テレビで楽しむプロ野球 -17ページ目

テレビで楽しむプロ野球

テレビで野球観戦し続けることウン10年のプロ野球ファン。CS放送以外のジャイアンツ戦は全て録画してでも観戦しています。日々の観戦ノートを元に、1カードにつき1記事ぐらい、書いています。

 1戦目、試合開始まもなく、先発の渡辺俊介投手について梨田氏は言いました。
「風がないんですよ。上手く利用してきたピッチャーなので、どうかな。アゲインストでバックネットにあたって、ピッチャーからすれば逆風になるときに、緩~いカーブなんかが浮いてくる感じがみえたら面白いんですけども」
 1回表、スコアボード横の風の表示がテレビ画面に映し出されました。風向きを示す矢印はセンターからホーム方向、風速は1メートル。マリンフィールドでは風速10メートルを超えることはよくあるそうですから、ふだんと大違い。珍しく、風がおとなしくしています。
 「どうかな」という梨田氏の予感は見事に的中。2回表、渡辺俊介投手はジャイアンツに3本のヒットとデッドボールを与え先制点を奪われました。なおもワンアウトフルベース。ここで、梨田氏が先制点に至った投球内容を振り返りました。
「悪いボールではない。今のボウカーが打ったシュートもですね、高さ的には全く悪くないんですよね。谷がセンター前のタイムリーも(ボールは)悪くない。村田の打った球も悪くはないという。
 そういった中でね、ひとつ違うのは、風の影響がないということでね。(渡辺俊介投手の)抜いたカーブが100キロ台なんですよね。いつもでしたら97キロとか96キロ。そうやって、時間差といいますかね、バッターの身体を前にズラすということが少し今できてない感じがするんですね。
 それと、高橋由伸に対して投げたボール(デッドボール)は、シュートがひっかかって当てたという。そういう何かが、今、少し、残ってますよね」
 この後、再びスコアボード横の風の表示がテレビ画面に映し出されました。風向きを示す矢印はセンターからホーム方向、風速は3メートル。試合直後の1メートルに比べれば風は強くなったとはいえ、まだ風は本来の様子ではありません。アナウンサーも「3メートルの風。10メートル表示(が出るとき)もあるスタジアムです」と、この日の異常さに触れました。
 いつものような風力がなかったために、いつものように風を利用したピッチングができず、いつもの調子で投げられない。だから球自体がいつもと違い、打たれてしまった。さらに、指先を狂わせてのデッドボールからは、風の影響は球そのものだけではなく、メンタル面にも忍び寄ったことがうかがえます。この回はゲッツーでピンチをしのいだものの、渡辺俊介投手は、5回3失点でマウンドを降り負け投手となったのでした。「悪いボールではない」というのに。

 2戦目、3回、サブロー選手がレフトスタンドへ、澤村投手から3ランを打ちました。佐々木氏は言います。
「この球場は風を見方につけないといけない球場でしょうね。レフトに伸びる風ですよね」
 9回、ワンアウトランナー1塁。スコアは5-0。成瀬投手の完封勝利まであとツーアウトという場面。長野選手の打球はライトスタンドへ飛び込んだのでした。佐々木氏は、驚いた口調で言います。
「伸びましたねえぇ。この回、風の向きが変わったんですよね、ライト方向へ」
 いつもと違う風が9回に吹いたことは、アナウンサーのこの一言からも分かるのではないでしょうか。
「今の成瀬の表情は、『あれがいっちゃったのか』みたいなねぇ」
 テレビカメラはもちろん成瀬投手の表情を映し出し、次に、スコアボード横の風の表示を捉えました。風向きを示す矢印はレフトから一塁方向、つまりライト向き。風速は5メートル。いつもと違うマリンフィールドの風向きが、長野選手の打球をスタンドへ押し込む手助けをしたのです。
 最後の最後の締めの場面で、気まぐれを見せてくれた風が影響を与えたのは、長野選手の打球だけではありませんでした。渡辺俊介投手と同様、成瀬投手の表情が物語っていたように、彼のメンタルにも影響は及んだといえます。完封を逃しただけではなく、9回ツーアウトまでこぎつけたところで坂本選手にヒットを打たれ、降板。8回までは2安打無四死球という素晴らしいピッチングでリズムよく投げていたというのに。完投すら遂げられなかったのでした。勝ち投手にはなったものの、ヒーローインタビューを受ける彼の表情には、まだまだ、風の影響が目のあたりに色濃く残っていました。

