●動乱の時代―7―【消滅する旧世界と新秩序への胎動】●
-14- 逆行する人類社会と大戦争勃発への懸念、
最近、私が特に感じることは、【いま私達の人類社会の未来が、平和、友愛、進歩、発展、健康といった明るい方向性に対して、逆行して動いているのではないか?】という懸念です。
今日は、まず私が戦争直後の混乱期の微かに残る思い出について、少しお話しさせていただきます。
私が生まれた1946年という年は、ちょうど戦争終結から半年しか経っていない日本中が大変混乱し疲弊していた時です。
特に東京、大阪、名古屋といった大都市では大半が空襲で焼け野原になりました。
いまは亡き母からよく聞かされた話ですが、終戦直後の東京では食糧事情も大変悪く、人々は道端で野菜やイモを作り、一時期は着物や宝石を売って、その日の食料を買って食いつないでいたと聞いています。
我が母も例外でなく自分の着物を売って日々の食料に変えて私達兄弟を育てていました。
駅前の街角には浮浪者や物乞いをする人がたくさんいました。
東京の中野で育った幼い私の目に残った光景は(今でもその光景が浮かぶ時がありますが)。
それは中野駅前の路上で、戦争で手や足を切断され、白い服を着て物乞いをする傷痍軍人の方の実に哀れな姿でした。
時々道行く人が、うずくまって、うなだれている傷痍軍人たちの前に置いてあるカンの中に小銭を投げていました。 この光景は今でも私の脳裏に焼き付いています。
そうした傷痍軍人の方の前を通るたびに、「自分で好んで戦争に行ったわけでもないのに、どうしてこうなったのか?」・・・・・・私は子供ながらに、社会の不条理を思い、とても悲しい気持ちになりました。 今日では傷痍軍人という言葉自体が死語となってしまっていますが。
私が、小学校に上がるころには、そうした混乱は落ち着きをみせ、昭和30年代から日本は経済的に物凄い発展を遂げていきました。
そして1964年の前回の東京オリンピックが開催されたころには、日本はもはや戦後ではないと高らかに宣言されました。
それから間もなく日本は高度経済成長期に入り、目覚ましい発展と成長を遂げていきました。
さて、この「動乱の時代シリーズ」で再三、お話してきましたが、1989年のベルリンの壁崩壊後、「グローバリズム」と「新自由主義」という主義主張が、世界中に台頭してきました。
それは市場への国家の介入を最小限にするべきとする考え方、小さな政府、民営化、規制緩和といった政治経済政策のことです。
その政策はソ連邦亡き後、唯一の超大国となったアメリカによって全世界的に強力に推し進められていきました。
しかしベルリンの壁崩壊から30年過ぎ、中国の台頭とあいまって、グローバリズムと新自由主義政策の進展は、大きな問題を世界全世界に生じさせました。
それは少数の金持ちと大多数の分かれていく、いわゆる格差社会の進展と中産労働者階級の没落といった問題です。
4年前にトランプ氏は、反グローバリズムとアメリカファーストを掲げて、アメリカ大統領に当選し、選挙運動中から唱えてきた政策を、現在も忠実に推し進めています。
アメリカの野党である民主党や言論界の反対があるものの2020年の大統領選挙にも立候補し再選される見込みです。
トランプ氏の掲げるアメリカファーストつまり自国中心主義は、冷静に考えてみると「自分さえよければ良い」という“我がまま” かつ“未熟で子供ぽい”考え方だと言わざるを得ません
しかしトランプ政権誕生以降、この子供っぽい自国中心主義が今や世界中に蔓延していきました。
特に、イギリス、フランス、ドイツ、イタリア、スペインなどのヨーロッパ諸国では、自国ファーストを掲げたポピュリズム極右政党が軒並み躍進し、時代の大きな流れとなっています。
ふと気が付くと、世界的に社会の分断が進み、移民排斥や米中貿易戦争そして独裁軍事国家である中露の台頭と相まって、大戦争勃発の危険が、とみに増大してきていると考えざるを得ません。
特につい最近、米軍によるイラン革命防衛隊精鋭部隊の司令官殺害で、中東での米イランの緊張が高まっていることを受け、国連の事務総長は、戦争への危機について「世界は、新たな湾岸戦争に対応する余裕はない」と声明を出しました。中東情勢から目が離せない状況です。
日曜日の朝のTBSのニュース番組で「幸せになれない時代-分断と格差が深まる世界」というタイトルで今の時代の特集をしていました。
その中で、ある社会心理学者の方が現代の世界情勢を評して「歴史が逆行し社会全体が幼児化してきている」と言っていました。
私は、ますます多様化してくる近未来社会について、大きな視野とリーダーシップを持った世界的な指導者がいなくなってしまったばかりか、私達一人一人が理想を見失って、大人らしい判断力が低下してきているのではないか感じております。
いま世界は、化学肥料や薬品使用による奇形児の多発や絶滅危惧種の増加、地球温暖化による気候変動、砂漠化、食糧危機、災害の多発、軍拡競争による世界大戦勃発の危険等々、自国だけでは解決できない様々な重大かつ深刻な問題を抱えています。
同時に、世界は前例のない未知の領域に突入しており、人類一人一人の英知と行動力が真に試されているのではないかと考えております。
前述した私が幼少期に見た戦争へ行って負傷した傷痍軍人が路上で、うなだれて物乞いをする悲しい姿を、子供や孫の世代には絶対に見させて行けないと思っています。
*動乱の時代シリーズは、また随時投稿していきます。