数日前知人のホームページに遊びに行った時に知ったけれどもジオシティーズが無くなることを知り呆然となってしまった。
ジオシティーズといえば私がホームページを作ったときにお世話になったアップロード先なだけに残念としか言いようがない。
そこで作品解説だけでもブログに残せればと思って作業の最中であります。
(解説文にDVDが発売されてないと書いてある作品も後に発売されてるケースもあるけれども敢えて手を加えてありません。あしからず)
パソコンが壊れて代わりにスマホで更新してるので
大変だ(汗)

フランケンシュタイン対地底怪獣(1965  FRANKENSTEIN CONQUERS THE WORLD)作品解説


「キングコング対ゴジラ」の世界的成功は次なるアメリカサイドのオファーを東宝にもたらした。
アメリカ・ベネディクトプロからのオファーで日米合作の企画である。
オブライエンの原案「フランケンシュタイン対キングコング(キングコング対プロメテウス)」は結局キングコングの対戦相手はゴジラとなったがもう一つのアメリカを代表するモンスターであるフランケンシュタインも海外輸出には捨て難い存在であった。
そこで等身大怪人へのアプローチとして東宝は変身人間シリーズで最高傑作と評され海外でも認知度の高い「ガス人間第1号(1960)」の続編としてフランケンシュタインと絡む「フランケンシュタイン対ガス人間」という作品のシナリオを関沢新一氏に依頼することとなった。
これが本作品の誕生の発端だった。
しかし残念ながら変身人間シリーズはその完成度とは裏腹に興行的にやや難があったために惜しくもこの企画は没となってしまう。
次にフランケンシュタインをオブライエンの原案同様に巨大化させキングコングに続きゴジラと対戦させるプランが浮上しより輸出を意識した企画を意図するようになる。
そこでアメリカサイドもこの企画に乗ってきて「半数染色体」などで知られる医学をテーマにした作品を得意とするSF作家ジェリー・ソールが原案を書き、それを基に木村武から筆名を改めた馬渕薫が「フランケンシュタイン対ゴジラ」を書き上げた。
しかしこれもベネディクトサイドの要請により新怪獣の登場が当てられることとなった。
そして決定となったのが本作品であった。
ちなみにフランケンシュタインの怪物を復活させるプランを実現可能となったのはベネディクトサイドからロサンゼルスにある国際東宝の弁護士に話があるということで持ちかけた企画だったという。
こうして当時としては画期的な企画である本作品はスタートを切ったのである。
これは演出を担当する本多監督にとっても初めての試みで最終決定のシナリオの打ち合わせで自ら渡米しベネディクトサイドでの契約を行った。
そこで本多監督は監督が決定したプランに対し一切のクレームを付けないという事を契約書に入れるなどを行った。
こうしておかないと先方へのクレームで撮り直しを一々しなければならず現場の処理にも埒があかないからだ。
かくして本多監督は帰国後、本作品の演出を行ったのである。
本多監督はオリジナルの「フランケンシュタイン(1931)」のファンでもあり生化学にも興味があるので厳粛な姿勢で演出を行ったという。
設定そのものにバイオテクノロジーの要素が原案の中に既に組み込まれているのでこれを活かす方向で演出をしたのだ。
本作品にて初の登場となったバラゴンもオオトカゲの英語名である「バラナス・ドラゴン」からネーミングは採られているようだ。
さて題材的に怪奇的要素が満載の作品であるので従来の怪獣映画とはやや異なる作風で展開され尚且つ「ガス人間第1号」で試みた美女と野獣的プロッドを織り込んだ悲劇的ストーリーをダイナミックに演出。
主演も従来の怪獣映画と違い日米合作映画の為にニック・アダムスというハリウッドスターが招かれた。