 マリンフィールドの風は特別だと言います。ですから、マリーンズの選手はその風に慣れていて有利だという見方があります。けれども、その慣れというものは時に、思わぬ落とし穴を呼び込むことがあるといえます。さらに、相手チームよりも風に対する有利性や優越性を感じているだけに、風がいつもと違う様相を見せ、相手に有利に吹いた時のダメージときたらないのではないでしょうか。余計に大きく深い落とし穴となってマリーンズ選手の足をすくってしまう。飼い犬に手を噛まれたようなショックとでもいいましょうか。

 この2連戦、スコアボード横の風表示とバックスクリーン上の旗が何度かテレビ画面にも映し出されました。けれども、これらだけでは、このスタジアムの風は表現しきれていないのではないでしょうか。風が名物にもなっているスタジアムなのですから、バックスクリーン上の旗がたった5本というのはなんともさみしい。もったいない。物足りない。スタジアム周囲にぐるりと旗を立て巡らせるべきではないでしょうか。巨大風車(かざぐるま)やマー君とリーンちゃん風見鶏などを設置するのもいいかもしれません。風を視覚化するのです。
 そうすれば、スタジアムの観客もテレビ観戦者も風の動向を知ることができるだけではなく、グラウンド上の選手たちも、こと細かに風を読むことはでき、プレイに活かすことができるのではないでしょうか。
 できれば、旗や風車(かざぐるま)の本数だけではなく、形状や絵柄にも工夫を凝らしていただきたいと思います。
「風車の回転が早くなりクールの顔がくっきり見え始めたので、レフト上空の風が~~ですから、打球は~~」
「長いリボン状の旗が真横に流れているので、ライト付近のフライは~~」
「里崎選手の背番号フラッグと清田選手の背番号フラッグの向きが~~なので、あのあたりで風が~~」
 などという、マリンフィールドならではの野球の観戦法も誕生しそうではありませんか。実況中継の会話や映像も面白くなりそうです。2戦目の中継番組では、製作・著作のクレジットとして、BSTBSだけでなく「千葉ロッテマリーンズ」の文字が並んでいました。素晴らしい。ぜひとも、千葉ロッテマリーンズ球団の中継担当者に、ご検討いただきたいと思います。よろしくお願いします。あわよくば、風力発電スタジアムという手も。
 数年前にナイターで使う電力の一部を風力発電で賄ったことがありましたし、屋内練習場には太陽光発電を導入しているそうですから、もっともっとエコスタジアム化を進めてほしいものです。エコだけでなく、選手のプレイにも、観戦にも、風車(かざぐるま)や旗の動きは役立ちますし。

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G×M @QVCマリンフィールド
5/25 NHKBS 星野アナ、解説:梨田昌孝
5/26 BSTBS 椎野アナ、解説:佐々木主浩
 外国人選手は日本人選手に比べて表情が豊かだといえます。ただ、喜怒哀楽の「哀」についての表情はあまり見せない選手が多いのではないでしょうか。大げさに喜んだり怒ったり嬉しそうな表情は見られても、哀しむ表情はあまり見られないのでは。そこには、哀しむよりも気持ちを切り替えて臨むべきだとか、自分のせいではなく仕方のないことなのだと、前向きにポジティブに物事を捉えるといった、西洋人特有めいた気質がうかがえる気がします。ですから、エラーをしても堂々としていたり、何食わぬ顔をしているシーンがよく見られるのではないでしょうか。
 ところが、ライオンズのヘルマン選手は違うようです。「哀」を表情に出すだけではなく、そこに外国人ならではの大げささが加わっている。ですから、NHKのテレビカメラもついつい何度も彼を追ってしまうのかもしれません。

