「シラの恋文」
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現場に入る時の草彅剛は「とにかく元気な少年のよう」俳優・大原櫻子が声を弾ませながら語った、稽古場の雰囲気 (msn.com)
ある晴れた日、坂道を上って来る男・鐘谷志羅(かなたにしら)。ここはサナトリウム、結核療養施設だ。この時代、毒性の強い結核が流行している。ある医師は言う、きみがいま登ってきた坂道を生きて戻っていったものはまだいない、と。
様々な事情を抱えていそうな利用者と職員に出迎えられるなかで、志羅はある女性と目が合う。幾星霜を経て再会した恋人同士のように見つめ合う2人。その女性、小夜は、志羅が子どもの頃に夢中で見ていたテレビドラマの少女剣士と瓜2つで……。
草彅剛さんが主演を務める舞台『シラの恋文』で、大原櫻子さんは、志羅と出会う運命の女性・小夜を演じる。
「小夜という名前から、最初は可憐でおしとやかな女性と思い込んでいたのですが、“あの子の瞳は少年のような魅力がある”“一昔前の女優さんのようだ”と周囲に言われる姿に、凜とした女性を想像するようになって。少女剣士を役作りの軸に据えています。
小さい頃に好きだったアニメ『セーラームーン』のヒロインをヒントにして(笑)。それと“母性”。再び戻ることの叶わないサナトリウムの人たちを包み込むような女性であることを大事にしています」
演出を務める寺十吾(じつなしさとる)さんには、「陰に入らないで」とアドバイスされたという。
「『よく泣きの芝居に入るから、そっちに行かないでくれ』と。ちょっとヒロインチックになりがちなんですね。そうじゃなくて、もっと自分の感情を相手にぶつけて、自分の意思は正しいんだっていう感じで立ってくださいと」
稽古場の雰囲気は「めちゃくちゃ、楽しいです!」と声を弾ませる。
「草彅さんは現場に入る時に、『おはようございますっ!!』ととにかく元気な少年のよう。
年齢の垣根を気にしない、楽しいことが好きな人たちが集まっている感じです。それは劇中でも同じで、収穫祭の場面は、みんな生き生き楽しそうで。死と闘っている人の勁(つよ)さを意識してますね」
本作は、劇作家北村想さんによるオリジナル作品。
ユーモアに満ちた台詞術と、独創的で叙情性豊かな世界観が高く評価される北村さんだけに、志羅と小夜の物語も一筋縄ではいかない。
「ずっと離れているふたりを繋ぐのは、言葉。言葉によって互いの感情が見えてくる。北村想さんの、宝石のように美しい言葉をキャッチしていただけたら嬉しいです」
やがてシラは恋文を認(したた)める。「輪廻の恋」の行方は――。
映画のヒロインとしてデビューしてから10年。俳優としてだけでなく、歌手としても活動の場を広げている。
「良い作品、役者さん、スタッフさんと、年々仕事が楽しくなった10年でした。デビューの頃だったら、この『シラの恋文』は正直難しくてできなかった。その時々の自分にあった作品に出会えていることは嬉しいなと思います。ずっと回りながら成長している感覚。輪廻のような巡り合わせかもしれません」
おおはらさくらこ/1996年、東京都生まれ。日本大学藝術学部映画学科卒業。2013年、映画『カノジョは嘘を愛しすぎてる』でスクリーンデビュー。14年、シングル「サンキュー。」で歌手としてソロデビューし、15年、NHK紅白歌合戦に初出場。23年、読売演劇大賞杉村春子賞を受賞。歌手活動と並行して、数々のTVドラマや映画へ出演。
INFORMATION
舞台『シラの恋文』
12月9日~17日、京都・京都劇場にて。その後、福岡、東京で上演予定
https://www.siscompany.com/produce/lineup/shira/
(「週刊文春」編集部/週刊文春 2023年12月14日号)
