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テレビで楽しむプロ野球

テレビで野球観戦し続けることウン10年のプロ野球ファン。CS放送以外のジャイアンツ戦は全て録画してでも観戦しています。日々の観戦ノートを元に、1カードにつき1記事ぐらい、書いています。

 落合氏と梨田氏と工藤アナは、3人とも昭和28年生まれ。同級生トリオであることが、それぞれの誕生日テロップ付きで中継直後に紹介されました。そんな共通項もあってか、落合氏は、構えることなく、あらたまることなく、カッコつけることなく、嬉しそう、楽しそうに解説をしています。試合が進むにつれ、時間が経つにつれ、どんどんどんどんリラックスが高まっていっているご様子。それは、「私」ではなく「オレ」という言葉が使われ出したことからも伝わってきたのでした。
「工藤さん、オレ、こんなこと言って悪いんだけども、もしね、オレ、現役でバッターボックスに立ってたら、オレ、摂津のカーブ、分かるよ。こういうふうに持ってるのね(持っている映像は映りませんでした。ここにもテレビを意識していないようなリラックスぶりが感じられます)。こうじゃなくて、手がもう『カーブですよ』ってこうやって抜くんですよっていうアレで。白い部分が見えるんです。こうやって、手、上がってくるでしょ。こうやって、あの時点で『あ、これカーブなんだな』って分かります、あれ。それだけ、集中したら、絶対見れるはずなんです。
 ところが、今のバッターがなぜカーブやフォークっていうのが見れないでワンバンド振るかっていうと、準備する時間が遅いんです。ボールを長く見る動作っていうのができてない。つっかかってる。投げられてきたボールを、ただそのまま『エイヤー』『エイヤー』って打ちにいくっていう、そういうバッターが多いんです、今」
 摂津投手のカーブのクセを見抜いたという話だけに終わらず、最後には再び、バッターの「時間をつくる」話へと結びついて終わるところが、さすが。この中継で延々と語っていた、テイクバックの足、手(バット)、体の動き方の重要性をいっそう、感じずにはいられません。

 重要性を感じずにいられなかっただけでなく、あるお願いをせずにはいられなかったのが、落合氏の隣に座っていた工藤アナ。アナウンサーとしてという立場はさておき、でいいのです。やはり一野球ファンとしての工藤アナに、この機を逃してほしくはありません。
「手を拝見してもよろしいですか。触ってみたかったんです。男同士で気持ち悪いかもしれませんが、三冠王の手。手袋を使わないバッター、落合さんの手に触ってみたかったんです」
 三冠王の手を両手で上下から挟み込みながら触って、少年のように喜ぶ工藤アナ。触られながら、誇らしそうに、落合氏は言います。
「柔らかいでしょ。あの、全神経、ここにありましたから。絶対、荒れないように、神経使ってましたよ」
 バッターの手というのは豆ができてゴツゴツして硬いものだと思い込んでいました。これはとても意外。
 柔らかい手を触りながら、工藤アナが発した言葉は、いかにも昔ながらの野球ファン。テレビ観戦者としてもほほえましいシーンでした。よかったですね、工藤アナ。
「手袋を使わないバッター、落合さんの手に触ってみたかったんです」
 さて、何年か前まで手袋を使っていなかったバッター、小笠原選手の太もも肉ばなれの回復具合が気になります。

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G×H @東京ドーム
5/19 NHK 工藤アナ、解説:梨田昌孝、ゲスト:落合博満
5/20 BS日テレ 村山アナ、解説:堀内恒夫
 野球実況の大ベテラン、工藤アナウンサーさえ、谷選手についての落合氏の話の途中でこう言いました。
「だんだん難しくなってきました。また、今の話は後でビデオを見てじっくり勉強してみますね」
 足と手(バット)と体の関係についての話は、次に「時間」へと深まっていきます。

