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テレビで楽しむプロ野球

テレビで野球観戦し続けることウン10年のプロ野球ファン。CS放送以外のジャイアンツ戦は全て録画してでも観戦しています。日々の観戦ノートを元に、1カードにつき1記事ぐらい、書いています。

 博愛的ジャイアンツファンの私はCSでカープを応援していました。ごめんなさい。それはともかく、初戦の4回裏、ツーアウトフルベースで原監督が内海投手に代打を告げた瞬間、カープに勝ち目のないことを私は悟ってしまいました。いきなり日本シリーズ出場権に王手の采配だと感じたからです。僭越ながら原監督ったら、名将! こういう、したたかで冷徹で厳しい采配をされてしまったら、カープに立つ瀬なし。タイガースに連勝した勢いも何もありません。
 この場面での、内海投手をマウンドから降ろしての代打・石井選手の出塁如何は、まったく原監督の意に介さないものだと言えます。言い換えるなら、自軍のこの回の攻撃のための代打ではかった。相手チームに目を向けての代打だったと思うのです。

 そのココロは。
 まずは、カープの大竹投手という投手陣の中堅(ベテランともいえそう)の柱が好投を続けていたこと。大竹投手ほどのキャリアがあると、相手の投手に呼応して自分のペースを維持する投球術をある程度身に付けているといえます。相手のピッチング内容の良さやリズムや間(ま)に、自分ものっかる。相手もさらにのっかる。そういうふうに共振しながら「いい波」にのってお互いがうまく進んでいく。マウンドの上の見えない「いい波」に身を任せてスイスイ投げることができるわけです。呼応して波を大竹と作り合っているのは内海投手。ですから、いくらいいピッチングをしていても、彼がこのまま投げ続けていては、大竹投手が「いい波」からスルリと逸れることは期待できません。「いい波」を乱すためためには風を送らねば。と、原監督はビハインドはたった1点なのに、自責0の内海投手をマウンドから降ろしたのではないでしょうか。
 大竹投手は、直前の打者・亀井選手に対して簡単にフォアボールを与えフルベースという状況をつくりました。この迷いのなさも代打を決断させた要因だと思います。亀井選手との勝負は全くカープバッテリーの頭にはなかった。迷うことなく、内海投手との勝負を選んだわけです。内海投手はどちらかと言えばバッティングのいいピッチャーだというのに、とにかくわずかな躊躇すら見せなかった。自分たちの思い描いた戦略のままにトントンと亀井選手を一塁へ送り出し、トントンと9番打者と討ち取ってのスリーアウトを目論んだといえます。このスムーズさが原監督は気に入らなかったのだと思うのです。ここで相手の意のままにゲームを進行させては、主導権を奪われかねませんから。ちょっとしたバランスの相手への傾き、そんな隙さえも許してはならないと考えたのではないでしょうか。
 そして、短期決戦であること。これは大きなポイントです。長いペナントレースでは、この代打はあり得ません。誰がどう見たってセオリーに反しているからです。けれども、CSは短期決戦。セオリーは通用しないものと考えるのが妥当です。なぜなら、セオリーというものはデータを蓄積させて算出した確率に基づくものだから。ペナントレースは年間1チームあたり144試合、セリーグ全体では432試合。いっぽう、CSはファーストステージ最大3試合、ファイナルステージ最大6試合。CSは短期の戦いですから、確率が該当するシーンは少なく、確率を不確実要因が凌駕しているといえます。では、不確実要因を生むものは何か。勢いや流れや緊張感や執念という選手たちのメンタルに他なりません。内海投手の代打は両チームにとって予想外の出来事。「なぜ」「まさか」という動揺を選手心理、ひいてはスタジアム全体に与えるといえます。原監督は不確実要因をつくり、スタジアム全体のメンタルを「代打・石井」のひとことで、ユッサユッサと揺さぶったわけです。
 もう一つ、ここぞという場面での「敵を欺くにはまず味方から」の実践。戦う前から1勝のアドバンテージが与えられているジャイアンツは有利で、まだ初戦の序盤。この日は4回でビハインドは最小点。先発の内海投手は、ここまで被安打3。まだまだ戦況として余裕ありといえます。内海投手は去年の日本シリーズのMVP男。チームのエースであり、選手会長。監督との信頼関係も厚い中心的存在です。なのに、代打。代打を原監督が告げた直後のベンチの様子がテレビに映し出されましたが、プロテクターを付け、バットを手にしていた内海投手の驚きの表情ときたらありません。「敵を欺くにはまず味方から」という言葉がよく表れた映像だったと思います。

