公園内にあるボロブドゥル博物館に到着。入館料は遺跡公園入場料に含まれる。

 

 

博物館の敷地に入ると、正面にあずま屋がある。あずま屋の下にはインドネシアの楽器等が展示されていた。

 

 

敷地内の屋外には、修復を待つ多数の遺跡パーツが並べて置かれていた。瓦礫のように見えて、1つ1つに彫刻が施されている立派なパーツである。仏像もかなりの数が置かれていたが、首が無いものが目立った。

 

 

博物館に入る。館内の照明は暗め。おそらく遺跡の修復に使われたのであろう薬剤関係が展示されていたり、

 
 
大きな仏像の頭部のみが展示されていた。この仏像の胴体部分はウォノソボ(数日後に訪れるディエン高原の拠点となる街)のボガン寺院にあるらしい。現状で頭部と胴体部分のドッキング修復がなされていないのは、仏像が一体になってしまうと、博物館と寺院とで仏像の占有権の折り合いがつかないから、とかだろうか?
 
また、ボロブドゥル寺院は仏教寺院だが、牛(ナンディ)像、象(ガネーシャ)像、男根(リンガ)像など、ヒンドゥー教関連の出土物もあるようで、博物館内にはそれらも展示されていた。館内は広くはなく、地味な雰囲気でこじんまりとしていた。
 
シャトルカートに乗って公園入口方面へと移動する。

 

 

土産物屋通りの中を歩き、駐輪場へと向かう。歩いていると土産物屋の店員が絶えず客引きの声をかけてくるが、気のせいか、31年前に比べるとしつこくはない。

 

これは、昔と違って今は一応、それなりの観光地における店員の振る舞いというものが、観光行政機関辺りから指導されているからだろうか? もしくは、店々の方で「客引きはしつこいと逆効果」ということがわかって来た? それとも俺がこういう場所の客引きに慣れただけ?

 

自転車に乗り、宿へと戻る。

 

 

途中で「バッソ・ビーフ」と看板が出ている屋台を見つけたので、「ミー・バッソ」を食べることにする。

 

ミーとは麺、バッソは肉団子のこと。大きいバッソにはその場で切り込みを入れて、スープで煮込む。麺は白(ビーフン?)と黄色のを半々にしてもらった。

 

 

ミーバッソ。ミーとバッソにサユール(野菜)、タフ(豆腐)、フライドオニオン、チリが乗り、勧められたエステー(アイスティー)もつけてRp25,000(307.5円)。美味。

 

 

食後、宿に戻る途中、インドマレットにてコーラと「ドゥア・クリンチ」のガーリックピーナッツを購入。Rp31300(385円)。

 

宿に着き、ガーリックピーナッツを味見する。美味いのだが、ピーナツの殻を割る労力の割には食べるところが少なく、殻ゴミが多量に出る。なお、ドゥアとは2、クリンチとはウサギの意味。実際に、菓子のパッケージには「2匹のウサギ」がデザインされている。メーカー名かブランド名なのだろう。

 

シャワーを浴びて、身支度を整えた後、午後は自転車でパウォン遺跡とムンドゥッ遺跡へと向かう。いずれの寺院遺跡も、1991年にボロブドゥル寺院遺跡とセットで世界遺産に登録された仏教遺跡である。そして、俺は31年前にはどちらも観ていない。

 

自転車を漕ぎ、まずはボロブドゥル寺院遺跡から1.3kmの位置にあるパウォン寺院遺跡に到着。着くといきなり、近くの土産物屋のおばちゃんが寄って来て、商品の売り込みが結構しつこい。「やっぱ、31年前の土産物屋の客引きってこんな感じだったよなあ」と。ただ、そのおばちゃんに入場券売り場がどこか聞いたところ、親切に(?)教えてくれた。

 

パウォン寺院遺跡と、この後に訪れる予定のムンドゥッ寺院遺跡の共通チケットがRp40,500(498円)。e-moneyやクレカでのキャッシュレス支払いは不可で、現金で支払う。内訳は、各遺跡の入場料Rp20,000×2に加えて、保険料Rp500。保険料? 遺跡維持協力金だとか手数料ならわかるが、保険って何だ? 意味わからんが、Rp500=6円なので、まあ良い。

 

 

パウォン仏教寺院遺跡。パウォンはジャワ語(≠インドネシア語)で「台所」を意味し、古代の台所には炊事後の灰が多かったことから、ここはシャイレーンドラ王朝の王の遺灰を埋めた場所という説が有力らしい。小ぶりな寺院で、入場して外観を撮影。遺跡の中に彫像の類は何も無し。

 

続いて、自転車を漕いでムンドゥッ寺院を目指す。晴天だった空に、段々と雲が広がってきた。

 

 

ボロブドゥル遺跡から3.0kmの位置にあるムンドゥッ寺院遺跡に到着。入場前に柵の外から撮影。ちなみにボロブドゥル寺院、パウォン寺院、ムンドゥッ寺院は一直線に結ばれた間に位置しており、何らかの所縁があるものと考えられている。しかも、3寺院の中で最も新しく建設されたのがボロブドゥル寺院らしい。

 

なお、ムンドゥッ寺院遺跡の近くには、現役の仏教寺院である「ムンドゥッ僧院」がある。

 

 

ムンドゥッ僧院の入口。遺跡の前に、まずはここに入ってみることにする。入場無料。

 

 

敷地内の中央通路の両脇には石仏塔=ストゥーパが並んでいる。

 

 

寺院の奥に位置する仏像。他にも、アンコールワットの四面仏を模したようなレプリカ石塔があったりした。

 

 

