兵庫県の問題も、知事のパワハラ度や卑しいおねだりや補助金での迂回寄付という不正行為などだけが問題なのではなく、実は公益通報制度の有り様が問題なのだ。

 

マスコミもようやくその点についても、以下の「社説」で批判するようになってきた。

以下上記より引用

 

・・・職場の不正を告発した人は公益通報者として保護され、解雇や降格などの不利益を被ることはない。公益通報者保護法で定めている。

 兵庫県庁を揺るがしている問題は、このルールに反している疑いがある。・・以上

 

 

現行の公益通報制度の問題点は、公益通報を受ける部署などが、基本、組織内の特定の部署になっていて、たいていの場合通報を受けても、結局隠蔽されたり通報者が不利益を被ることが多いということ、また、外部のメディアなどに通報した場合は、通報された情報に個人情報や組織の特定の秘密情報などが含まれている場合は、それを理由に「守秘義務違反」として告発者を犯罪者にできてしまうような抜け道があるということだ。

 

それを避けるためには、外部に中立公正な第三者機関を設けて、公益通報を専門的に受け止める独立した組織が必要なのは言うまでもない話なのだ。

 

 

この問題に、しっかり踏み込んで、提案している対談もあった。

以下上記より引用

 

・・・つまり、メディアに提供された情報のうち、犯罪に直接関わる部分については公益的通報に当たる可能性があるが、それ以外の情報も含まれていた瞬間に、それは違法行為となるというのが、鹿児島県警の認識ということになる。

 

  しかし、犯罪行為を提供する際に、その周辺情報を一切含まない形で摘発するというのは、必ずしも現実的ではない。特に今回のように、提供された捜査資料の中に被害者の個人情報が含まれていたことが問題視されることになると、情報提供を受けたメディアは、その情報の裏取り、つまり事実確認さえできなくなってしまう。

 

つまるところ、公益通報者保護制度は地方自治体や官庁ではほとんどまともに機能していないようだ。公務員法の守秘義務というハードルのため、公益通報者が逮捕されたり懲戒処分を受けたりすることが頻発しているのだ。

 

 現行の公益通報者保護制度の最大の弱点は、この制度が元々、消費者保護を目的とした消費者行政の延長線上にあり、行政の健全な運営を担保するための制度ではないことだ。そのため管轄官庁も消費者庁になっている。無論、消費者保護は重要だが、行政機関の健全な運営のためには、現行の公的通報者保護制度を強化するか、もしくは消費者保護とは切り離した形で、行政機関を対象とする新たな公的通報者保護制度を定める必要があるのではないか。・・・・以上

 

 

 

兵庫県知事のパワハラ問題にしろ、鹿児島県警本部長の不祥事隠蔽問題にしろ、公益通報として告発しても、平然として告発された者がその調査や捜査の指揮を執るというようなふざけた事態になっている。

そのこと自体が、公益通報制度自体を否定しているということをしっかり批判し、独立した公正中立な機関が、公益通報を受付て権限を持って調査できることが必要なのだということをもっと明確にして、制度の改革を進めなければならない。

 

そうした制度の改正が無い限り、行政組織の不正や隠蔽は改善されない。

 

この改革に反対している政治勢力は誰なのかは、もう明らかな話だ。