動乱の時代 ―78(終)― 「危機的状況にある世界経済とコロナ後の展望」   | 激動に時代をどう生きたら良いかを考える。

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今は激動に時代です。この激動の時代はどうゆう時代であり、これからどうなっていくか?
そしてこの激動に時代をどのように活きるべきか?

  動乱の時代 ―78(終)― 「危機的状況にある世界経済とコロナ後の展望」

 

中国武漢市で始まったコロナパンデミックは、あっという間に世界に伝搬し、多数の感染者と死者数を出してしまいました。 ようやくパンデミックの出口が見えてきましたが、コロナウィルスが世界に与えた影響は実に大きく、特に経済は90年ぶり世界大恐慌になっていく確率が高くなってきました。

 

更にコロナは私たち国際関係や人間の生活様式や文化までも変えてしまいました。

前回の投稿(5/8)でもお話ししましたが、コロナが近々収束したとしても、コロナショック前の状態には戻ることはないと思われます。

つまりコロナショックが世界の政治経済の秩序を変えしまい、保護主義が強化され、今までの国際社会は完全に分断されてしまいました。

 

動乱の時代が、将来どこまで激化し、どうなっていくのかについては短期的(1~10年)の視点と中長的(10~30年)な視点とが必要です。

先ず短期的視点としては、たとえコロナが収束しても経済が回復不可能なところまで急降下してコロナ以前の経済の回復まで大変な時間が必要だということです。

今年コロナが発生する以前から言われてきましたが、世界経済は実体経済の4倍まで膨れ上がった金融バブルがいつはじけるかという問題が多くの経済専門家によって指摘されていました。

12年前のサブプライムローンの破綻によって生じたリーマンショック時の3倍とも5倍ともいわれる巨大なバブルが成長していました。

これがコロナショックを機に弾けて巨大金融バブル崩壊につながることは確実な情勢なのです。政府やマスコミや巷ではコロナショックによる直接の被害のことだけを大騒ぎをしていますが、近未来にほぼ確実にやってくる経済恐慌についてはあまり話題になっていません。

 

リーマンショック時は、金融恐慌、産業恐慌、生活恐慌の順番にやってきましたが、今回のコロナショック時は生活恐慌、産業恐慌、金融恐慌の順番にやってくるのではないかと考えられます。あるいは産業恐慌と金融恐慌が同時に起き巨大な波として襲い掛かってくることも懸念されます。

国際通貨基金(IMF)の専務理事は、この4月に今年の経済見通しの中で、【大封鎖】という言葉を使って、コロナショックによる世界各国の交流の断絶が発展の基礎にあった市場メカニズムを破壊してしまい、2008年のリーマンショックをはるかに超える大恐慌に陥る可能性が高いと警告しています。

つまり第2次大戦後、山あり谷あり多少の変動があったとしても、比較的堅調に拡大発展してきた今までの金融資本主義経済が、ここで劇的に終わってしまうことを意味しているのです。

それは未曽有の混乱で、銀行の取り付け騒ぎや食糧危機そして暴動や戦争勃発存の危機も生じることも十分に考えられます。

 

1929年ニューヨークのウオール街の株の大暴落で始まったとされる世界大恐慌は、完全に収束するのは1943年だったといわれ、実に14年近くかかったとされています。

その間に第2次世界大戦(1939年~1945年)が発生し、民間人も含めて8500万人ともいわれる死者数を出してしまいました。

90年前の世界大恐慌を知っている人は、今ほとんどいませんが、当時もっとも豊かな国と言われたアメリカでも、ある時期、ほとんどの銀行が破綻し、全米の4分の1の人々が失業者になっていたとされています。

このような過酷な状況の中で、ドイツ、イタリア、日本、ソ連では、独裁者や軍部が台頭し強権的なリーダーシップで大恐慌を克服していこうとし、戦争へ英米仏との軋轢が深まり、第2次世界大戦への道を突き進んでいったことは周知の事実であります。

今回のコロナショックでも経済恐慌を立て直しに必要とされるのは、強いリーダーシップを持つ国際機関と崇高な理念を持ち、多くの国を一つの方向へまとめ上げていくリーダー国やリーダーの存在です。

 

しかし米中が対立し、英国の離脱によりEUが崩壊寸前に追い込まれたヨーロッパにはそんな力もありません。残念ながら明るい見通しが立たない状況です。アメリカのトランプ氏のアメリカファースト路線では他国の信頼が得られません。

同時にアメリカもヨーロッパ諸国もロシアもコロナショックで疲弊していてそんな余裕もありません。

それでは中国がというと今回のコロナ騒動で世界の先進諸国からの信頼を完全に失ってしまっています。 特に米中の対立はコロナ以降、益々先鋭化してきました。90年前の世界大恐慌時の地政学的な危機はヨーロッパでしたが、これからの地政学上の危機はどうも中国と日本を含む東アジアになりそうです。

 

中長期的(10~20年)な視点としては、これからの社会経済的ビジョンとしてESG(環境、社会、良好な企業統治)への投資が益々注目されてくるのではないかと考えています。

ESG投資とは、環境や社会や企業統治といった売り上げや利益といった財務的な数字に反映されない企業の先進的取り組みに注目して投資先を選ぶことあり、今や世界の潮流になっています。

ESG投資の拡大に伴い、企業が環境問題や従業員の教育、女性の活躍といった先進的なことに取り組みが進めば、企業のイメージアップにつながり、企業価値が向上して好循環が期待できることになります。 最近の研究では経済危機のような企業の信頼が問われる状況においても企業のESG評価と株価の間には強い相関関係がみられることが分かってきています。

コロナショックによって、テレワークの普及が画期的に進みましたが、テレワークは場所や時間にこだわらない柔軟な働き方を可能にし、女性や障碍者、遠隔地の人など多種多様な人材を生かすツールとなりうることが明白となり、この傾向はコロナ収束以後もより発展していくと考えられます。

 

昨年、若者の間で熱狂的な注目を集めたグレタ・トゥーベリさんの登場は、今後、ますますESG投資を後押ししていくと予想しています。

また21世紀に入り、物質的豊かさと便利さを追求してきた20世紀型の価値観が反省され、より精神的な豊かさの追求への傾斜が見られましたが、コロナショックにより、その方向性が一段と加速してくると予測されます。

 

以上コロナショック後の世界について、短期的な視点と長期的視点で予想してきました。短期的には大変な政治経済的な混乱混迷が予想されますが,長中期的には人類はコロナに打ち勝ち、余曲折の末、コロナ以前の価値観からようやく脱却し、新しい価値観のもとに世界の建設に進んでいるのではないかと楽観的に考えています。

ただ一つだけ当たり前のことを、お話して置きますが、未来のことに関して、私たち人間は誰も予想することはできても、知ることができません。 したがって当たるも八景、当たらぬも八景です。 最近の例を揚げれば今年世界を震撼させたコロナショックを昨年誰が予想し、だれが知っていたでしょうか?

 

*動乱の時代は、ここで一旦終わりにさせていただき、これに替わる新たなシリーズでまた随時投稿していくつもりです。約4年間の長きに渡り、お読みいただきありがとうございました。

 

野崎左武英拝