兵庫県知事のあり得ぬ公益通報者保護法違反が、もはや白日の下に明らかとなって、全く同じ構造である鹿児島県警本部長の不祥事隠蔽に関する「公益通報」事案も、その「処分」の違法性が浮き彫りにされてきた。

 

先日の百条委員会での、弁護士の発言がまとめられていたが、以下の通りで、どこをどう読んでも、兵庫県知事や鹿児島県警が行ったことの不当性は明白だ。

 

(以下上記記事から引用)

 

山口弁護士は、議員や報道機関への告発は公益通報の対象となり、「男性を特定して事情聴取することなく、文書に記された7つの項目について調査はできる。外部通報であっても、通報者(告発者)を探索をしてはならない。あり得ない法令違反」と指摘した。

 

・・・・中略・・・・

 

 その理由として、「局長という、幹部クラスによる外部通報があった以上、単なる伝聞や憶測ではなく、通報内容を裏付ける内部資料や、関係者による信用性が高い供述があると思われるから」と述べ、告発文書の「真実相当性」は高いとした。

 

・・・・中略・・・・

 

 このほか、鹿児島県警の不祥事の隠ぺい疑惑を、フリーライターに告発した元幹部が、逆に守秘義務違反で逮捕・起訴された例は、元幹部が情報漏えいではなく、公益通報だったとして無罪主張する方針だ。・・・以上。

 

 

この記事でも、あえて最後に鹿児島県警の問題を記している。

 

昨日のブログでも示したが、鹿児島県警の元生活安全部長の本田氏が告発した内容は以下の項目だ。

これが公益通報でなければなんだというんだろう?

 
事件の経過

 

 

 

これまでのブログで、何度も鹿児島県警本部長の不祥事隠蔽疑惑について触れてきたが、

鹿児島県と兵庫県とで一番違っている点は、鹿児島県の疑惑問題ではその処理にあたって、上級の組織である「警察庁」が相談を受けて、この事案処理に関係してしまったということだ。

 

兵庫県の今回の問題は、自己中パワハラ知事とその取り巻き幹部職員による暴走だということで、今後の関係者の進退問題と処分で事は解決するだろうが、

 

鹿児島の方は、そうは簡単には済まない。

何しろ「警察庁」のメンツがかかっている。

 

なぜなら、警察庁は「特別監察」に入る直前の6月24日に、鹿児島県警本部長の不祥事隠蔽の事実は無いと宣言してしまったのだ。

つまりその時点で、たぶん不祥事隠蔽にかかる問題で外部の調査があっても、隠蔽があったという「証拠」が無いことを確認した、ということだろう。

何しろ、本田氏の告発文を「家宅捜索」で入手したのは4月8日だから、6月下旬までなら如何様にでも「証拠隠滅」に必要な時間はたっぷりあったのだから。

 

例えば、告発した本田氏は、「盗撮」事件が枕崎署から報告された23年12月22日に、直ちに県警本部長に「本部長指揮事件指揮簿」を作成して伺いを立て、結局「泳がせておこう」だとか「最後のチャンスをやろう」だとか言われて、本部長の印鑑がもらえなかった、と言っている。

 

だとすれば、その指揮簿が実際には残っていたはずだが、県警本部長はこの件で本田氏と会ったことは無いと言い、

県警も会見で、22日に「盗撮」事件で本部長に口頭報告したのが、盗撮事件の所管の部署でもない『首席監察官』であったこと。

そして、所轄署への本部長指示の連絡がミスって「捜査中止の2日間」が生じてしまって、所轄署からの再度確認の電話があって捜査再開の指示をしたが、その際の記録は取っていない、と言っているのだ。

 

都合の悪い書面は残ってないのだが、これって、如何にも後から取って付けたような事実経過の説明に思えてならないのだ。

 

この件については、昨日のブログでかなり詳細に、不可思議な点について言及したが、あえて、問題点を再度簡単に言えば、

 

