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テレビで楽しむプロ野球

テレビで野球観戦し続けることウン10年のプロ野球ファン。CS放送以外のジャイアンツ戦は全て録画してでも観戦しています。日々の観戦ノートを元に、1カードにつき1記事ぐらい、書いています。

※10年前に書いた記事です、あしからず。
 電波のどういう関係によるものなのか、わたしには全く分かりません。が、とにかく、引越しをしたらMXテレビが偶然受信できるようになったのです。そのおかげで思いがけず、タイガースが18年ぶりの優勝を決めたゲームの生中継を堪能することができました。さらにこの偶然は、予想外の映像をもわたしに見せてくれることとなりました。

 MXテレビはときどき、サンテレビが中継するゲームをオンエアしているそうです。この日の中継もそうでした。わたしにとっては、初のサンテレビ生中継観戦。実況中継や解説はタイガースよりの内容で、お馴染みのキー局各社の中継とは明らかに異なっていました。けれども、異なっていたのは関西調の雰囲気だけではなかったのです。

 まず、テロップ。民放各局が年々見せ方に工夫を施している詳細で豊富な選手紹介のデータなどが、あまり画面に登場しないのです。いたってシンプルな選手デーがさらっと映し出されるだけ。最近5試合の成績、コース別打率、各球種の投球割合といったような、手を代え品を代えたデータなどもってのほか。また、今シーズンにキー局中継で画期的だった、ピッチャーが投じたボールの軌跡や、バットスイングの軌跡、超スローモーションの画像などはもちろんありません。リプレイが流される回数も格段に少ないのです。

 コマーシャルの流れる時間も明らかに短いようでした。たとえば、下位打線の攻撃の回の始まりは、コマーシャルによって割愛されがちなもの。コマーシャルの間に7番打者が出塁していたなんて、よくある話です。ところが、サンテレビではどちらのチームの攻撃も、1球目の投球に充分間に合うタイミングでコマーシャルは終わっていました。通常の中継では、投手交代時はコマーシャルに切り替わる場合が多いですが、この日の中継では、降板直後の伊良部投手のベンチでの様子が根気よく映し出されていました。

 カメラがとらえる映像にも、違いがみられました。どのキー局で観戦してみても、試合中に使われるカメラアングルはおしなべて同じです。カメラアングルが切り替わるタイミングまでも、予想がつくほど均一化されています。サンテレビのカメラはといえば、キー局同様のカメラアングルがありながらも、内野手がゴロをさばく姿を大きく映してみたり、バッターボックスに入る打者の足元をアップでとらえてみたり、といったお馴染みでない新鮮な画像を交えているのです。圧巻だったのは、星野監督がネクストバッターズサークルにいる赤星選手に耳打ちしているシーン。バッターボックス内の沖原選手と、耳打ちを気にしているにちがいないマウンド上の鶴田投手をも、同時にひとつの画面の中におさめる構図で映し出したのです。4人の立つ距離の間に漂う張り詰めた空気とそれぞれの心理状況までもが、画面に映し出されているように見えました。

 このシーンの映像に、サンテレビの中継のあり方は象徴されているように思います。選手たちが一球一球の瞬間に集中して試合に臨んでいるように、観戦者にもその瞬間瞬間の臨場感をシンプルに観戦してもらいたい。そして、人間性豊かなプレイヤーたちの存在を感じてもらいたい。そんな姿勢が感じられました。

 データや最新技術による分析的な映像を知らなくても野球はさまざまな角度から楽しめるものですし、リプレイ映像がなくても、逆に一期一会のプレイを見逃してはならないという緊張感が高まります。コマーシャルでちぎれちぎれにされない映像は、試合の流れを知る機会を増やしてくれますし、大写しにされた選手の身体さばきや集中した表情は、プロのレベルの高さをリアルに伝えてくれます。中継スタイルが進歩するにつれて忘れかけられていた野球観戦の本来の醍醐味を、サンテレビはわたしに喚起してくたのでした。

 さまざまなメディアが発展した現在、情報はそこかしこにあふれています。けれども、それらは発信者のフィルターを通して、編集、加工された情報にすぎません。まっさらでそのまんまな生の現実場面に対峙したときに、直接自分が身体で感じとることのできるはずの感動は、情報という形になった時点で、半減したり偏ったものになっているのではないでしょうか。テレビを通じて見る野球も同じように考えることができます。テロップやリプレイや特殊映像も、視聴者に対するサービスを意図していながらも、いっぽうでは、視聴者おのおのが持ち備えている独自の感動のアンテナを阻害している可能性は否定できません。