これはそれまでの「モスラ」や「地球防衛軍」では在日外国人のいわばアルバイト的出演とは違い正規のハリウッドスターであるので画期的なことである。
その彼が演ずるボーエン博士と高島忠夫演ずる川地、水野久美演ずる戸川季子、そしてフランケンシュタインを軸にしたドラマで展開されるのだ。
しかしここで問題が浮上することになる。
誰がフランケンシュタインを演ずるかということだった。
本多監督は初代フランケンシュタインを演じたボリス・カーロフのイメージで演出していたのでそれに近い人をキャスティングしなければならない。だが、撮影所内ではそのイメージにぴったりする俳優はいなかったのだ。
その話を聞いた石原慎太郎氏は困り果てた本多監督に一人の若者を推薦してきた。
八百屋の息子でそっくりな人がいるというのだ。
彼の名前は古畑弘二。俳優になるつもりはなくてこれ一本だけの出演ということで了解した。
彼は素人だが身のこなしが良く本多監督にも絶賛されたという。
彼は特撮部分にも登場しその運動神経を発揮した。
さて特撮シーンだがそれまでの怪獣映画とは異なり巨大化したフランケンシュタインにしてもバラゴンにしても従来の怪獣のサイズよりも半分のサイズしかないので撮影には戸惑いを覚えたという。
だが、反面ミニチュアは従来の倍のサイズとなった為に細かなディテールにも凝れるので美術スタッフはよりリアルなミニチュアを製作することが出来たのであった。
そしてより説得力のある特撮シーンが作られることが可能となったのである。
それは冒頭でのドイツ陥落シークエンスや団地でのシーン、バラゴンが山小屋を襲うシーン等で発揮されることとなった。
怪獣が人や動物を食べるという残酷なシーンも本格的に描写出来るサイズだったのでこういったディテール描写には大きなサイズのミニチュアが効果的だったのである。
と同時にこれらの描写は円谷監督にとっても「モスラ」に続きニュータイプの怪獣映画を演出する意気込みに満ちていた。
円谷監督はこういったグロテスクな描写は忌み嫌っていて極力避けていたのだが本作品のような怪奇的なストーリーではそれらの要素は避けて通れなかった。
こういった描写を和らげるためか後半での両者の格闘シーンはスピーディーでかつダイナミックに展開し巨人と怪獣の格闘という描写は後の「ウルトラマン」の原型とでもいうべきイメージである。
さて本作品はご存知の通り海外版向けに大蛸が登場するラストシーンが追加撮影されている。
これは「キングコング対ゴジラ」での大蛸のシークエンスが予想以上の出来映えにアメリカでも好評で本作品でも登場させてくれと要請されたものだが山中に蛸が登場するという不自然な状況だったために不使用となってしまった。
その代わりに団地でのシークエンスが幾分追加された。
ちなみに大蛸の登場するラストは不自然とはいえ画面的に派手となったのでテレビ放映向けとして公開されこちらが正規版となった。
これに伴いフランケンシュタインが陥没に呑まれる国内版のラストはネガから外されてしまい暫くは幻の存在となってしまったがレーザーディスクの発売に伴い公開時のプリントが発見されレストアされ見事に復活した。
私はテレビ放映も逃してしまい今から20年前に出たビデオにて初めて拝見したのだが前半の展開が緊張感あるものでなまじのホラーよりも怖かった記憶がある。
ただ後半の格闘シーンやフランケンシュタインは生身の俳優だったために等身大の時は良かったが巨大化したときには巨大な感じがあまりなく正直限界があったなと思った。
セットのリアルさで多少は救われたのだがスピーディーなところが逆に災いして大きく見えないのだ。
ただバラゴンは巨大感満点で見ごたえがあったしデザインも秀逸で後に幾多のウルトラ怪獣のボディーに使われたほどの完成度だったと思った。