 谷選手の打席にて、落合氏の発言。
「ね、遊ばせてるでしょ(=ヒッチしている)。遊ばして、あそこ、構えてますよね。そのまま足が上がってくるとき、手が一緒に上がっていくでしょ。あの動きが反対になってくれればもっとラクなんだけども。そのためにはもうちょっと早めに動かなきゃダメなんです、時間をつくってやらなきゃいけないの。(ピッチャーが)投げてからじゃダメなんです。投げる前にピッチャーが動いた時に動いてくれればラクなんですけどね。(手が足と)一緒に上がってくるでしょ。手が下がらないんですよね。で、本人、バッターみんな、動かしてる(=手を下げている)つもりなんです。『いや、オレは手を動かしてる』って。で、動いてないでしょ、手は。あれを動かしているのはどこなのかっていうと、肩なんです。肩を動かしているんです。それが、手を動かしているように錯覚してるの」
 ここで、谷選手はストレートを見逃し、三振に倒れます。落合氏は続けます。
「今のまっすぐでも振ろうとしてないでしょ。振ろうとしているとき、もう(球は)ミットの中でしょ。ね。っていうことは、もう時間差がズレてる。遅いんですよ」

 阿部選手が打席に入った時のこと。「タイミングの取り方が、僕はいいように感じるんですけどね。この足の上げ方っていうのはどうなんですか」と梨田氏が落合氏に尋ねました。
「いや、悪くないと思うんですよ、足の上げ方っていうのはね。どういうふうに上がってもいいと思うんですよ。ただ、いちばん、何て言うの、村田、小久保と違うのは、このバットのね、出やすいところ、多少ちょっとだけ下がるんですよ、最初、足上げた時に。(バットは)寝かせてるんだけど、立たしてる時に多少グリップがちょっと下がる。それからもうちょっとガマンして上から叩こうとするぶんだけ、まだ時間がつくれる。これでも普通の回転してくれれば、もっと飛距離出るんですよ。上に振り上げようとしないで。
 (VTR見ながら)ここでちょっと(グリップが)下がってくるでしょ。それで、上げようとしながらバットを振り下ろしてくるでしょ。ね、そのぶんだけ、まだパンチかかるんですよ。ちょっと、左右対称の動き、多少でも、するでしょ。村田とか小久保と違ってね。多少、まだ、上げようとするでしょ、下がったから、もう一回、振ろうとする時に。足上げた時に、下がってもいいということを覚えてもらいたい。野球やってる少年にね」

 野球少年にとって、現在リーディングヒッターの阿部選手でさえ、バッティングの良いお手本とはいえないというわけです。さらに、プロ野球選手の打ち方はあまり真似てほしくないと言い出す落合氏。ご自身を含めて、あまりいい打ち方をしているバッターはいない、とのこと。
 けれども、NHKとしては、ここで「そうですか」と話を終結させてしまうわけにはいきません。野球少年に夢を与えねば。野球ファンに光を示さねば。大ベテラン・工藤アナがくらいついてくれました。
「誰か一人ぐらい推薦してくださいよ」
 落合氏は一人だけ挙げました。
「昔、(現役時代を)知ってる人だったら、川上さんって言いますけど」
 そうくるのですね。やはり、神様、君臨。

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G×H @東京ドーム
5/19 NHK 工藤アナ、解説:梨田昌孝、ゲスト:落合博満
5/20 BS日テレ 村山アナ、解説:堀内恒夫
 村田選手の打席を見て、落合氏は熱心にバッティングを説き始めました。この話に、野球をプレイしたことのない、観戦オンリーのファンがついていくのは容易ではありません。一度聴いただけでは頭が混乱して言葉がからまってしまいます。けれども、ゆっくりと頭を整頓しながら何度も落合氏の話を聴いてみると、何となくほぐれてくる。そうして、徐々に理解が組み立てられてきて、野球ファンとして少々レベルアップした優越感が味わえます。きっと、初めて逆方向を意識したバッティングができたときのような、初めて打者のタイミングを外した球を投げられたときのような、そんな感覚なのではないでしょうか。

