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テレビで楽しむプロ野球

テレビで野球観戦し続けることウン10年のプロ野球ファン。CS放送以外のジャイアンツ戦は全て録画してでも観戦しています。日々の観戦ノートを元に、1カードにつき1記事ぐらい、書いています。

 1戦目の3回、ジャイアンツの村田選手はストレートを見逃して三振。村田選手がベンチへと戻るまでの間(ま)をあけてから、落合氏が語り出しました。
「絶対、バッター、しちゃいけないことなんですよ、これは。まっすぐひとつもピクリともしてないでしょ。で、私らの現役の頃っていうのは、とてもじゃないけど変化球を打席で待つなんてしぐさ、できませんでしたから。どんなピッチャーでも、そのピッチャーのいちばん速いボールを主体に組み立てていくんです。だから『ツーストライクをとられた』『ここ、変化球じゃないのか』『まっすぐだ』とかっていうことじゃなくて。ある程度どっちに比重を置くかっていうことはしても、『100%こっちだよな』っていう待ち方はしません。
 私はツーストライクとられるまでは、絶対100%まっすぐ。で、まあ、ツーストライクとられても、8割方まっすぐ。あとの2割は変化球あるのかな、と。そこでスピードの変化出てくるわけですから、まっすぐを待ってたら遅いボールになんとか対応できるっていう。そういう打ち方(=落合氏自身のフォーム)だったから、私、できたのかもわかんないけど。
 今の選手見てるともう、100%どっちかっていうふうに偏ってるんですよ、あんな見逃しの三振してたら、次の日、スタメンないですよね、もう。『何してんの!?』って言われて終わりですよ、もう」
 梨田氏も、キャッチャー目線の話を加えました。
「だいたい、キャッチャーっていうのは、見逃し方を見て『あ、突っ込んでるな』とか『差されてるな』とか『泳いでるな』。そういうのを見ながら、次のボールっていうのを選択していくわけなんですけども。
 落合さんの現役時代は当然ですけども、最近だと金本(タイガース)。金本選手がホントに状態のいい時っていうのは、全く何待ってるのか分かんない時あったんですよね」

 ボールを見送る時、その姿を見ても、バッター・落合の待っている球は分からなかった、というわけです。けれども、それだけではなくて。ボールを打つ時でさえも、その姿からはギリギリ直前まで、バッター落合が待っている球か否かは分からなかったようです。なぜなら、梨田氏がこんなことを何気なく話していましたから。
 キャッチャー・梨田、バッター・落合という場面。ピッチャーが投げた球をミットで受け止める瞬間のこと。バッター・落合の動きから『このボールは見逃すだろうな』と思った途端、急にバットが出てきて打たれた、と。
 キャッチャーは、バッターの息づかいや些細な動きの気配さえ、すぐに伝わる距離に座っています。そして、バッターの変化を敏感に見抜くアンテナを張り巡らしているものです。そんなキャッチャーにしか分からないような、0コンマ何秒の近距離だからこそ見えてくるバッター・落合の凄みが凝縮されたエピソードではないでしょうか。なんとも貴重。梨田氏、会話のキャッチングも素晴らしいです。

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G×H @東京ドーム
5/19 NHK 工藤アナ、解説:梨田昌孝、ゲスト:落合博満
5/20 BS日テレ 村山アナ、解説:堀内恒夫
 待ってました、この日を。1戦目の中継は落合氏がゲスト。しかも、解説には親友の梨田氏。さらに、アナウンサーはベテランの工藤氏。3名の組み合わせを見ただけで期待せずにはいられません。冒頭に早速、実況ブースの3ショットが映し出されました。3人ともニコニコ、いい雰囲気です。特に梨田氏の、出過ぎず、そして、引っ込み気味だけれどもちゃんと出るとこは出る、という絶妙の会話のポジショニングが秀逸、白眉。さすが、元キャッチャーらしい。ピッチャーを盛り立て、引き立て、気持ちよく投球させるかのように、落合氏を心地よく解説ブースでしゃべらせてくれていたように思います。
 おかげで、落合氏の口からは次々ととめどなく言葉が流れ出てきました。ベテランアナウンサーの工藤さんも、嬉しい困惑下にあったのではないでしょうか。NHKアナウンサーとして本来なすべき、野球中継という番組構成上最低限語るべきである実況。これを入れるタイミングのつかみ方がいつもより相当難しかったはずです。落合氏の怒濤のような語りの中にわずかに発生する途切れを逃さずに、しかも、その流れやリズムを無視することなく受け止めつつ、実況をしなければなりませんから。実感値としてですが、3人が中継の中で話した割合は、落合氏:梨田氏:工藤アナ=8:1:1といったところ。
 その「8」を中心に、いくつかの記事に分けて抜粋します。

