●動乱の時代 ―その55- 「第3次世界大戦への足音」●
危険な世界情勢とトランプリスク
歴史的な米朝会談が6月12日にシンガポールで行われることが正式に決まりました。
北朝鮮は最近目まぐるしく外交攻勢を展開させています。
中国の習近平主席と大連で2回目の首脳会談をしたり、ポンペイオ米国務長官と平壌に招き、言わば人質として拘束されていたアメリカ国民を開放したりしています。
トランプ大統領はこの人質解放のニュースを自分の手柄として最大限にアピールしています。
『オバマができなかったことを俺がやってのけた』・・と。
そして「北の金正恩委員長との会談はきっとうまくいくだろう」と極めて楽観的な見方をしています。
またこの会談を成功させれば【ノーベル平和賞】ものだと、いま有頂天なっている感じがしています。
アメリカと日本は北の核とミサイルの完全放棄までは、経済制裁などの圧力を緩めないとする立場とっています。
すなわち『完全、検証可能、不可逆的』な核とミサイルの廃棄を2020年までに完全に履行させ、それが確認されるまでは経済制裁などの圧力を一切緩めないという方針です。
一方北は中国の後押しを得て、交渉では将来いずれ核ミサイルは廃棄や放棄しても良いが段階的にしてほしいと要求しています。
加えて、北はそれに伴う見返りも要求している感があります。見返りとは制裁解除のみならず経済援助も含むとみられます。
アメリカや日本の識者は、核とミサイルの廃棄の検証には大変な作業と時間を要し非常に難しい問題だと考えています。今まで北との核廃棄の約束事は過去何回となく反故にされてきただけに、完全の検証ができるのかと疑問視する声が多くあります。
日本の拉致問題は、「すでに解決済み」と北は発表し、“悲しいかな”日本は完全に蚊帳の外に置かれています。そして国際政治における日本の存在感は益々低下していると多くの人が感じ始めています。
当面、北朝鮮をめぐる極東情勢はよっぽどのことが起こらない限り、戦争勃発の危険は薄くなってきているとみられます。これは世界や我が国にとってありがたいことですが。
しかし最近、シリア、イスラエル、イラン、サウジアラビアをめぐる中東情勢が緊迫の度を一層深めています。
最近トランプ大統領は、イギリス、フランスなどの同盟国や一部の側近の反対も押し切ってオバマ前政権が2015年に結んだ核合意からの離脱を宣言しました。
もちろんイランはこの決定に「アメリカは約束を守らない国だ」と国を挙げて猛反発しています。
TPPからの離脱、鉄鋼アルミニウムに25%の関税問題等、国際協調路線を無視したアメリカの一方的な自国中心主義が世界的に大きな波紋を広げています。
いまアメリカのみならず世界中で 『トランプリスク』 という言葉がささやかれています。
大統領就任から1年半が経ち,今秋に迫った米中間選挙をにらんで得点を稼ぎたいトランプ氏は周りの国々のことや国際協調等を気にもしないで遮二無二、アメリカファーストと自分のことだけ考えて行動しています。
その行動は時には短期的に今の北朝鮮情勢のようにうまくいくこともあるかもしれませんが、きっと後々に大きなつけが回ってくることを大変危惧しています。
世界の火薬庫といわれているほど緊張している中東情勢に火に油を注ぐといわれる「トランプ氏のイランとの核合意からの離脱問題」は、今後の中東情勢に大きなインパクトを与えていくことは間違いないと思います。
私はこれが世界大戦に発展する大きなリスクにならないことを心から祈っています。
*この動乱の時代のシリーズは、また随時投稿していきます。