このフランケンシュタインの難点は「サンダ対ガイラ」にて大きく改善されることとなる。
スタッフ
製作  田中友幸
原案  ジェリー・ソール
脚本  馬渕薫
撮影  小泉一
美術  北猛夫
録音  小沼渡
照明  小島正七
音楽  伊福部昭
整音  下永尚
監督助手  梶田興治
編集  藤井良平
音響効果  西本定正
現像  東洋現像所(イマジカ)
製作担当  山田順彦
特技監督  円谷英二
監督  本多猪四郎
特殊技術
撮影  有川貞昌、富岡素敬
光学撮影  真野田幸雄、徳政義行
美術  渡辺明
照明  岸田九一郎
合成  向山宏
監督助手  中野昭慶
製作担当  小池忠司
スチール  田中一清
キャスト
高島忠夫、水野久美、ニック・アダムス、土屋嘉男、古畑弘二、田崎潤、藤田進、志村喬、中村伸郎、佐原健二、伊藤久哉、田島義文、野村明司、加藤春哉、沢村いき雄、小杉義夫、井上紀明、沢井圭子、高橋紀子、ピーター・マン、山本廉、佐田豊、田部謙三、石田茂樹、中島春雄、中山豊、大村千吉、桐野洋雄、西条康彦、大友伸、広瀬正一、向井淳一郎、古田俊彦、津田光男、熊倉一雄、納屋悟朗他。
製作 東宝、ベネディクト・プロ(ヘンリー・サパーステインプロ)
カラー、東宝スコープ
公開  1965年8月8日(日本)90分
1966年、AIP 87分(アメリカ)曜日は不詳
同時公開 「海の若大将」


ガス人間第1号(1960年  The Human Vapor)作品解説

前年で「日本誕生」や「宇宙大戦争」といった大規模な特撮作品を連続していた東宝であるが翌年になり「太平洋の嵐」を中心に「美女と液体人間」(1958年)以来に小規模な特撮による2本の変身人間作品を制作した。
それが「電送人間」と本作品である。
企画としては比較的小予算で製作可能な特撮作品の意図もあるがよりドラマチックな内容の深い特撮作品との意図もあったようだ。
変身人間シリーズは1954年の「透明人間」からスタートし「美女と液体人間」、「電送人間」と続いたがどちらかといえばドラマ的充実というよりも寧ろ活劇路線に向かってドラマが展開されている感じもしたが本作品ではよりドラマチックな展開に力を注ぎストーリーもこれまでの作品よりも複雑な展開に向かって進行する作品となっている。
折しも本作品が製作、公開された1960年、安保闘争が起きそのあおりで全国各地で銀行強盗の事件が世間を賑わしていたのだ。
そうした不安定な世間を反映し尚且つこうした不安な状況の最中の一方で宇宙旅行のブームもありこれらを採り入れた企画が本作品の母体となっていったのだ。
さて、こうした要素を基に木村武氏が脚本を執筆するのだがここで木村氏は1958年の「美女と液体人間」に続いてジャンルとジャンルの融合した一種得体の知れない作品として仕上げていくことになるがここでは前作の「暗黒街」ものと「刑事もの」、そして「特撮物」というジャンルの融合に続き今回は更に恋愛物の要素をも採りいれてよりドラマチックな展開を試みたのである。
どちらかといえば「液体人間」に比べると暗黒街物の要素は比較的抑えられているのだがその分恋愛物と特撮物とのジャンルの融合がより充実し本多監督も幾多の恋愛ものも手がけていたこともあり変身人間シリーズでは最高傑作となるほどの秀作になった。
さてここで木村氏が意図したものとは何なのかといえば社会からドロップアウトされた者同士の恋愛ということに尽きるのではないかと思うがまずガス人間となっていく水野は図書館で勤務していた真面目な男であったが彼の夢はジェットパイロットでありこの図書館の勤務はどちらかといえば適切なものでなく妥協して就いた職であるために安定しながらも心のどこかで不満を抱いている。
