前回の続き~★
最終回です(^^)
初めての方は、
これまでのお話しをご覧くださいね
①から③まで見れます!
タクシーの中に置き忘れたバッグを
持っているという人からホテルに連絡があり、
持ってきてくれることになりました。
状況が急展開したことで、だんだん
私の気持ちも立ち直っていきました。
しばらくして
ホテルのフロントから連絡がありロビーに
降りていくと、そこにいたのは
高校生くらいの女の子とそのお父さん。
女の子は黙って、黒いビニールに包まれたもの
を私に手渡してくれた。
私はその女の子の姿を見た時から
胸にこみ上げてくるものがあって…
もう感情を抑えきれなくなっていました
私は普段あまり泣かない人です。
だけど、その時は泣くことしかできなかった。
ミイラ博物館前でタクシーを降りて…
バッグを持っていないことに気が付いて、
ウチの人がタクシーを走って追いかけて、
警察に行って、
ガソリンスタンドでタクシーを探して、
FMラジオ局に行って情報を流してもらって、
帰ってきたホテルで明日からの事を考えて…
ほぼ半日、異国で
出てくるかどうかわからない、いや
出てくる可能性はほとんどない置き忘れた
バッグを探すという行動は、
精神的にきつかった…
その間、ずーっと誰も私を責めず、
私自信も自分を責める気力もなかった・・・
事実を受け入れるだけで精一杯の状態でした。
彼女から手渡されたバッグは
私のバッグに間違いなく完全な状態でした。
中身もすべてそのまま。
こんなことが起こるなんて!
つい一時間ほど前に
想像できたでしょうか?
そのロビーでの時間は、私にとって
夢の中いいるような感覚でした。
ホテルのロビーのソファーに腰を下ろし
お父さんは話し始めました。
『高校生の娘は、アルバイトに行くために
タクシーに乗った。
乗ったタクシーの座席に黒いバックがあるのに
気いたとき、前に乗った人が忘れたものだと
思いタクシーの運転手には言わず、そのまま
黙って持って降りた。』
何故、タクシーの運転手に言わなかったのか?
それは過去に、彼女のお母さんがタクシーの
中に財布を置き忘れたことがあり、直ぐに
タクシーに問い合わせたけど無いと言われ
出てこなかったことがあったからだそう。
そんな事があって、
彼女はタクシーの運転手を信用していなかった。
だからバックを渡さなかったらしい。
彼女はアルバイト先のパン屋さんで、
バッグをタクシーの中に置き忘れた日本人の
話しをラジオで聞いて、お父さんに連絡。
アルバイト先の店長に事情を説明して
早退させてもらったそう。
そして、ラジオに流れていた宿泊先のホテルに
電話をしてきてくれたのです。
そうやって、私のバッグは
無事に私の手の中に戻ってきました。
この流れは奇跡としか思えませんでした。
もし、彼女が私たちの後に乗らなかったら...
置き忘れのバッグを見つけたとき、運転手に
渡していたら...
私のバッグは戻ってこなかったかもしれない・・・
彼女のお父さんは続けて話しました。
『自分はグアナファト大学で清掃の仕事をして
いますが、私の家は決して裕福ではありません。
でも私の娘は“Crazón de oro/金の心”を持って
います。
私は彼女の父親であることが誇りです。』 と。
本当に彼女の心、そして自分の娘のことを
そう言うお父さんも素晴らしいと
思い、心に沁みました。
高校生の若い彼女の経験による判断と
彼女がそのタクシーに乗ったという偶然に
心から感謝。。。
また、
タクシーを探すのにガソリンスタンドを
教えてくれた人、
ラジオ局に行ったらいいよ、と言ってくれた
通りかがりの人、
彼女の早退を許可してくれたパン屋の店長、
直ぐにアナウンスしてくれたラジオのDJ、
心配してくれたホテルロビーの人たち、
私のせいでグアナファト観光が台無しになっても
文句も言わず一緒にいてくれた友人、ウチの人、
全ての人たちに感謝でいっぱいだった
治安は決して良いと言えないイメージがある
メキシコですが、
一人一人はこんなにも心のある人!
なので、
メキシコって、○○だから・・・
メキシコ人は、△△だから・・・
など、ネガティブ発言する人に対しては
残念な気持ちになる…
メキシコという国や
メキシコ人の良いところを、今まで
知るチャンスのなかった人なんだなぁ、と。
もちろん、日本人も色々な人がいるのと同じ
ようにメキシコ人も色んな人がいる。
結局、その人の視点の向け方や、
物事の受け取り方によるものでは
ないかな…
お陰様で、私はこれまでその都度
良い人とのご縁に恵まれてきたと
思っていて、本当に感謝しています。
高校生だった彼女に
その時、感極まっていた私は
“Gracias”という言葉しか言えなかった。
お礼らしいお礼も出来なかった。
もう30代半ばになっている彼女、
どんな女性になっているのかなぁ…
いつかもう一度、グアナファトに行って
ちゃんとお礼をしたいと思っています
ほぼバッグ探しで終わったグアナファト観光、
写真も数枚しかありません
映画 『リメンバー・ミー』の舞台となった
街でもあり、街全体が世界遺産と言われる
グアナファト、
また観光もし直したい
宿泊したホテル