つよぽんの「シラの恋文」は1時間40分

慎吾君は 2時間40分

稽古嫌いだった慎吾君が一か月で仕上げるのは

凄い才能だなと改めて感じています。

寺山修司さん・・・私の青春時代に夢をくれた人です。

 

 

 

@shoko56  しょこちん💚🍫@shoko56

 

香取慎吾ののびやかな歌声と多種多様な人間たちで彩られた

「新しい詩/クソ野郎と美しき世界」は、

寺山修司の世界観に近いと観た時に感じたけれど、

テラヤマキャバレーに繋がった。

 https://pic.twitter.com/CopxyQTHN8

 

 

 

 

 

 

 

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香取慎吾と寺山修司、“表現者としての宿命”への共鳴 自分と他者と世界へ問いかけ続ける姿の重なり - Real Sound|リアルサウンド

 

 

 香取慎吾主演の舞台『テラヤマキャバレー』が2月9日より東京・日生劇場にて開幕した。本作は、鬼才・寺山修司の生涯と残された数々の名言を題材に、彼の脳内にあるキャバレーを舞台に虚と実、過去と未来、生と死が交錯する意欲作だ。

 

 開幕前日の2月8日に行われた舞台挨拶&公開ゲネプロで、香取は開口一番「みなさんこんにちは、香取慎吾です」と聞き慣れた挨拶をして取材陣の笑いを誘った。だが、その表情はいつになく少々険しい。そして「いつもの“慎吾ちゃん”とはちょっと違う様子で、この日生劇場の舞台に立っています」と続けた。それが俳優としての初日を迎える直前の“必死な”表情なのか、それとも寺山修司という役を通じて引き出された新たな顔なのか、さっそく想像力を掻き立てられるようだった。

 

 上演時間は約2時間40分。香取が演じる寺山は矢継ぎ早に言葉を発し、感情を爆発させながら、命が燃え尽きる直前の数時間を駆け抜ける。死をも感動させる作品を生み出そうと、自らの人生を振り返り、日本の芸能を遡り、そして現代の日本を憂うのだ。まさに死を目前にした人間の悪夢を共に彷徨うような混沌とした時間。そして、人間の生命が持つ底知れぬエネルギーに触れる体験ができた舞台に、香取が険しい顔をしていた理由が少しわかったような気もした。

 

 2023年に没後40周年を迎えながらも、いまだに多くの人の心に響き続けている寺山の言葉たち。もし寺山が今生きていたら、何を思い、そして何を表現しようとしたのか……。そんな問いに思いを巡らせる形で紡ぎ出された本作を観ているうちに、ふいに香取と寺山が共鳴する瞬間を目の当たりにすることができた。

 

 型破りでスキャンダルには事欠かなかったという寺山修司と、“パーフェクトビジネスアイドル”を貫く香取慎吾。一見すると、相反するかのように思えるふたりだが、その生き様を振り返れば、いろいろな手法で膨大な数の作品を生み出したマルチクリエイターという共通点が浮かび上がる。

 

 詩を詠み、劇を作り、歌に言葉をのせる。紙面、テレビ、ラジオ、舞台、映画……と、その活躍の場も実に様々だった寺山。対する香取も、アイドル、タレント、俳優、舞台演出家、画家など、多くの顔を使い分けてきた。自ら「WHO AM I ?」と問いかけたくなるほどに。

 

 そんな香取が、劇中で「職業は寺山修司」と叫ぶ印象的な台詞がある。これは、寺山の名言として語り継がれている言葉のひとつだが、彼が生涯自らに問い続けてきた「私とは誰か?」に対する答えのひとつだったとも言われているから感慨深い。そっくりそのまま「職業は香取慎吾」と入れ替えても納得してしまいそうなものだと思った。

 

多くの人から注目を集める存在でありながら、圧倒的に“個”を見つめ続けてきたことでも似ているふたり。物語では、様々なものが混ざり合う象徴として“蚊”がキーキャラクターとして登場するが、まさに彼らはそれぞれが生きた時代の渦と、個が混ざり合うことで育まれた唯一無二の存在だ。

 

 だが、シンバルが音を鳴らした直後には静寂が待っているように、生み出せば生み出すほど、人は孤独と直面するものだ。創り出されたものは、どうやったって自分自身のなかから生まれたものでしかなく、その絶対的な現実と向き合っているようで、どこか虚構を創り出しているのではないかというジレンマもつきまとう。

 

 言葉にした時点で、自分のフィルターを通したという想像や理想が含まれたフィクションになってしまう。そこに含まれた嘘こそが真実だというアイロニー。劇中では、心の奥底から母の愛を求め、その母の像に涙を流しながらも「台本通り」なんて言い放つシーンがあったが、その姿はプライベートをあまり表に見せない香取が“くろうさぎ”という心の闇の象徴をアート作品として描き続けていくさまとも重なるように思えた。

 

 だからだろうか、舞台挨拶では香取の口から「寺山修司じゃなくなる時もあったり、時には香取慎吾だったりするような気もします」との発言も飛び出した。もちろん、そこには脚本を務めた池田亮による“当て書き”もあったというが、それ以上に「僕から慎吾さんにこれをやってもらえますか、という“質問”に台本がなっているような気がします」という話も。

 

 自分に、他者に、世界に、問いかけ続けるということ。そして、想像力をふくらませること。それこそが生きている者にしかできない創作であり、夢とも言える。もし香取と寺山が同じ時代を生きていたとしたら、もし彼らが顔を合わせることができたとしたら、どんな言葉が交わされ、どんな作品が生まれただろうか。この舞台もまた私たちに問いかける。

 

 そして、寺山の死を描いたこの舞台の稽古中に、奇しくも寺山がこの世を去った年齢になった香取。寺山が作詞を手掛けた劇中歌「質問」も、実は3年ほど前から音楽プロデューサーの朝妻一郎、テレビプロデューサーの黒木彰一を通じて「いつか歌えたら」と温められていたものだという。こうした偶然を引き寄せてしまうのも、表現者としての宿命だろうか。

 

 舞台に足を運ぶことが叶わなくとも、2月16日より配信されるこの歌を聴くだけで「いつもとはちょっと違う慎吾ちゃん」に触れることができるだろう。そして、香取の力強い歌声で問う〈あなたは幸せですか〉〈あなたの平和は本物ですか〉という言葉が、ずしりと重く響くはずだ。同時に今、香取が寺山修司を演じ、この「質問」を歌うことになった縁について、改めて意味を見出したくなる。

 

佐藤結衣