「皆さん、よく『今年、村田のバッティング、小さくなった、小さくなった』って言いますよね。いちばん見てもらいたいのは、テイクバックに入ってくるときにね、左足上がるでしょ。上がる時に手が一緒に上がってくるんです。一緒に上がっていくっていうことは、踏み込みにいく時に手が一緒に下りてきてしまう。だから、トップの位置もとれないの。で、(トップの位置に)置こうとするんだけども、体だけ下りていって手を置いてきちゃうもんだから、どうしても体にバットがからまないんです。バットのスイングの幅が小さいの。
 だから、いちばんいいのは、足が上がる時、手が逆にそこにあってもいけない、下りてくればいいの。人間の歩き方ってそうでしょ、普通教える時。左に足を出したら右の手が出ていくっていう。
 ところが、今の村田の打ち方っていうのは、昔の武士の歩き方。左の足が出りゃあ、左の手が一緒に出ていくっていう。そういう動かし方なんです。そうすると、幅が出てこないんです。逆に、左の足が上がった、右の手が下に下がればいいじゃない。それで足が下に下りていく時に、そのまんま右手が上がってきて、肩のラインをそのままにしておいてくれればトップの位置はとれるんです。あと、そこから振ることだけ考えてくれればいいんです。
 距離をとりなさい、とりなさいっていうんだけど、体だけ、もう、軸をブラして前に出ていって、手だけをそこへ置いてきちゃうもんだから、どうしても振らなきゃいけない、引っ張ってこなきゃいけない。だから、全部、(バットが)外、回ってるんです。体のラインが先にレフトの方、向いてしまうから、バットが遅れるんです。だから、緩いボールはダメって言うんです(※落合氏は、村田選手に対してカーブは禁物と話していました)。打てるんです。(タイミングが)合うんです。ところが、速いボールと速い外のスライダーには合わないんです。
 ただ、これがね、何でそういうふうになったかというと、過去の昔のバッターって、ほとんどの人がヒッチしたんです。腕がね、一回下がって上に上がっていくとか。絶対、構えたところから手は下げちゃいけないっていうことを言われた一時期があったんです。でも、今日(ドームに観戦に)来ている長嶋さんにしても王さんにしても、あの人たちも全部ヒッチしてたんだけども、人に教える時は『絶対しちゃいけない』って言うんです。これが厄介なんです。
 簡単に考えてくれればいいのは、『バットを持っているのはどこですか』ってね。腕でしょ。で、腕を使えていないんです。そのまんま肩で回して、普通。梨田さんの昔でいうコンニャク打法、私ね、神主打法、って言っても、お互いの共通点っていうのは、手を自由自在に動かしてたんです。(手は)下がっても構わないんです。だって、梨田さん、ベルトの付近で構えてたわけですから。そこから打つ時はちゃんと上がってくるわけでしょ。どこで上げるかっていえば、手で上げるしかないんです、腕で。そしたら、どこにも動けるような、動きっていうか、反動でもいいんですよ」

 最近ですと、ボウカー選手のヒッチをよくないと指摘する話がよく聞かれますが、「ヒッチ」=(イコール)「悪」と決めつけるのは間違いのようです。ヒッチしてもいい、という話は、桑田氏も話していました(以前のブログ記事に記載あり)。どうやらヒッチは濡れ衣を着せられているようです。かわいそうに。ヒッチが悪いのではないのです。ヒッチの後にどうするか。こここそが問題であり、「悪」が潜んでいるところなのだということがよく分かります。
 足と手(バット)と体の動きのバランス関係についてのお話は、まだ続きます。ひとまずここまでを反芻してから、第二部へおすすみください。

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5/19 NHK 工藤アナ、解説:梨田昌孝、ゲスト:落合博満
5/20 BS日テレ 村山アナ、解説:堀内恒夫