「捜査中止の2日間」以降の所轄署の捜査なるものの動きを見れば、実態的には「泳がせる」「最後のチャンスをやる」と言った趣旨に従った動きにしか見えず、実際には捜査継続の動きは無いようにしか見えないのだ。

 

本田氏の供述が正しいのなら、彼は本部長の指示を正確にメールなどでも所轄署に伝えたであろうから、県警が言う「捜査の再開」は無かったとみることもできる。

 

所轄署は直ちに本部長指示の「盗撮」テーマの研修に取り組み、それを年内に済ませている。(指示があったのは12月の22日だ。そして、23,24日は土日で警察以外はお休みだ、年内に研修実施はかなりのスピードだと思う。)

 

年が明けて1月17日には、被害者立ち合いのもとに実況見分を行い被害届を作成となるが(この日付が県警の最初の会見では日時が間違っていたりしたが、それは何を示唆しているんだろう?)、これは捜査の継続というよりは、もともと12月に被害を訴えているので、流れとしての処理で「実況見分はして被害届は受理した」ということにしていたとも考えられる。

 

それが、そうだと思えるのは、教養という名の「研修」に犯人も参加させているし、3月19日に「犯人浮上報告書」が作られるも、本部長への報告はされないママとなっている。

というように、本当に捜査していてこの報告書を作ったならば、本部長へ報告するはずなのに、なぜか報告されていないという事実があることと、


わずか1週間後の3月25日発令の春の人事異動で枕崎署長が退職し、巡査部長は覆面パトカーで単独の外回りをおこなう警備課から、他の警察官と一緒にパトカーでパトロールすることが多い地域課に異動する。

という人事異動をしていることだ。

 

直ぐに「逮捕」するなどの処分をしなければならない職員をわざわざ「盗撮」しにくい職場へ温情的な異動をさせているという事実はどう考えればいいんだ?

 

「犯人浮上報告書」なるものがどういうものかはよく知らないが、それって、その報告書に基づいて犯人を逮捕するという本部長の指揮を得るためのものじゃないのか?

 

だとしたら、その後の異動などありえないとしか思えないし、5月になってやっと逮捕したなんてことになること自体がおかしい話だろう。

 

そして、実際に県警がこの盗撮の巡査部長の「逮捕」に動き出したのは、5月以降だということは県警も認めていることなのだ。

 

つまり本田氏の告発が明らかになり、まともに捜査に着手して証拠固めをして「逮捕」したのは、全て5月からだという事実。

 

その処理の素早さから考えても、12月末から4月いっぱいまで、一体捜査継続と言いながら何をしていたんだろう?ということだ。

 

事実をハッキリさせるためには、今日判決が出る「盗撮」事件の元巡査部長に証言してもらえばいいのだが・・、「3月までに捜査ということで事情聴取とか受けましたか?」とかね。

でも多分、元巡査長は証言はしないだろうね。

もう、県警と何らかの取引してる可能性が高いでしょうね。

 

そういう意味では、不作為の行為の作為の証明をすることは、もともと難しいから、少々不自然でも、そうだったと言いこわれば、それで済んでしまうだろうと「警察庁」も踏んでいるのだろうな。

 

 

しかし、この問題、ことが私の推量通りだったら、とんでもない大スキャンダルだ。

 

誰かが言っていたが、兵庫県の問題も事態ををここまで大きくして炎上させたのは、「嘘八百」などと言って「処分」を強行した知事自身だと。

 

鹿児島県警本部長も、自身の隠蔽疑惑が明らかになることを恐れ、異常な「家宅捜索」をやってサッサと「公益通報者」を「秘守義務違反」で「逮捕」してしまったが、「裁判」となったら何度公判で問題点が公衆にさらされるかまでは、予想できなかったんだろうなあ・・?

 

警察庁も、マスコミを舐め切った対応に終始してしまったのは、どうなんでしょう?

 

いずれにしても、本田氏の告発が「公益通報」に該当し、「逮捕」という処分が不当だということぐらいは、何とか裁判で勝ち取って欲しいものだ。

 

本田氏の指摘した事項は、ほとんどが告発後に動き出して処理されているのだからね。