「あなたに守られた命で、この耳飾りも日の呼吸も繋ぎます。貴方は価値のない人ではない、そんなこと誰にも言わせない」これは炭治郎?炭吉さん?

「ありがとう」笑みを浮かべる縁壱さんに感謝する炭治郎。

※一コマだけ、隊服姿の炭治郎が呼び掛けてます。これは意図的なんだろうか。


 日の呼吸がらみの剣士は、無惨と黒死牟で全滅させたはずですが、ま~山奥の炭焼き職人に神楽としてヒッソリ伝わっていたわけで。黒刀の剣士は出世しないという言い伝えは、黒刀の者が軒並み殺されてきたからなのだろう。


 縁壱さんが先祖を助けたから、今の自分がいる。縁壱さんが珠世さんを信じたからここまで無惨を追い詰めた。「十三番目の型」は十二の型を繰り返すことで完成する(円舞と炎舞でつながる)。夜明けまで無惨の攻撃を避けながら、日の呼吸を続ける…挑み続ける、心を燃やせ。

※必ず目に入る、煉獄さんの形見の鍔。燃えるしかない!


 自力で赫刀を発現させた炭治郎に対して、相も変わらず「あの男(縁壱さん)には遠く及ばない」と昔を振り返ってばかりいますラスボス。が、そんな炭治郎に攻撃を当てられないおのれを省みます、自己中心な無惨もようやく「変化」に立ち返ります。キライだもんね、変化。


 珠世様を吸収しているので、その細胞を尋問しますが、ここで凄く悪い顔で

「言わない 無駄に増やした脳味噌を使って考えたらどうだ?」いや~美人の毒舌は効くなぁ。かんしゃくを起こし、珠世様の細胞から記憶を読みます…しのぶさんとの共同研究の様子。人間に戻す薬が分解されることを想定し、二番目には老化をと、しのぶさん。一分で五十年老化するので、えーとえーと、九千年老いたらしい。頭髪の色が戻らないのが証拠!と焦る無惨ですが、こんな形態していて本当なら○○とか言われても説得力に欠ける。そんなことうだうだ考えてる間に、炭治郎は十二の型を繋ぎました。夜明けまで、あと五十九分。


 村田・竹内・愈史郎は救護班となり、傷ついた人々の治療に当たっていた。三毛猫・茶々丸君の体をつなぎます。決戦直前に鬼にしたそうで。以前鬼の血採取活動していた時は、昼間もお使いしてましたからね… 村田さん竹内さんには鬼であることがバレてますから、もう目の擬態とかしてません。血清を射ち、傷の治療をします。悲鳴嶼さんの戦線復帰は無理だと悟り、不安を募らせる愈史郎。

「珠世様 炭治郎を守ってください お願いします」と、涙ながらに祈ります。

※あの愈史郎君が、炭治郎をこんなに心配する日が来るとは…


 その炭治郎ですが、無惨の心臓と脳を狙うのに苦労していた。何しろ、合わせて十二個の心臓と脳がぐるぐる体の中を動いているそうで…忙しいヤツだな。

「透き通る世界」に入ろうとするが、酸欠を起こし倒れかける。助けてくれたのは伊黒さんだったが、彼は無惨の攻撃で両目を失明していた。

「俺をかばったせいで」

「違う!もっと前にやられた お前は人のことばかりうるさい」

 無限城で助けた時も、自分の右目失明より伊黒さんと蜜璃ちゃんの無事を喜んで、呆れられてましたからね炭治郎。援護を申し出ますが「必要ない 俺には鏑丸がついている」と言い放ち、本当に白蛇鏑丸君の状況報告で攻撃に対応し、技も繰り出す伊黒さん。蛇も人もスゴい。

 そして…無惨の体に、傷が浮かび上がる。しかも、傷が動く、これは縁壱さんの残した傷でそれが脳と心臓の場所だということ。そもそも内臓グルグル自体よく仕組みがわからないけれど、重要器官を隠せないほど無惨は弱っているのは確か。が、あくまで自分本位な無惨は何百年も残る傷を残した縁壱さんを「化け物」呼ばわりする。言い訳をはじめるとは、弱気なヤツだ。夜明けまで四十分と鴉が告げた時、無惨は信じられない行動に出る。


 走って逃げた


「逃げた!!逃げた伊黒さん 無惨が逃げた!!」

(!? 逃亡…!!)

 炭治郎も伊黒さんも、あまりのことに驚くと言うか、呆れると言うか。珠世様が、無惨を「臆病者」と評したのが、心の底から理解出来ましたともええ。

 隊士の亡骸地帯に差し掛かり、刀を無惨に投げつけますが、そうそう当たらない。(今は体深くに刀が貫通するのが危険)と思ったそばから、伊黒さんに赫刀で・頚を・貫通する攻撃を食らいます。鬼の始祖、なんという無様な姿に…


 炭治郎は、愈史郎の血鬼術・紙眼を伊黒さんに渡し、鏑丸との視覚の共有を提案します。逃げるの辞めた(というかこの二人から逃げられないと、ようやく理解したというか)無惨は、またパギャを発動し腕を振り回す。紙眼を渡すために

「鏑丸頼むーっ!!」

 パクっ🐍

 いまだかつてこんなに活躍する蛇さんがいただろうか、いやいない(反語)。作者はワニを自画像にしているが、爬虫類に何か特別な思い入れがあるのだろうか。

「炭治郎 感謝する」

 見苦しい嫉妬から、あれこれ暴言をぶつけた後輩に、素直な気持ちを明かす蛇柱殿。視覚を得て、的確な指示を出してくれます。

「挟め!!常に挟むよう立ち回れ

絶対にここから逃がすな 二人ならできる!!」

「はい!!」

 息切れを起こす無惨様…限界が近い。


 産屋敷邸を飛び出した禰豆子ちゃん、人間と鬼の間をさ迷っているらしい。家族を殺された記憶に怒りがこみ上げつつ、思い出すのは鬼になってから出会った人々。そして、兄炭治郎の笑顔…遂に彼女は人間に戻り、自我を回復した。無惨の手に落ちても、陽光を克服する野望は果たせなくなった。


 一方、夜明けまで三十五分となる時に至り「鬼狩りという組織が ひとつの生き物のように私を絡め取ろうとしている」という、当たり前だ今頃気づいたのかボケェな無惨様、とうとう秘技ポップコーンを展開しようとします。炭治郎は正直に「無惨が分裂して逃げる!!」と伊黒さんに伝えますが、はじめて聞いた人には「!?」でしかないですよ。さっきからそうだったように、逃げる一択なのはわかるけど。分裂は…出来ません。そんな、一度それで逃げのびたのを目の当たりにした珠世様が、対策をしてない訳がない。人間返り・老化・分裂阻害…その上、細胞破壊が効き吐血する無惨。珠世様が、妖艶な笑みを浮かべ、無惨に死が近づいてきたと宣告する。


 十九巻表紙の伊黒小芭内さんの模写。しかし、最後の最後にならないと活躍しないとは…アニメ勢の人々に、伊黒さんの力量が伝わるのは、いつの日になるのだろう。この二十二巻前半では叶わぬ恋に悩む様子が描かれてますが、後半は視力を失いながらも炭治郎と二人(と一匹)だけで猛然と、鬼舞辻無惨と渡り合います。

 さて、次の第二十三巻で物語は完結します。たぶん、三回くらいに分けてネタバレ感想を書きます。それくらい最終巻は大変なんですいろいろと。なので、気力ある時に書きます。