 3回、スコアは0-0。ノーアウト1塁、バッターは藤村選手。初球、ランナーの長野選手はスタートを切り、藤村選手はバントしてファウルに。エンドランなのか、バントなのか。おかしな動きです。梨田氏も落合氏も口を揃えて言いました。
「どちらか(長野選手か藤村選手)のサインミス」
 その後、藤村選手はバントを試みましたが、打球が正面へ転がりゲッツー。チャンスを潰してしまいました。ここで、落合氏がやわらかな口調で語り始めます。
「でもねえ、どっちかが(サインを)間違えてるわけでしょ。もしあそこで、サインをランナーが間違えてるんだったらいいんですよ。バッターが間違えてるんだったら、一声掛けてやっても、落ち着かせてもいいのにね、ベンチからね。おそらく、わりきれてないと思いますよ。『ああ、間違えた。何がなんでもしっかり送らなきゃいけない』と思ってるはずだから。そのぐらいの配慮はしてやってもいいんじゃないかな。やっぱり、やってるのは人間ですから。
 それに付け加えるわけじゃないですけど、藤村の足を考えたら、あそこでゲッツーになるような走塁をしちゃあいけない。やっぱり(ランナーに)残らないといけない。それだけの脚力は持ってるはずですから。たしかにバント、正面で、セカンドアウトになりましたよね。でも、セーフになるぐらいのモノは持ってるはずですから。だから、『しまった』っていうのが頭の中にあるわけでしょ」

 お二人のお見立てでは、サインミスをしたのはおそらく藤村選手。これは落合氏の最後のくだりからも伺えます。だからこそ、初球ファイルの直後にベンチからたった一声で彼をフォローしておいたのならば、と指摘するのです。
 一声のフォローによって落ち着くことのできた藤村選手は、難なくバントを成功させたかもしれません。あわよくば自分もセーフになるようなバントを打つ可能性さえあったはず。または、バントは失敗に終わり、2塁にランナーを進めることはできなかったかもしれません。ただ、この場合であっても、一声によって落ち着くことができたがために、バント後に一塁へと走る時の一歩目のスタートや加速に集中力が持続され、自分自身はせめて1塁でセーフになったかもしれないのです。いずれにしても、ゲッツーという最悪の結果は防げたはずだというわけです。
 落合氏の選手に対する、この気遣いよう、このきめ細かさ。たった一声が選手に与える影響。たった一声で大きな差がつくゲーム運び。ボールやバットやグラブといったモノをまったく介しないところにも確かに存在している野球の大切さ。そういうものをあらためて感じさせてくれる話でした。
 こういった話を聴いてしまうと、彼の監督時代に同じようなケースでサインミスがあった場面を、VTRでのぞいてみたくなります。サインミスを犯した選手に、コーチやベテラン選手が声を掛けていたに違いありません。そして、その一声がどう結果として表れていたのか、試合の流れのなかでどんな効果を持っていたのか。気になるところです。

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G×H @東京ドーム
5/19 NHK 工藤アナ、解説:梨田昌孝、ゲスト:落合博満
5/20 BS日テレ 村山アナ、解説:堀内恒夫
 この2連戦は、オレンジユニフォーム着用ゲームでした。この色は選手がとてもイキイキとして見え、強そうな雰囲気をつくり出していると思うのです(4月30日付記事にも書きましたが)。さらに、この2連戦では、ドーム観戦者全員にもオレンジユニフォームが配布されたため、スタンドはほぼ一面が鮮やかなオレンジ色。ドーム全体がオレンジに揺れているというテレビ画面はとても新鮮。いちだんとジャイアンツの勝利を予感させるようなムードが、テレビのこちら側までにも伝わってきます。高揚感は視覚的効果にとどまらなかった模様。やはり、オレンジユニフォームには効果があるようです。
 グランドスラムを放った高橋選手は、インタビューにこう答えました。
「(スタンドもオレンジ色にそまって)一体感があって気持ちいいですね」
 このコメントを受けて、与田氏も言いました。
「選手たちは、オレンジの輪の中にいるという感覚でしょうから、気持ちいいと思いますよ」
 2戦目、勝ち越しの犠牲フライを打ってお立ち台に登った加治前選手も、インタビュアーに「今シーズンのお立ち台は4月29日以来2回目ですが、共通点がありますよね」とマイクを向けられ、こう答えました。
「オレンジのユニフォームを着た日ですね。ゲンがいいですね」
 原監督も、いつもと違う赤茶系の色をしたフレームの眼鏡をかけていたのは、オレンジユニフォームを意識されてのことだったのではないでしょうか。監督自ら自前コーディネートをしてくれていたとは、さすが。
 選手や監督以外にも、オレンジを意識してくれていたものがありました。それはバックネット下の広告。1戦目、「タケモトピアノ」の広告は文字がオレンジ色でした。素敵な気遣いです。次の日、2戦目のバックネット下の広告は「ブルガリアヨーグルト」。残念ながら、こちらは通常の色でした。これほどブランド力と歴史のある商品が、オレンジを意識した広告をこの日限定で見せてくれていたのなら。さぞかし、かなりの数の野球ファンからの好感度がアップしたと思うのですが。なんとも惜しいこと。


G×Bu @東京ドーム
5/16 NHKBS 宮田アナ、解説:与田剛
5/17 BS日テレ 町田アナ、解説:赤星憲広