 1戦目、7回表ワンアウト満塁。亀井選手の打球はぐんぐんとレフト上空へと伸びていきます。レフトの守備についていたヘルマン選手は後ろへと走りながら腕を伸ばし、グラブの中にボールは収まりかけたかのように見えました。が、グラブをかすめてボールは転々とグラウンド上へ。ランナー2人がホームインしてスコアは4-1。得点差を離されてしまいました。このプレイの記録は、ヘルマン選手のエラーではなくヒット。けれども、直後に、ヘルマン選手は顔をしかめ、腰に手をやります。そして、しゃがみ込み、グラブをグラウンドについてうつむいていたのでした。
 大島氏は、そんなヘルマン選手の守備について少しだけ擁護しました。
「打球も確かに伸びていったんですけどね、前進守備なんですよ。で、走る距離が長すぎてですね。もともと内外野守れる選手ではあるんですけども。やっぱり、逆に距離を走り過ぎますとね。追いつくには追いついてますけどね。セカンドでプレイしているときでも、やっぱり球際に少し脆さがあったヘルマンに言っても……。まあ、でもね、今のは、あれだけ外野手が距離を走るとね、まあ、いっぱいいっぱいのプレイにはなるんです」
 その後、ヘルマン選手がベンチで頭を自分で叩いたり、抱え込んでいるシーンが何度かテレビに映されていました。彼にエラーがつかなかったとはいえ、亀井選手の打球処理を相当反省して悔やんでいる様子がありあり。
 外国人選手が哀しみを見せることはあまりありませんが、あったとしても、哀しみの中に怒りをにじませているものです。ところがヘルマン選手はそうではない。本当に哀しんでシュンとしているのです。このプレイが起こる前の打席でも、眉間にシワを寄せたり眉毛を下げたり。繊細な哀しみの表情を見せていました。外国人選手にしては珍しい表情に、思わず目が留まってしまいます。

 もうひとつ目が留まったシーンがありました。同じく7回表、ヘルマン選手のくだんのプレイが起こる前のこと。1アウト1・3塁というチャンスで打席に向かったのは、久しぶりにスタメンに名を連ねた松本選手でした。ところが、Uターン。代打を出されてしまい、バットを片手にベンチへ戻ってきます。このときの松本選手の表情。ふて腐れ顔です。といっても、控えめなふて腐れ顔。この日はここまでノーヒットというたけでなく、今シーズンまだノーヒット。それでは代打を出されても仕方ないという気持ちが、ふて腐れ顔を控えめなものへとセーブさせたのだと思います。グラウンドからベンチへと下りる間際には、バットをグラウンドに軽くポンと叩き付ける悔しさの表れているしぐさも見られました。が、これも控えめ。バットという道具に対する思いやりもあったでのしょうが、仕方ないという気持ちがバットを叩き付ける力をセーブさせたに違いありません。
 この、セーブさせる気持ちを早く突き破ってほしい。そうなった頃、新人王を獲ったシーズンのような松本選手が復活するのではないでしょうか。ファウルで粘ったりダイヤモンドを駆け巡ったりする姿が。松本選手と藤村選手、身体の小さな2人の名前がスコアボードに並ぶようになれば、ジャイアンツの戦い方ももっと面白く見応えが出てきそうです。

 ヘルマン選手を哀しませた二塁打を打った亀井選手は代打での打席でした。代打を出されたのは、この日3打数ノーヒットだった藤村選手。交代を告げられた時の藤村選手の様子、テレビカメラは捉えてくれませんでした。どんな表情をしていたのでしょう。

