テレビで楽しむプロ野球 -14ページ目

テレビで楽しむプロ野球

テレビで野球観戦し続けることウン10年のプロ野球ファン。CS放送以外のジャイアンツ戦は全て録画してでも観戦しています。日々の観戦ノートを元に、1カードにつき1記事ぐらい、書いています。

 今季ジャイアンツに入団したボウカー選手の前評判は上々でした。ほとんどの解説者たちが太鼓判を押していたほど。野村氏もその1人です。ところがシーズンが始まると、ボウカー選手の打率と打順は下がっていったのでした。外国人選手は開幕してみないと分からないけれども、ボウカー選手の活躍はカタい。そう思っていたのに、という話の流れで、野村氏は語り始めます。
「最近、僕は野球が分かんなくてですね。自信喪失症なんですよ。野球を分からないというよりは、選手を見る目というかね。
 たとえば、ここ(=ホークス)に森福っていますね。社会人野球の監督やってた時に、彼いたんですよ。彼はプロでは無理だと思っていたんです。それが堂々と通用してるでしょ。逆に、ジャイアンツに野間口っていうのが。当時、シダックスっていう社会人野球のエースだったんです。彼はそこそこやるだろうと思ったら、全然でしょ。そして、武田勝って、日本ハムの。これも、まあ、スピードもないしね、無理じゃないかなあと思ってたわけですよ。それが、堂々と今やエースですからね」

 大魔神・佐々木投手に並ぶ、24イニング無失点記録を継続中の山口投手が、9回にマウンドに登りました。代打・松中選手は三振。次に打席に入ったのは左打者の明石選手。山口投手の被打率は右打者1.32、左打者は0.94。そんな、ジャイアンツファンを安心させる数字をアナウンサーが紹介した直後、明石選手は、広い福岡ドームのライトスタンドへと今季1号ホームランを放ったのでした。今季1号というだけでなく、プロ入り通算2号目とのこと。先月通算350本目のホームランを打っている松中選手のバットは空を切らせたというのに。ID野球を提唱してきた野村氏は、うなるように口を開きます。
「いちばん確率が低い結果が出ましたねぇ。ホームランバッターではない人にホームランを打たれて、それで記録が途絶えたという。皮肉なもんですよ。左対左ということで、ちょっと気が抜けてましたかねえ。簡単に投げちゃったというか。ワンナッシング(=ノーボール、ワンストライク)でしょ、しかも」

 著書だったか、インタビューだったか、どこかでも野村氏は語っていました。野球を知れば知るほど野球が分からなくなる、と。ただ、もちろん、「分からなくなる」という自分の状況に、野村氏は困惑したり悲観したり途方に暮れたりしているわけでは、全くありません。みじんもありません。それは、この中継の中で、教え子たちの予想外の状況に触れた時や、確率からは考えがたい結果が出た時の口調からも伝わってきます。野村氏は、「分からなくなる」ことを、面白がり、楽しみ、ワクワクしているご様子。それがいちばんよく、端的に表現されていた言葉があります。
 山口投手が明石選手にまさかのホームランを打たれてしまった直後のこと。野村氏はうれしそうに叫ぶように、こう言ったのです。
「これが野球だっ、ははははは」
 けだし名言。

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G×H @福岡ドーム
6/5 BSJAPAN 植草アナ、解説:野村克也、柴原洋
6/6 BS朝日 清水アナ、解説:工藤公康

 前回の登板でノーヒットノーランを達成した杉内投手が、1戦目に先発しました。解説席に座る野村氏に、アナウンサーがこの話題を持ちかけないわけにはいきません。
 まず、杉内投手のよさについて。野村氏はこう語りました。
「昨年までいた和田投手に若干似てるんですが、シロウトの方にも分かりやすく言えばね、『いないいないいないばっ』なんですよ。なかなかバッターのほうにボールを見せてくれない。で、持ってる時間が長いでしょ。で、身体に隠れてボールが見えない。『いないいないいない、パッ」とくるっていうね。だから、タイミングが取りにくいんですよ。見てる側にはね、なんで打てないんだっていうふうな印象与えるんですが、タイミングっていうのは、ちょっとズレたら打ち損じますからね。完璧に合わないと、うまく打球っていうのは飛んでいかないんでね。
 バッティングでいちばん大事なのはタイミングですから。ですからみんな狙い球を決めるとか、コースを決め打ちするとか、それは何のためにやるかっていうことです。スイング、タイミングよくスイングするために、コースを絞る、狙い球を決めるということです」

 野村氏自身がキャッチャーとして達成したノーヒットノーランについて。
「3017試合もやっててね、1回もないです、はい。あと1人まではいきましたけどね。9回の裏、あと1人というところでポーンとツーベース打たれちゃった。それは1回だけありましたけどね。
 南海はピッチャーはよくないですよ。だから、僕はキャッチャーとして勉強し、上達したと思うんですよ。いいピッチャーばっかり受けとったら、キャッチャーの存在はいらないですから。まあ、20何年やりましたけども、本当にラクなピッチャーというのは杉浦っていうピッチャー、ただ1人でしたね。あとはもう技巧派でね」
 次に、ノーヒットノーランを相手にやられた経験について。
「完全試合、2回あります、はははははは」