ところがある日宇宙飛行士の目的で人体実験をしようとする佐野博士によって人間でない人間となってしまい体は人間だが心では怪物的なものになってしまう・・・。
一方の藤千代は日本舞踊の第1人者だったのが落ち目となっていき社会から抹殺されてしまう。
その二人が偶然の一致か水野の勤めている図書館にて出会いそして恋に落ちる・・・それが報われないとしても・・・。
この社会から疎外された二人を丹念に描くことで人間の本質を抽出しており真の人間ドラマを形成しているのだ。
本多監督によれば二人の関係は情に絆されただけで本当に藤千代が水野を愛していたわけではなかったとのことだが心中までしたラストを見ると二人は死んでしまったので最後の最後で二人は結ばれたと思いたい。
このドラマチックなストーリーを音楽で支えたのは従来の伊福部氏や「液体人間」の佐藤勝氏ではなくこの作品が初の特撮作品となる宮内國朗氏である。
ジャズ出身の彼が関わった本作品の音楽は冒頭からストレートな緊張感溢れる音楽でしかもシーンにシンクロしたものだ。
彼の音楽は伊福部氏とは別の点で映画音楽には成功しており後に円谷プロの「ウルトラQ」や「ウルトラマン」(いずれも1966年)で音楽を担当することになるのも納得出来る。
話は戻すがラストシーンでのドラマの盛り上がりはこの宮内氏の音楽があればこそ盛り上がったと思う。
さて円谷監督の特撮シーンだが本作品では主にガス人間の具現化とよりドラマに密接した特撮シーンに力が注がれている。
人間の肉体がガス化するという現在でも技術的に難しいとされる特撮シーンに円谷監督は次のように映像化している。
それは土屋嘉男氏の顔や手の輪郭にただアニメ合成の煙を重ねるのではなくやや輪郭を膨らませてドライアイスの煙と青白い光のようなアニメを合成させたのである。
これによって徐徐に水野がガス人間となっていく描写を丁寧に描いてるのが判る。
これは昨今のCGIのようなはっきりしたものでないがそれだからこそ独特の不気味さをも湛えているように思えるしあまり鮮明だとこの不気味さの雰囲気がどこかスポイルしてしまっていたことだろう。
また輪郭を一回り大きくしたことでガス化の膨張する様を見事に描いてるともいえる。
勿論それだけでなくこのガス人間のキャラクターを描写するのに更に「液体人間」でも使用されたゴム製のダミー人形を再び使用しガス人間が再び元の人間に戻るシーンや応接室で警官のガス銃に撃たれガス化し逃亡するシーンにて使われておりスピードを上げてガス化するという描写を見せた。
勿論このダミーの輪郭にもアニメ合成しているのはいうまでもない。
さて本作品にもミニチュアワークスが本領を発揮しておりシーンはラストの劇場爆破シーンのみだがこのホールのミニチュアはあまり大きなミニチュアではないが本物のホールの映像と比べても全く違和感のない出来映えで見分けが付かないほどの見事さであった。
こうして本作品は歴史に残る名作となり当時あまり芳しい評価を受けなかった特撮作品の中にドラマ的にも成功しているというお墨付きまで受け海外でも好評となったのである。
スタッフ
製作 田中友幸
脚本  木村武
撮影 小泉一
美術 清水喜与志
録音 藤好昌生、宮崎正信
照明 高島利雄
音楽 宮内國朗
作詞 片山貞一
作調 堅田喜四郎
振付  若柳美登理樹
監督助手  梶田興治
特撮スタッフ
撮影 有川貞昌
光学撮影 荒木秀三郎
美術 渡辺明
照明 岸田九一郎
合成 向山宏
キャスト
三橋達也、八千草薫、土屋嘉男、佐多契子、左ト全、田島義文、小杉義男、伊藤久哉、佐々木孝丸、松村達雄、村上冬樹、宮田羊容、三島耕、野村浩三、塩沢とき、山本廉、中村哲ほか
特技監督  円谷英二
監督  本多猪四郎
 東宝、カラー、東宝スコープ
1960年12月11日公開
同時公開「金づくり太閤記」
海外配給  不明 公開1962年