本記載は主に本人の備忘のため思いつくままを書いた日記であり、その正確性(十分調査したか否か)や妥当性については保証の限りで無く、何か大きな勘違いもあるかも知れず、自信もありませんので、その旨ご了承ください。
さる9月20日「日本企業の国際競争力アップセミナー~経営に深く関与する、「攻め」と「守り」を実現する法務機能~」と題するセミナーに参加しました。2018年4月に経済産業省から「国際競争力強化に向けた日本企業の法務機能の在り方研究会報告書」が発表され、法務機能強化 実装ワーキンググループが立ちあがったのですが、そこでの議論を紹介して議論してみよう、みたいなセミナーです。
私は前記報告書を読んでいたのですが「ネガティブな意見」の箇所に、まるで企業官僚のような大企業の法務担当者の話が載っていて「これってあるある話だな~」と共感していたので、参加してみたかったのです。
報告書は日本の企業法務はもっと頑張ろう、みたいなニュアンスで受け止めていたのですが、頑張ろうというより、ダメじゃないか、アメリカのIT企業みたいに経営と連動した動きが何で出来ないのか研究を進めよう、みたいなニュアンスでした。
研究会の委員の水野祐弁護士は特に厳しいお話をされていて、ツイッターで「法務でもほかの仕事でもそうだと思うんだけど、その仕事を定義し、範囲を限定したら、新しい可能性なんて見出せない。法律家は定義から入りがちだけど、仕事は定義から入るべきではない。法務を定義するのはやめたほうがよいのでは。」と呟いたところ、企業法務の団体である経営法友会に反論の論文が掲載された、ということでした。
https://twitter.com/tasukumizuno/status/1155871163542724610
そうしたところ、会場にその論文「『機能』か『組織』か――組織論なき機能論を憂う」を書かれた方が来られていて質疑応答で「対決」の機会があったのですが、双方面識があったらしく和やかに終わりました。反論の概要は、法務組織は法務担当者にとっての「ゆりかご」であって、法務担当者が安心して経営層や事業担当者に物を申すことができるために必要だ、ということのようでした。
企業法務って何してるの?要らなくないですか?と言われた経験のある人は私を含め少なくないでしょう。私自身も他社の法務担当者の言動に対して「こんな法務は要らんで」と何回も陰で毒づいた経験があります。
一方、法務担当と銘打ってないと成長できない、経営層や事業担当者からの不当な干渉に抗えないというのも「これってあるある話だな~」と思います。
ワーキンググループの第1回議事録には「アメリカの企業が既に実装していて、他方で日本の企業が実装できていない何かがある。」との発言があり、この発言への回答がこの「論争?」を理解し、進める一助になるかも知れないと思いますので、以下、私の感想を書きます。
日本の企業が実装できていない法務機能の何かは何か?
1.学問の専門知識を企業運営のために実用化しようという視点
法務担当というと専門書読んだり、小難しいセミナーに行ったり、論文書いて発表したり、ということに対して社内の抵抗は比較的少ないし、教育計画や予算も付けやすいですが、人事や総務、会計で同じようにできるか、というと難しいでしょう。勉強して仕入れをしなければ活動も出来ないのに人事や総務がタコつぼ的にルーチンワークに逃げ込み、本来は彼らがやるべき高難度案件を法務に振る、という現象もあります。経営企画とか社長室とか以外でこのようなことができるのは日本の企業では法務、知財ぐらいだと思います。
これに関連しますが、経済産業省の法務機能強化 実装ワーキンググループの資料は非公開資料が多いです。「ビジネスケース」として経営学に役立てようという考えが希薄なのだと思います。不正競争防止法に定義する営業秘密に該当するようなものがあるとは思えないのに何故非公開なのか?と思います。独立行政法人 工業所有権情報・研修館(INPIT)が毎年開いている「グローバル知財戦略セミナー」に登壇した企業が発表した講演資料をテンコ盛りで公開しているのと比べるとその消極性は明らかと思います。アメリカは法務関係のビジネスケースも多いのでは無いでしょうか(知らないですが)。
https://www.inpit.go.jp/katsuyo/gippd/forumkokunai/index.html
2.他の分野の専門知識との統合的運用
知財の分からない法務担当者、サプライチェーンマネジメントやマーケティングの知識の無い法務担当者は非常に多い印象です。法律の専門書を読んで問い合わせに対して該当箇所を答えるだけなら弁護士に聞いた方が良いです。インハウスロイヤーは他の分野の専門知識との統合的運用をしない人が多いので使えない人が多いイメージがあります。最近は減ってきましたが、昔は法律知識だけでビジネスについては四角四面の融通の利かない法務担当者、国語の文法問題みたいなしょうむないことをメッチャ深追いする法務担当者にアホか、と思うことが何度もありました。
3.経営方針に沿ったミッション・目標の設定と達成管理
間接部門にミッション・目標なんてあるのかな~という人は多いです。法務部門の管理職が自社をSWOT分析し、強み・弱み・機会・脅威がそれぞれ何であるか、法務部門は今期どのような形でその4分野について対策や貢献をしたか経営者層は尋ねないといけないし、答えらないなら管理職の資格は無いと思います。
4.自部署が処理する月間、年間の総タスク数、コストの把握
法務を定義するのはやめたほうがよい、法務部門でなくても法務の仕事はできる、トラフィックは分散しましょう、みたいな話は良く出てきます。「総務部総務課山口六平太」というマンガがありますが、大日自動車総務課に持ち込まれる解決困難な高難度案件は月間、年間幾つあり、それを解決するリソースは他部署にはあるのか無いのか、それにはコストが幾らかかるのか、トイレットペーパーの交換や椅子の修理といった低難度のルーチンワークのそれはそれぞれどうなっているか、管理職はすぐに答えることができるようにしておかなければ、経費節減話が出るたびにトイレットペーパーの交換や椅子の修理は各事業部門でやれば良いから総務課は課員を配置転換して無くしても良いよね~というトラフィック分散の話が出ることは避けられないと思います。3と4はアメリカの企業では間接部門でも普通にあるのではないでしょうか。
以上思いつくままに書きなぐりました。