 そういう意味で、サンテレビの中継は、見る側の感動をできる限り遮らないないスタイルを貫いているように思います。万年弱小チームでも情熱的に応援し続けていた地元タイガースファンの懐の深さは、サンテレビの中継に培われた部分が多いのではないかと合点もいくのです。
 今シーズン、セリーグのペナントレースでは、試合中に意外な人がガムを噛むシーンが目につきました。ひとりはタイガースの星野監督、もうひとりはジャイアンツの後藤選手。おそらく昨年まではこのふたり、噛んでいなかったはずです。
 ガムを噛む行為は、一般的に不真面目な印象を与えるもの。ガムを仕事中に噛んでいる姿を目にしたときに不快感が募る人は少なくないと思います。フランスワールドカップのとき、試合中にガムを噛んでいた城選手に対する非難の嵐も、記憶に新しいところです。ですから、礼儀やマナーを重んじる侍タイプの星野監督と後藤選手がモグモグと口元を動かす様子は、わたしには不思議でなりませんでした。

 けれども、ガムには勝負事にプラス作用を与える何かがある、と仮定すればどうでしょうか。彼らのモグモグ姿に納得することができます。
 調べてみたところ、ガムには人体へのプラス作用があることが分かりました。キシリトールやニコチン、カフェイン、ビタミンCなどが配合されていない、ごくごく普通のガムにもです。
 噛むことにより、だ液に含まれる神経を集中させる働きを持つホルモン分泌が促進されたり、屈伸時に働く筋力エネルギーに必要な成分が増加。結果、瞬間的な筋力をアップさせたり、集中力を高める効果があることが、医学的に実証されているそうなのです。ガムの母国アメリカでは、会議の前に経営者がガムを噛むようにしたり、軍隊では必需品とされているのも、その効果を期待してのことなのだとか。同じ意味で、アメリカで野球選手がガムを噛み、来日した選手もガムを噛み、そして、日本の選手たちまでも噛むようになってきた、というアメリカに倣った経緯が浮かび上がります。

 ところで。ここでふと思い浮かんだのが、時代劇に登場する侍の姿。ガムの代わりに、葦(アシ)のような、楊枝のようなものを口に噛みくわえているヒーローが、たまに出てくるような気がします。木枯し紋次郎も長い楊枝を噛みしめてさすらっていました。その昔、戦上手な武士はスルメを噛んでいたそうです。源氏が平家に勝ったのも、貴族化した柔らかい食べ物を口にしていた平家に対し、源氏は玄米を主食とした堅いものを食べていたため、という説があるようです。これらは、日本の戦士たちが、噛むことの効用に気付いていたことを物語っているのではないでしょうか。それも、アメリカのガム誕生(1870年頃)より、はるか昔に。

 メジャーリーグの練習方法や戦法を日本のプロ野球が取り入れているのは、もちろん悪いことではないと思います。けれども、侍の楊枝やスルメのように「おばあちゃんの知恵袋」的に、身近な日本の風土で培われてきた伝統や伝承にも、野球に生かせるヒントが数多く潜んでいるような気がします。それをわたしたちは見落としてはいないでしょうか。

 たとえば、ヤンキースのトーレ監督と松井選手が、試合前に飲んでいると報道された緑茶。これも、日本の「知恵袋」のひとつかもしれません。戦国時代、武士は戦の前後に茶会を開き、心を研ぎすませ落ち着かせたり、闘牛では濃い緑茶を牛に飲ませ発奮させた史実があります。ジャイアンツの桑田投手が投球フォームを改造したのも、習っていた古武道での身体の使い方がきっかけです。

 日本の野球が、日本らしく、日本的な技術面や精神面の方策を開拓していけば、日本人の心・技・体に無理なく、もっと上手に進歩していくにちがいありません。侍タイプの星野監督と後藤選手は、助っ人外国人選手ではなく、木枯し紋次郎に倣ってガムを噛むようになった、と考えたいところです。
※10年ぐらい昔に書いた記事です。トーレ監督はWBCで代表監督してましたね。
 パワーアップ目指し、プロ野球テレビ観戦の新規記事投稿をしばらくお休みする予定です。代わりに、ブログに掲載していない昔の原稿をときどき引っ張り出してアップしようかと考えています。タイガースが優勝した年や清原選手も現役だった頃の記事もあり。
 野球とは違う内容の別ブログは更新しますので、よろしければご訪問お待ちしております。http://blog.goo.ne.jp/sukimonos