寺院の敷地内には涅槃仏像もある。イスラム教徒が大多数を占めるジャワ島だが、少数ながら仏教徒も存在し、信仰を維持している。この僧院は、インドネシアにおける貴重な仏教聖地だけに、本来なら多岐に亘る仏教の宗派すべてを受け入れているようだ。

 

続いて、パウォン寺院遺跡で購入した共通チケットを提示して、ムンドゥッ寺院遺跡へと入場する。

 

 

ムンドゥッ寺院遺跡の敷地内に立つ菩提樹。御神木なのであろう。

 

 

ムンドゥッ寺院遺跡。外観を撮影。正面からだと若干逆光気味。

 

 

ムンドゥッ寺院遺跡の中には3体の彫像が収められている。真ん中の1体が仏像、両脇の2体が菩薩像らしい。「仏教彫像の最高傑作」と言われているらしく、確かに見事だが、アクリル板で柵が設けられており、彫像の間近に近寄ることはできない。撮影しても、アクリル板が写り込んでしまう。

 

  

 

 

3体の彫像はそれぞれ、足の組み方が違う。こうして彫像が盗難や破壊されることなく、現在に残っているだけで奇跡的と言えるのであろう。

 

 

ここでも、敷地内には今後の修復を待つ多数の遺跡パーツが並べて置かれていた。

 

 

ムンドゥッ寺院遺跡の敷地から出ると、近くに「インドネシア日本友好親善之碑」が立っていて、1985年2月吉日建立とあった。事後に調べると、現・令和天皇が皇太子だった頃、この碑を訪れたことがあるらしい?

 

時刻はまだ早いが雲行きが怪しく、雨が降る前に戻りたいのと疲れてたので、自転車でボロブドゥルの街へと向かう。14時、Javanava Travelcafeに到着し、自転車を返却。徒歩で宿へと戻る。

 

 

宿に戻る途中、生フルーツジュース屋があったので入ってみた。

 

 

アルポカジュースを注文。アルポカとはアボガドのこと。Rp10,000=123円。濃厚で美味。

 

 

その後、まだ食えるので屋台を探りながら歩いていたところ、「ナシ・プチェル」と表示を出している屋台があったので、入って注文した。

 

 

「ナシ・プチェル」。ナシは飯、プチェルとはベジタリアン向けの料理で、茹でた野菜に甘くてピリ辛のピーナツソースをかけたもの。ここではそれに、ビーフンゴレン(ビーフン炒め)、ゴーヤゴレン(ゴーヤ炒め)、パパヤゴレン(青パパイヤ炒め)を加えた。勧められたライムジュースをつけてRp20,000(246円)。美味。

 

なお、ここの屋台のおばちゃんは一切英語ができず。注文の際、俺が「バハサインドネシア、スディキッ、ミンタマーフ(インドネシア語、少し(しかわからない)、ごめんなさい」と伝えたら、おばちゃんはインドネシア語で「こちらこそ英語できなくてごめんなさい」という旨を言っていたようだった。

 

宿に到着。シャワーを浴びて休憩。その間、雨が降って来たのでちょうど良かった。夕刻、雨が止んだので夕食を食べに行く。

 

 

ホテルの前の通りから、夕焼けの中に浮かぶボロブドゥル寺院遺跡の上壇部のシルエットが見えた。

 

 

ナシ・ゴレンの屋台を見つけたので入る。ナシ・ゴレンのナシは飯、ゴレンは炒め、つまりチャーハンのことで、日本でも有名な代表的インドネシア料理である。

 

だが、店内でメニューを確認すると「マグランガン」があったので、ナシ・ゴレンではなくマグランガンを注文することにした。

 

 

「マグランガン」。アイスティーをつけてRp24,000(295円)。マグランガンはナシ(飯)とミー(麺)のチャンプルゴレン(混ぜ炒め)のこと。いわゆる「そばめし」である。ボロブドゥルがあるマグラン県のB級グルメで、マグランという地名がそのまま料理名になったという。

 

美味だったが、正直、味は普通にナシゴレンと同じで、特にまあ、それだけという。ナシゴレン同様、目玉焼きとキュウリはちゃんと乗っていたけれども、これなら普通のナシゴレンを注文しても良かったかも。あと、この屋台のおばちゃんは比較的英語で対応してくれたから、ローカルというよりは観光客向けの店だったのかもしれない?

 

 

店の壁にはヤモリが複数いて、「キキッ、キキッ」と鳴いていた。南国のヤモリが鳴くことには、31年前からとっくに慣れている。

 

 

さらに歩いていると、店頭で煙を上げながら「サテ・アヤム」を焼いている店を発見。サテは串焼き、アヤムは鶏のこと。すなわち、焼き鳥そのものである。値段を聞くと10本単位の販売で、10本Rp25,000(307.5円)。相場通りの値段でボラれてはいないようなので、テイクアウトで10本購入。古紙で包んでくれて、ピーナツソースと生オニオン、青チリの薬味もつけてくれた。

 

 

宿に戻ってサテ・アヤムを食す。ちょっと硬いが美味。1本の量も少ないため、10本とも一度に完食した。

 

今晩も俺以外、この宿に宿泊客はいない様子。そして、これがボロブドゥル最後の夜。ボロブドゥルはインドネシア屈指の観光地だが、現地の人達は素朴で、親切で、優しくて、素朴で、居心地が良い。

 

また、今回の旅は今のところ、天気や体力の都合により、あまり「観光して駆けずり回る旅」ではない。でも、その分、ローカルフードは堪能しまくっている。今日なんて、量が少ないとはいえ屋台で5食した上、アボガドジュースを飲んで、焼き鳥も食べた。まだ食えていないローカルフードは明日以降、プランバナンやジョグジャカルタで食そう。

 

続く。