いろいろと事実関係が明らかになってきて、改めて疑惑が深まった。
その疑惑とは、それは誰でもこれまでの事実関係を見れば、容易に推測できる極めて論理的に導き出される疑問だということだ。
このことについては、これまでもブログで指摘してきたが、
なぜ鹿児島県警が理屈のつかない「強制捜査」や強引な「パソコンデータの削除」などをやってしまったかと言う理由が、自然に浮き上がる話なのだ。
そもそもだが、犯人逮捕の発表当日の4月8日に、その事件の証拠固めのための「家宅捜査」を実施しているなんて馬鹿な話は、聞いたことがない。
と言うことだ。
なぜそのような、無理くりの「家宅捜査」をやってしまったのかが最大の問題だ。
中願寺氏はこの8日発表の「犯人」の事件については、以下のように証言している。
「23年に『ハンター』で『告訴・告発事件処理簿一覧表』について写真付きで記事にしたのですが、県警は内部資料の流出を一向に公表しようとしませんでした。
そこで今年2月、私はその資料を持って県警に行き、“これを渡すから流出を認めて謝罪してほしい”と迫った。ところが県警の職員はかたくなに受け取りを拒否。私は“お前ら腐ってるな”と捨てぜりふを吐いて帰ってきました」・・・以上
鹿児島県警が不正を隠蔽している事実だ。これ以上の証言は無い。
しかもこの証言は4月8日の「家宅捜査」自体を、まさにこの件では全くやる必要がなかったということを明確にしたと、私は考えている。
4月8日に家宅捜査を受けた「ハンター」の中願寺氏は公表した告発資料を今年の2月に警察に持参さえしていたのだ。
その資料は同じ8日に「逮捕」の発表があった「巡査長」が漏洩したとされた資料である。
警察は、犯罪の構成要素・証拠物件をしっかり固めたからこそ「逮捕」できているのだ。
だから犯人発表の日の時点では、本来それ以上の捜査などありえない話で、それは「検察庁」に申請した書類を検証すれば判る話。
証拠が固まっていない犯人の逮捕を現行犯でもないのに、検察が許可するわけはないだろう。
しかも、「ハンター」は自ら証拠を提供しようとさえした報道機関です。
犯人の発表当日と言う、誰が見てもギリギリで、しかも禁じ手でもあった報道機関に対する「家宅捜査」と言う強制捜査の必要性・緊急性をどう説明するのだ?
なぜそれほどの無理をしてまで、「家宅捜査」をやらなければならなかったのか?
その理由は、何故だかわからないが、県警側が本田氏の告発資料が、4月3日以降「ハンター」のパソコンに存在していることを知っていたから・・
そう考えないと、説明がつかない理由は、2つある。
一つは、本田氏の告発資料が発表されてしまうと、県警本部長の不正の隠蔽が後手後手に回って、対処が大変マズイことになるということだ。
簡単な理屈だ。
これまでは『ハンター』が部下の警官の不正を公表したら、後付けで捜査して犯人を「逮捕」して、いかにもちゃんとやってますと糊塗出来た。
しかし、県警本部長が不正を指示したとなると、まさか本部長を「逮捕」しましたというわけにはいかない訳で、早急に本田氏の告発内容を手に入れたうえで、告発されている事案の部下職員を早急に取り調べて「逮捕」するという「内部処理」を早急かつ遺漏のないように進めないと、本部長の隠蔽の指示の存在が事実として疑われてしまう。
なんとしてでも、公表される前に、告発資料を没収して内容を確認する必要があったのだ。
もし、この私の推定が当たっていたとしたら、
次に問題になるのは、それでは如何にして、合法的に告発資料を手に入れるかということだ。
それで、あわてて考え出したのが、8日に発表予定の「犯人」の事件の関連として『ハンター』の「家宅捜査」なんだろうとしか思えないのだ。