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G×L @西武ドーム
5/22 NHKBS 冨坂アナ、解説:大島康徳
5/23 BS朝日 清水アナ、解説:大塚光二
 ファウルボールが真後ろへ飛ぶとタイミングが合っているとか、右打者が振り遅れた時は三塁側に飛ぶとか、逆の時は一塁側に飛ぶとか、うんぬん。ボールの飛んだ方向を元にバッティングが語られる事はよくあります。が、バットの飛ぶ方向について語られることはあまりありません。そもそもバットはボールを飛ばすための道具であって、それ自体は飛ばすものでありませんから。
 それでも、バットがバッターの手からすり抜け、コーチャーズボックスに立つコーチめがけて飛んでいくようなこともあれば、ボールは飛ばずにバットだけフェアゾーンへと飛ぶこともあります。両手から離れないまでも片手から離れたために、振り抜いたバットがキャッチャーを直撃して惨事を招いたことも何度となく目撃しました。たしか、ある外国人選手はバッティングの調子が下降気味になると、バットがキャッチャーを直撃することがみられるという話を耳にしたことがあります。危険なバロメーターですが。
 スイング直後のバットの動向というものは、何かを語っていることが間々あるのではないでしょうか。1戦目、解説の大島氏もこんな話をしてくれました。
 2回表のこと。カウント2-2。谷選手はファウルを打ちました。このときボールと同時にバットも飛んだのでした。向かった先はマウンドの牧田投手。真正面へと勢いよく飛んでいきました。牧田投手はうまく避けて難を逃れます。このバットの軌跡を見て大島氏。
「よく、映像の中でも打者がバットを飛ばすシーン、手元から離れて飛んでいくシーンっていうのがありますけども、これ、いちばんよく分かるのは、ピッチャーへ(バットが)そのまま返りました(=飛びました)ね。そのまま返ったっていうことは、バットの軌道っていうのは非常にいいんですよ。右手が勝ってわけでもなし、引っ張ってる左手が勝ってるわけでもなく、センター方向へ打とうとするバットの軌道っていうのが、非常に良くてですね、ピッチャーの方向へそのままバットが返っていくんですね。少し右手が勝ったりしますと、今度、レフト方向へいったりするわけです。
 いろんなバットの飛び方ってあるんですけども、結果はどうなるか分かりませんが、谷の状態は非常にいいと思うんです」
 この打席では谷選手は空振り三振に倒れました。5月に入っての谷選手の打率は2割8分6厘。3割にこそ到達していませんが、今シーズン、スタメンでの出場機会が増えていることは、状態のいい証なのではないでしょうか。彼がスタメン出場するようになってからチームの調子も上向いてきたと言われています。
 さすが2000本安打超えの大島氏。打球の音や勢いや方向だけでなく、バットの飛び方からバッターの好不調を語ることができるなんて。打率やヒットの数というデータの結果や傾向、バットの構え、バットのスイングなどとは違い、バットの飛び方というものは、一見バッティングには関係なさそうです。けれども、バットの飛び方というものは無意味でない。やはり何かを語っているのです。
 惜しむらくは、「いろんなバットの飛び方ってある」という大島発言の続きが語られなかったこと。伺ってみたいものです。バットの飛び方バリエーションのうんちくを知ると、観戦ポイントがまたひとつ増えそうではありませんか。

 この日、所沢市はゲーム前の気温が13度しかなかったとのこと。マウンド上でホールトン投手が吐く息の、白いモヤモヤがはっきりとテレビ画面に映っていました。実況アナウンサーと大島氏も、スーツジャケットの上にコートを羽織り実況席に座っていたほど。バットが飛んだ理由として、寒さによる手のかじかみも、ほんのわずか、少しぐらいはあったのではないでしょうか。
 
G×L @西武ドーム
5/22 NHKBS 冨坂アナ、解説:大島康徳
5/23 BS朝日 清水アナ、解説:大塚光二