土曜日の夜は演歌の女王(こちらの記事)を見ているのだが、裏で放送されているNHKの「ハゲタカ」は以前から気になっていた。
先日たまたま放送時間がずれていたので試しに見てみたところ、いとも簡単に私は宗旨替えをすることになってしまった。この先、土曜日はハゲタカを見ることになりそうだ。
企業買収の実態や、ジャーナリズムの裏側を描いたハゲタカというドラマは、とことんオトナのためのドラマだと感じる。
私は株式投資に興味があるため素人なりに勉強しているのだが、ドラマにはそうした基礎的な知識がないと、意味がわからないだろうと思われるくだりが多く登場する。
逆の言い方をすると、このドラマを見るのであれば是非とも経済の基礎知識を勉強することをおすすめします。ありきたりな表現ですが、ドラマを10倍楽しむことができます。
ハゲタカで描かれる買収手法や登場人物の背景は、おおむね実社会に存在するモデルを参考にしていると思われる。つまりTOB・外資ファンドなどのキーワードを伴って世間を賑わせている、実在するニュースに即した内容と言っていい。その分リアリティの感じられるドラマに仕上がっているというわけだ。
前々から思うのだが、経済に関わるニュースというのは、非常にねじ曲がった印象操作が行われている。
村上ファンドが阪神の株を買おうとすれば、完全に村上を悪役としてニュースを流す。そして視聴者は簡単にその印象に影響を受ける。
そもそも株式というのは会社の所有権そのものだ。だから、会社は誰のものかと問われれば、株主のものとなる。従って最も多くの株を持っている人が会社の重要事項を決めるのは、当然のことだ。
また、株式を上場するのは義務ではない。上場したくて勝手にやっているにもかかわらず、沢山買われたからといって文句を言うのは、義務を果たさずに権利だけを主張する子供の発想だ。現に優良な大企業であっても上場していない会社もあるわけで、買われるのが嫌なら最初から上場するなと言いたい。
また、敵対的買収と言った場合に「誰にとって敵なのか」を考える必要がある。実は多くの場合、現経営者にとっての敵に過ぎず、持ち主である株主にとって敵であるわけではない。もっと言えば、会社にとっての最大の敵が経営者自身である場合も少なくないのだ。
株式会社の経営者は王様ではないし、変化しないことが偉いわけでもなんでもない。
多くのニュース番組は、そのような情報を全くフェアに扱っていない。あなたが知らないことをいいことに、彼らは嘘を教えているのだ。
ハゲタカが最終的にどのような結末を迎えるのかまだわからないが、現時点ではそうした短絡的なニュース番組に比べるとはるかにフェアな視点を持っているように思う。今のところ外資系の鷲巣さんが悪役として描かれてはいるが、このままでは終わりそうにないムードもある。
人間関係が過剰にドロドロしていたり偶然にしては出来すぎたタイミングがあったりもするが、まあそこはドラマだからということで許せる範囲だ。
緊迫感の演出もとても優れており、オトナがどきどきしながら見られるすばらしいドラマだと思う。
ただし不安な要素がないわけではない。
私は、短絡的にファンドを悪役にして気を済ませている総合ニュース番組の罪をそそぐ役割をハゲタカに担ってもらいたいと思っている。
ところがこのドラマには、最終的には人情や浪花節で片づけてしまいそうな雰囲気が感じられる。登場人物の背景には尋常でなく重苦しいものがあって、彼らのエネルギー源がその復讐心の上にあるようにも思う。
そして復讐劇の類型はそんなに多くない。つまり結果的にありがちな話に落ち着いてしまいそうなムードがあるのだ。
もしそのようなことになれば、せっかく醸成したリアリティはあっという間に失われるであろう。個人的に、このドラマには変なハッピーエンドを目指してほしくない。
ハゲタカはオトナのドラマですから、子供だましな結論は避けてほしいと思っています。出来たらとことんリアルに・・・たのんます。