しかもそれは北海道の記者に送られた告発資料が、届いたその日に即日『ハンター』へメールで転送されている事実を知っていなければ、できない話だろう。
警察が無理くりに理由をつけたとしても、
合法的に「強制捜査」ができるのは、該当事案の「犯人の逮捕」を公表する8日までだ。
しかもそれは、原本がある北海道の記者には、理由が立たないので行えないのだ。
3日にメールが来たことを知ったとしても、合法的にガサ入れ出来るのは8日までなので、実質4日間しか検討する時間は無かったのである。
そりゃ、あわてただろうなあ・・・
きわめて慌てて対応せざるを得なかったという「家宅捜査」だったことは誰が考えても歴然だ。
ちなみに、警察は今でも本田氏の告発資料の原本を入手していないらしい。
普通に考えれば、原本資料が北海道の記者が持っているのなら『ハンター』がその資料に基づいて、本部長の不正を公表できるじゃないか、と思われるかもしれないが、
告発資料の中身が既に県警側にあれば、その資料の内容に沿って県警は着々と該当事案の犯人を逮捕すべく「内部処理」を遺漏なく進めればいいだけなので、資料を入手した後で、いくら発表されようと本部長に類が及ばないようにすることは可能なのだ。
だから、本来やるべき原本までは無理に没収することまではしなかったのだろう。
鹿児島県警がやってしまった大チョンボは、
1つは、報道機関への「家宅捜索」で、実質的に全マスコミを敵に回す行為をした。
もう1つは、公益通報者を情報漏洩とか守秘義務違反で逮捕してしまうことで、公益通報制度自体を破壊してしまった。
と言うことなんだが、
もう一つ、この「家宅捜索」で浮かび上がったのは、
何故『ハンター』のパソコン内に本田氏の告発資料があることを知っていたのか?と言う疑惑なのだ。
たまたま「家宅捜索」して、無理やり報道機関のパソコンを押収して、中を見たら別件の本部長の不正に関する告発資料を見つけました。なんて、まるで宝くじに当たったような話があるのか?
しかも、わざわざ、その資料は削除してパソコンを返すという、余計なことまでやってしまっている。
「坊主憎けりゃ袈裟まで憎い」という気持ちが伝わる話だろう。
これは、一体どのような理由付けで「家宅捜索」を行ったのかを明らかにすれば、いくらかはこの私の疑惑に対する回答は出てくるとは思うが、
結局は県警自身が自白する以外には明らかにはならないのだということも既に見えている話。
もしこのことを、告発してくれる義憤に駆られた警察官がいれば幸いだが、はてさて、今更に「逮捕」覚悟で良心に従って告発してくれる人物がいるだろうか・・・
何しろ、たぶん、すべての事実は上級機関の警察庁も知っていそうだからね。
追記
*「家宅捜査」などの捜査令状は「検察官の請求」を受けて裁判所が出すようですね。
「家宅捜索は、裁判所の発付する許可状(捜索差押許可状)に基づいて行われます。
逮捕状により逮捕される場合にその逮捕が問題ないかを裁判所が事前に審査するのと同様に、捜索差押許可状が出されるにあたっては、その住居等に犯罪の証拠が存在する可能性があるのかを含め、そこで捜索・差押えを行うことについて問題ないか、事前に裁判所によって審査されます。」
私は、てっきり捜査機関である警察が、同じ捜査機関ではあるけど「検察官」に強制捜査が必要なことを申したてて、許可を得るのだと思っていた。不勉強ですみません。
そう思い込んでしまったのは、事前に、裁判所で家宅捜索や逮捕の事前審査をして許可をするとかだと、実際の裁判の時に予断が含まれていて、公平な判断ができないだろう・・と思ったからだ。
まあ、いずれにせよ、警察のどのような申し立てで、裁判所が逮捕や家宅捜索の令状を出したのか、文書で残っているはずなので、その日時も含め明らかにされるべきだろう。