英語コーチ、英日翻訳者の門田直樹です。
現在の中高の英語教育において、スピーキングは多少間違いがあっても良いので、とにかく話すことで英語に慣れましょうという方針ですが、この方針にはメリット、デメリットがあります。
メリットとしては早くから英語を話すことで、スピーキングへの抵抗感が少なくなるということが挙げられます。
デメリットとしては文法がきちんと定着しない内にスピーキングを始めると、間違った英語をなかなか矯正しにくいということが挙げられますね。
最近の中学校の英語の教科書を見ていると、かなり早い段階から様々なテーマについて自分の意見をまとめて発表させるようになっています。
そもそも日本語で自分の意見をまとめるのも難しいのに、それは英語でやるとなると難易度はさらに増します。
英語で自分の意見を言うとなると、多くの中学生にとってはかなり大変ではないでしょうか?
実際に中学生のスピーキングを聞いていると、基本的な文法ミスが非常に多い印象。
例えば現在進行形の文を言う時にbe動詞が抜けているとか・・・
時々抜けるのなら良いのですが、毎回抜けているんですよね・・・![]()
まだ現在進行形の形がきちんと定着していないんだと思います。
私は英語を話す時に間違うことが悪いと言っているのではありません。
私も含めて、多くの日本人がミスなく英語を話すことはほぼ不可能でしょう。
ただきちんと文法を学んで、間違えないように努力した結果間違うのと、最初から文法をきちんと学ばない内に話して間違うのでは、同じ間違うでも意味が違うというのが私の意見です。
間違わないように努力して英語を学ぶ姿勢は重要だと私は考えています。(それでも間違うんですけどね・・・
)
私が尊敬する元同時通訳者の故國弘正雄先生は、英語を話す時は「大胆かつ繊細に」とおっしゃっています。
英語の間違いが気になってなかなか英語が話せない人には大胆さが必要ですし、度胸だけで間違いだらけの英語を話している人には繊細さが必要ですね。
大胆と繊細は相反するものではなく、レベルに応じてこの2つのバランスをどうとっていくかが大切だと私は考えています。
現在の英語教育では大胆の方が重視され、繊細が軽視されているように感じてしまいます。
中学生の英語についてはスピーキングを取り入れるのをもう少し遅らせた方が良いように思います。
中1でまとまった内容を英語で話せと言われてもそれは少し難しすぎる…
スピーキングを始めるのはせめて中2ぐらいかな・・・
最初はきちんと文法を学んで欲しいです。
文法ばかりやるから英語を話せないということがよく言われますが、そんなことはありません。
逆に今は文法をやらなさ過ぎるというのが私の印象です。
スピーキングを学校教育に取り入れることは良いと思いますが、もう少し4技能のバランスを取った指導要綱になることを望んでいます。
御意見、感想、大歓迎です。