「いないいないばあ」は、児童文学作家・松谷みよこさんの作品。1967年に発売されて以来45年、450万部をこえ、日本で一番売れている絵本なのだそうです。シロウトにも分かりやすく伝えるため、これほどのロングセラーを用いて杉内投手のピッチングを語るなんて。推理小説でもなく純文学でもなく最近のベストセラーでもなく、誰もが知っている絵本を選ぶところが、さすがです。これなら老若男女どのシロウトにもピンときますから。この絵本のように、「いないいない」のページ、「ばあ」のページに分けて、杉内投手や和田投手のピッチングフォームを絵にした野球ファン向け本があるといいな。

 ところで、野村氏の回顧した、あと1人というところでノーヒットノーラン未遂に終わったピッチャーは誰だったのでしょう。

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G×H @福岡ドーム
6/5 BSJAPAN 植草アナ、解説:野村克也、柴原洋
6/6 BS朝日 清水アナ、解説:工藤公康

 この2連戦は「LEGEND OF Bs 2012~劇的、激動の80’S」という企画のもと、84~88年の阪急ブレーブスのユニフォームを着用しての試合でした。球団名が変わる前のブレーブスとして最後のユニフォームでもあるそうです。上田監督のもと山田久志、福本豊、石嶺和彦、箕田浩二、などが活躍していた時代。ファイターズ、イーグルスでそれぞれコーチを務めている福良氏、佐藤義則氏もそうです。パリーグ制覇を果たしたユニフォームに袖を通した選手たちの、いつも以上の活躍に期待が膨らみます。
 選手が打席に入る時に流れされる音楽も、この日はオルガン演奏でした。響きにやわらかさと温かみがあって、なんとも味わい深い音。そして、マスコットも当時の「ブレービー」が姿を現しました。ちゃんと保管してあったのですね、ブレイビーの着ぐるみ。長く突き出た羽とボテッとしたお尻、そしてぱっちりした目に長いまつげがかわいらしい。梨田さんが、言いました。
「あの中に入ってる島野さん、亡くなりましたけど、ホントにブレービーって、なかなか、そういうマスコット人形って、まだね、パリーグにいなかった時代でしたからね」
 今でこそ、ドアラやトラッキーやツバ九郎に代表されるように、球団マスコットは球場に欠かせない人気者です。ところが、当時はまだマスコットの存在は日本では希有。島野さんが息を吹き込んだブレービーが、球団マスコットの注目や人気を高めるきっかけとなったといえます。
 島野さんは、もとはジャイアンツにドラフト一位で入団した選手。その後ブレーブスに移籍したものの、選手としてはほとんど成績を残せずに引退しました。球界から一時離れていましたが、2000本安打の加藤英司・選手会長がマスコットにならないかと声をかけます。ご本人は申し出を断るつもりだったそうですが、大リーグのマスコットがスタジアムを盛り上げファンに愛されている映像を目にして、マスコットとしてブレーブスの一員になることを決意。その後、週刊誌等でドラフト1位選手がマスコットになっていることを蔑むような記事が書かれて辛い時期があったそうです。が、ふと耳にしたファンの声に思いを新たにしたとのこと。今日はブレービーがよかったね、と子どもが親に話す言葉。
 そうして続けたマスコットとしての現役生活はじつに18年間。しかもこの間の欠場はゼロ。鉄人・衣笠さんの連続試合出場は足掛け18年での記録ですから(金本選手は12年)、島野さんも鉄人と言ってよいのではないでしょうか。骨折してもブレービーを演じ続けたという逸話もありますし。この鉄人は2年前に他界されました。

 復刻ユニフォームをまとっての2連戦は1勝1敗。寺原投手や李大浩選手、日高選手などの活躍が見られましたが、荒々しさと猛々しさと野性味の感じられる、これぞパ顔という選手を2人発見できたのも大きな収穫でした。もともとバファローズは、パリーグ顔をしている選手が多いチームだと思っています(以前の記事にも記載あり)。残念ながら、今回はパ顔の近藤投手や坂口選手の姿が見られませんでしたし、加藤大輔投手はイーグルスへと移籍したため、物足りなさを感じていたところでの嬉しい発見。一人は岸田投手。以前から気になっていたのですが、鋭い目つきと負けん気の強さありありの口元はパ顔として逸品だと思うのです。もう一人は新人の海田投手。彼のぐいと湾曲した口元に鼻息の荒さ。なんと強烈な印象を与えてくれるパ顔なのでしょう。たった一人に投げただけで交代なんてもったいない。せっかく一流レストランに来たのに、前菜途中で急用ができて中座せざるを得ない心境といいますか。
 そんなパ顔とは対照的な顔つきを持っているブレービー。復刻ユニフォームの片方の袖には現在のスポンサーロゴが貼り付けられていましたが、もう一方の袖にはちゃあんとブレービーが微笑む三角ワッペンが縫い付けられてありました。島野さんが選手達の活躍を見守ってくれているよう。
 梨田氏の一言は、ユニフォームのワッペンにも感じるものを与えてくれました。

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G×Bu @京セラドーム
6/2 BS朝日 枝松アナ、解説:福本豊
6/3 NHKBS 田中アナ、解説:梨田昌孝