 代打・石井選手は三振でこの回はスリーアウト。でもその後ジャイアンツは逆転、そして1勝も譲ることなくジャイアンツは連勝、日本シリーズへ駒を進めました。結果論といわれれば、もちろんそれまでの話です。その通り。返す言葉なし。でも、内海投手に代打を告げられた瞬間、私は個人的にカープに涙するしかありませんでした。赤ヘル軍団、よく頑張りました。初のCS進出ですから、今年はこれにてひとまずよしとしましょう。来年はもっと盛り上げてね。
(※10年以上前に書いた記事です。)
 今年の日本シリーズで、終盤のヤマ場に登板したタイガースの吉野投手とダイエーの新垣投手。ふたりの表情は対照的でした。
吉野投手は無表情。ヒットを打たれた後も、ピンチを乗り切った後も顔色に変化はなく、淡々としたものでした。逆に、新垣投手は表情豊か。リラックスしていて時おり笑みが浮かび上がり、反撃の一打をくらったときには、素直に悔しがっている気持ちがストレートに顔に表れていました。ともに似たような局面でマウンドにのぼったに関わらず、こうも表情に違いがあるとは。

 ふたりの表情を見ていて、ふたつのアドバイスの話を思い出しました。

 ストッパーとして昨年好成績を上げたジャイアンツの河原投手は、マウンドで表情を変えません。彼の八重歯を見ることができるのは、最後の打者を打ち取った後だけです。お面でも被っているかのようなポーカーフェイスぶりは、感情がすぐに表情に出ていた大学時代、監督から「表情を出すな」と指示されたことによるものだとか。昨年の好調時、テレビ中継でエピソードが紹介されていました。

 いっぽう、ジャイアンツの上原投手は気持ちが顔に表れるタイプです。そのために、解説者たちがよく表情の出し過ぎを否定的に指摘していたせいでしょうか。表情が硬直気味に見えた時期がありました。昨シーズンあたりからは元の感情表現豊かな上原投手に戻っていたのですが、今シーズンのある試合中継で「コーチからは、もっと感情をマウンドで出すように言われているそうだ」と実況アナウンサーが話していました。


 河原投手と上原投手へのアドバイスはまったく逆の内容です。表情を出さない方が、バッターに投手心理を悟られずに対決し冷静に投球することができる。また、表情を出した方が、バッターを威圧しボールに闘志を込めることができる。そんな意図がそれぞれのアドバイスにはあるそうです。一見正反対のアドバイスですが、どちらも間違ったものではありません。これらは、投手の性格や個性によって使い分けられていると解することができます。おおまかに分類すると、表情に出さない方が力を発揮できるタイプと出した方が力を発揮できるタイプによる使い分けです。河原投手は前者で、上原投手は後者ということです。


 今年の日本シリーズでテレビ画面に映し出された表情から察するに、吉野投手は前者、新垣投手は後者のタイプなのだと思います。とはいえ、シリーズで負けのついた新垣投手はまだ新人。反撃をくらい同点に追いつかれた次の回には、ガムを噛むのをやめて投げてみるという試行錯誤をしている様子もうかがえました。成長段階ですから、実は前者のタイプである可能性を秘めていると推察することもできます。1年目の公式戦は8勝7敗となかなかの成績でしたが、ポーカーフェイスな新垣投手となって来年以降大化けすることも考えられるのではないでしょうか。

 技術面だけではなく、メンタル面での各選手の工夫や所作を観察するのも、想像がふくらみ、身近に楽しめる観戦方法だと思います。メンタリティーは、スポーツでは無視できない重要な要素のひとつにちがいないのですから。
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 久しぶりに掛布さんの笑顔をテレビで拝見。でも、タイガースナインがホームラン時に腕を一斉に振り上げるパフォーマンスに苦言を呈してました。賛否両論ありますが、私は大賛成。試合が盛り上がりますもん。あのパフォーマンスがダメなら、ガッツポーズはいいんでしょうか、ピッチャーが吠えるのはいいんでしょうか、観客のヤジはいいんでしょうか。相手にパフォーマンスなどされて侮辱を感じたのなら、打者を封じ込めたり、投手を打ち込んだりという野球そのもののパフォーマンスでお返しを。パフォーマンスに動じない泰然自若の姿が、カッコいい。